日本財団 図書館


おわりに
 「かえる」は当該事故予防を支援出来る装置である。したがって、多くの漁業者に安心して操業をしていただき、多くのプレジャーボート利用者に安心してボーディングしていただくための機能を有しているのではないかと期待している。
 よりよい価格で、簡単に船体に設置出来る構造と、簡単に操作ができる装置であると判断する。さらに前述した様に信頼性確認実験結果において、かなり高い信頼であることが実証出来たと考える。しかし、信頼性の確認実験は何度やろうとも安易に信頼性ができたとは言えるものではない。
 したがって、この装置で人命が100%救えると安易に言えるものではない。なぜならば当該事故である乗船者が誤って転落した時の海況、転落状態、乗組員の体力と体調と助かろうとする気力、船体の装備品例えば、足を掛ける事の出来る縄ばしごを船体の舷側に常時垂らしておくなど当該事故予防には大切なことでありこれらが満足した時に人命を救える可能性は大きくなる。
 この様な状況及び装置であるが、万一に備え操業中、ボーディング時等には作業性のよい「救命胴衣の着用」により救助率は高くなる。その結果、最悪の事故は防止できることも大いに考えられる。
 又、想像するに自船走行中のスピードに、転落者がどれだけ早く泳いでも泳ぎ着くことは不可能であり、いずれ自船が見えなくなり意気消沈、気力も萎えることであろう。
 そこに何か浮く物、木片、浮環、救命胴衣などがあれば掴み乗る、又は着て浮く状態で救助を待ち帰船できる可能性はある。
 近くに自船があり乗れる事が出来るならそれが整備と機能を維持した「かえる」の基本動作であり自船を当該事故当事者のより近くでエンジンを止め、自船を停船させる事が期待できる装置でもある。
 近い将来より多くの利用者に普及されたなら、よりよい信頼性と利便性の高い装置の開発もできることの可能性もある。その時のステップにもしたいものである。
 開発後には人命救助の一役を、支援をと思う一身で苦節3年半を費やし漸くこの度開発完成させたベンチャー企業(株)ビッグ・エッグ社の企業独自のマーケッテング、幅広い情報の収集、情報の交換など、その努力は大変だったと思う。
 好くぞ開発していただいた敬意を表し感謝したい。
 利用者に巾広く普及される事を願って開発企業へは普及促進が安易に出来る様な活動をする事をお願いし依頼した。
 普及には利用者が簡単に操作出来る様十分な取り扱い方法の習熟をしていただく事は欠かせない。普及には実験に携わった弊社舶用販売部門が推進する。
 特に事故時の当事者は気持ちが動転し且つ、疲れていると思う、この時の取り扱いだから、尚繰り返し繰り返しの訓練で事故時の対応が出来るまで徹底する必要がある。
 おわりに、装置の開発と商品化にあたり助言、情報の提供、資料の提供などに携わることが出来た者にとって完成された装置の実験立ち会いより基本的動作を満足したことと、多くの利用者へ普及され事故の当事者及び家族の方々と周囲の人を不幸にさせる様な事故がなくなることが出来るならばを念じてこの書の終わりにしたい。
 当該事故を発生させないことが最高に好いことであり記するまでもない。
 最後になるが、情報収集に開発に実験に多くの方たちに大変お世話になりました。この書をもって深く感謝致します。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION