日本財団 図書館


3)弾性ゴム不良
(1)防振ゴム不良
 機関台や共通台板などに用いられている防振ゴムは、長期間を経過すると、ゴム質が変化し硬化するので、亀裂を生じたり、変質して振動を十分吸収できなくなる。
 従って防振ゴムやパットなどは、定期的に点検して必要ならば交換しなければならない。
(2)ラバーブッシュ不良
 発電機などのカップリングに用いられるラバーブッシュは、ゴム質の変化や摩耗などを生じると、その機能を消失し、振動を十分吸収できなくなる。従って定期的に点検して、必要ならば交換しなければならない。
(3)ラバーブロック不良
 中小形機関の減速機への伝動接手として最も多く用いられており、ゴム質が変化したり、摩耗したり、破損した場合は、振動を十分吸収できないばかりでなく、動力を円滑に伝えることができなくなるので、定期的に点検して、必要ならば交換しなければならない。
 
4)機関の不良
(1)重量アンバランス
 ピストンやコネクティングロッドなど、各シリンダに用いる部品は、極端なアンバランスがあると、慣性力や遠心力に大きな差異を生じるので、振動を生じることが多い。特に高速回転で用いられる機関の場合は、その影響が特に大きくなるので、各シリンダのピストンやロッドの重量は均等化したものとしなければならない。
(2)シリンダ間のアンバランス
 各シリンダ間に、噴射量のバラツキを生じたり、噴射タイミング、バルブタイミングの狂いや、ノズルの故障、ブランジャの摩耗などによる燃焼状態のアンバランスが大きく発生すると、これによる大巾なトルク変動を起こして不規則な回転となり、機関振動が大きくなる。
(3)過給機の不良
 過給機はシリンダの上部に設置されることが多く、ブレード欠損や曲がりなどで、ダイナミックバランスが崩れると振動を生じ、この振動が機関に伝えられ、共振すると思わぬ程、大きな振動を発生することがある。
 
5)ダンパの故障
(1)ダンパ不良
 クランク軸の前端に捩り振動を吸収させるための、ダンパが設けられている。ディスクとリムは弾性体で連結されており、一部シリコンオイルを入れて冷却するものもある。このダンパの弾性ゴムが変質したり亀裂を生じたり、シリコンオイルがもれたりすると、ダンパとしての機能が失われ、振動を吸収できなくなり、捩り振動で共振して、軸系に大きな回転振動を起こすことがある。このような捩り振動による共振は、軸の折損や、ギヤの破損、噴射ポンプなどの故障を誘発する原因となるので、このような危険回転域をさけて運転すると共に、ダンパを点検し、必要ならば交換又は修理しなければならない。
(2)ダンパ不適合
 ダンパを設けていない機関の場合に、捩り振動の共振を常用回転域で発生する場合は、軸径を太くしたり、ダンパを設置するなどの対策が必要となる。
 そのような場合は、捩り振動の計算を行ない、最も効果的な方法を用いて対策しなければならない。ダンパならば何でも設置すれば解決するわけでもないので、適切なダンパを取付けれるように、検討しなければならない。
 
6)危険回転域での使用
(1)付加応力大
 主として、1節、2節振動の常用回転域において、捩り振動の振巾が大きくなると予想される場合、その次数を明らかにし、どの程度の付加応力になるかを示す計算書を作成し、客先又は管海官庁などへ提出しなければならない。このような付加応力が許容限界線をオーバする時は、ダンパを設けるか軸径を変えるなどの対策を行ない、許容範囲内におさまるようにしなければ実用に供することができない。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION