船舶安全法は、3・3表に示す「適用除外船舶」を除き全船舶に適用される。また日本各港間または湖川港湾のみを航行する外国船、裸庸船された外国船には、船舶安全法の全部又は一部が準用される。
3・3表 船舶安全法の適用除外船舶
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船舶の検査は船舶の種類、大きさにより分担して執行される。又、国に代わって検査、検定などを行う機関が定められている。これらの検査機関と検査等の範囲を3・4表に示す。
3・4表 検査機関
検査機関名 |
実施検査機関名 |
検査の範囲 |
国土交通省(JG) |
地方運輸局9、運輸監理部1、総合事務局1、運輸支局51、海事事務所26、海運事務所2(管海官庁) |
全部(但し、小型船舶検査機構が行う船舶を除く) |
国にかわって検査・検定等を行う機関 |
日本小型船舶検査機構(JCI) |
全国34支部 |
小型船舶(総トン数20トン未満の特殊船等を除く)、船舶・機関・船用品の検定 |
認定船級協会 |
(財)日本海事協会(NK) |
非旅客船の船級船 |
指定検定機関 |
(財)日本舶用品検定協会(HK) |
船用品等の検定 |
製造認定事業場 |
H.10−4現在 41物件 64事業場
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特定物件の製造工事 |
H.10−4現在 8物件 7事業場
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型式承認による特定物件の確認 |
改造・修理認定事業場 |
H.10−4現在 2物件 5事業所
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特定物件の改造修理工事 |
整備認定事業場H.10−4現在 膨脹式救命いかだ85 事業場 内燃機関 1事業場 |
特定物件の整備工事
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認定公益法人 |
(社)日本海事検定協会(NKKK) |
危険物の積付検査、危険物のコンテナヘの収納検査 |
指定測定機関 |
〃 |
微粉精鉱の水分測定 |
指定検査機関 |
〃 |
微粉精鉱の積付 |
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1)船舶検査証書
定期検査に合格した船舶には、船舶検査証書(小型船舶にはそのほかに船舶検査済票)が交付される。これらは船内に掲示又は備え付けて(船舶検査済票は両舷側に貼り付ける)おかなければならない。船舶検査証書の有効期間は5年である。ただし、旅客船以外の船舶であって平水区域を航行区域とするもの、または総トン数20トン未満の船舶であって危険物ばら積船、特殊船又はボイラを有する船舶以外のものは6年となっている。
船舶検査証書の有効期間の起算日の設定については3・5表に示す。
3・5表 船舶検査証書の有効期間の起算日の設定方法
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2)船舶検査証書の有効期間の延長
(1)国際航海に従事する船舶
a. 船舶検査証書の有効期間が満了する際外国の港から本邦の港又は定期検査を受ける予定の外国の他の港に向け航海中となる船舶について、3月以内(従前5月以内)の延長が認められる。注1
b. 短航海注2に従事する船舶であって船舶検査証書の有効期間が満了する際航海中となる船舶について、1月以内の延長が認められる。
c. 延長手続は従来の「日本領事館」に加え、「管海官庁」においても取り扱うことができる。
注1:但し、検査回航を終了した場合は、その終了した日を船舶検査証書の有効期間が満了した日とする。
注2:「短航海」とは、航海を開始する港から最終の到着港迄の距離が千海里を超えない航海をいう。
(2)国際航海に従事しない船舶
船舶検査証書の有効期間が満了する際航海中となる船舶について、1月以内の延長が認められる。
3)船舶検査手帳
最初の定期検査に合格した船舶には、次回の検査年月日及び検査に関する事項を記録した船舶検査手帳が交付される。この船舶検査手帳には、その後の検査内容が逐次船舶検査官により記入され、機器関係の履歴(整備、修理の記録)、注意点が分かるので、整備又は修理の際の一つの目安となっている。
1)航行区域
船舶が安全に航行するために船体、機関、設備等について必要とされる性能等は船舶の航行する水域に応じて異なるため、水域を以下の4種類に区分し、適用する技術上の基準に差を設けている。
(1)平水区域
湖、川及び港内の水域並びに特に定められた51の水域
(2)沿海区域
海岸から20海里以内の水域及び特に定められた水域
(3)近海区域
東は東経175度、南は南緯11度、西は東経94度、北は北緯63度の線により囲まれた水域
(4)遠洋区域
すべての水域
遠洋区域は前記の平水区域、沿海区域、及び近海区域を包含するものであり、同様に近海区域は平水区域及び沿海区域を、沿海区域は平水区域をその一部として包含するものである。
(5)従業制限
漁船については一般船舶の航行区域に代え、従業区域と漁業の種類とを、併せて考慮した従業制限に応じて適用される技術基準が定められる。
従業制限は総トン数20トン以上の漁船では第1種、第2種及び第3種、総トン数20トン未満の漁船(法第32条の漁船の範囲を定める政令に規定する漁船を除く)では小型第1種及び小型第2種の5種に区分されており、その概要は以下のとおり。
第1種 |
・・・ |
主として沿岸の漁業 |
第2種 |
・・・ |
主として遠洋の漁業 |
第3種 |
・・・ |
特殊の漁業(例えば母船式漁業、トロール漁業、捕鯨業、漁獲物の運搬業務、漁業に関する試験・検査・指導・練習及び取締まりの業務) |
小型第1種 |
・・・ |
主として沿岸の漁業(100海里以内) |
小型第2種 |
・・・ |
主として沿岸及び近海の漁業 |
2)最大搭載人員
船舶に搭載を許される人員の上限を最大搭載人員といい、船舶の航行区域または従業制限、居住設備、救命設備、その他の設備に応じ、旅客、船員及びその他の乗船者(旅客でも船員でもない者を云う。)に区分して定員を定めている。
3)制限気圧
ボイラを備える船舶においては、ボイラの現状に応じ、その使用圧力の最大限度、すなわち、制限気圧を定めることになっている。
4)満載喫水線
満載喫水線の位置は、満載喫水線規則又は船舶区画規程の定めるところによりきめられる。
5)その他の航行上の条件
船舶の航行上の安全を確保するため特に必要があると認められるときは、上記のほか必要な条件を課すことができることになっている。
以上、(1)〜(5)の条件は運航上の条件として船舶検査証書に記載される。
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