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5 椎葉村における特産品開発の展開シナリオ
(1)商品化
 商品化については、特産品開発の基本方針に基づき、(1)主力農産品のブランド化、(2)既存商品の再生、(3)未利用・低利用の地場資源の活用、(4)伝統文化・技術の活用の4つの方向性により商品化を図る。
 
図表6−51 商品化の方向
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主力農林畜産品のブランド化による特産品化
 
ア 活用すべき地場資源
 
村内の主力農林畜産品:椎茸、ホウレンソウ、トルコキキョウ、椎葉牛
  
 
 本村では、椎茸、ホウレンソウ、トルコキキョウ、椎葉牛など、主力となる農林畜産品が現に存在しており、こうした商品は一定の市場性(品質、独自性、生産体制等)を確保している。しかし、主力農林畜産品の大半は、椎葉ブランドとして流通しておらず、消費者は椎葉産と認知しないで商品を購入・消費している現状にある。
 
イ 展開方向
 主力農林畜産品は、他地域との競争・競合において優位性をもち、知名度の向上、商品付加価値の向上によって、市場性を確保したブランド商品に転化することが可能な商品群である。
 
(1)農林畜産品のブランド化に向けた運動おこし
 本村の主力農林畜産品を単なる地域ブランドから全国や宮崎を代表するナショナルブランド、県ブランドに押し上げるためには、村が一丸となってブランド化にむけた運動を展開する必要がある。特に村民や生産者が気がつかない農林畜産品の優位性・市場性を再発見・再認識し、商品の市場性を高めていくためにも、識者の助言など、村外からの支援の受入れも重要である。
 運動の展開方向としては、生産者がブランド化の意欲と戦略をもって生産活動を行えるよう、ブランド化のための運動体を設置(例:日本一うまい農林畜産物生産運動、椎葉ブランド創造の会等)し、主力となる生産物・生産者を選択し、生産・販売・PRなどについて村ぐるみで支援していく。
 
(2)高品質性・希少性等を通じた農林畜産物のナショナルブランド化の達成
 ブランド化に向けた運動を通じて、主力農林畜産品の優位性・市場性を明確化し、商品のナショナルブランド化を図る。特に、知名度、付加価値の向上を図るため、商品のイメージ性(椎葉らしさ)、情報性(品質・生産方法等)を高め、全国唯一、県下唯一といった、商品のオンリーワン戦略を徹底する。また、高品質・希少性を訴求し、他の類似産品との差別化を図るためにも、一定の高価格性を維持する。
 流通先としては、有名食材店、流飲食店・ホテル、大都市圏の百貨店の催事販売、ふるさと物産館(新宿みやざき館KONNE等)の特産品コーナーなどを想定し、主力農林畜産品の中から1品目の特産品化を目標とする。
 
図表6−52 ブランド化に向けた運動の考え方のフロー
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ウ 具体的展開のイメージ(乾椎茸を活用した場合)
(1)現状
 本村を代表する産品である乾椎茸は、高度な生産技術を有する生産者を有し、一定の知名度・評価を得ているため、ナショナルブランド化に最も近い地域産品の一つである。しかし、宮崎産椎茸の知名度は、大分産に大きく引き離れており、また、宮崎産の中にも諸塚産椎茸という強力な競合相手がいる。
 また、農産物自由化や中国野菜の台頭が背景となって、大量の外国産(中国産)乾椎茸が輸入され、国内産椎茸を圧迫している。日本特用林産振興会へのヒアリング調査によると、現在は国内産物と比較して見劣りする中国産乾椎茸も、栽培環境の向上から品質向上が著しく、いずれは国内産乾椎茸の品質へとキャッチアップすることが考えられるという。
 こうした動向に対応するためには、椎葉産乾椎茸の品質向上とともに、ブランド化の戦略を進め、中国産など外国産乾椎茸との差別化を志向することが必要である。日本特用林産振興会からのヒアリング調査では、(1)中国産は菌床栽培が中心であるため、わが国の伝統的な栽培法である原木栽培にこだわること、(2)乾燥技術を向上させ、品質の向上を志向すること、(3)情報の積極的な開示、提供により、消費者に正確な商品情報、イメージを伝達すること、(4)専門家のアドバイスなどにより調理方法の提案、商品の多様化を進め、乾椎茸の多角的な販売戦略を立案することなどから、椎葉産乾椎茸のブランド化は可能とのことであった。
 
図表6−53 椎葉産乾椎茸のブランド化の考え方
(拡大画面:84KB)







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