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第6章 特産品を活用した活性化の検討
1 椎葉村の特産品開発の現状
(1)椎葉村の地域産品の概要
 本村の地域産品は、大きく農林畜産品、加工食品、非食品の3つに大別できる。
 農林畜産品については、自給作目も含めると100種類以上の生産が行われているが、販売作目は、農産物10種程度(米、ミニトマト、シシトウ、ホウレンソウ、いちご、柚、うめ、シキミ、トルコキキョウ、ユリ、ホウズキ等)、林産品が5種程度(くり、乾椎茸、原木生椎茸、菌床生椎茸、干竹の子等)、畜産品数種(子牛、肉牛、乳牛等)となっている。また、農林畜産品には、乾椎茸、トルコキキョウのように、加工食品、非食品に該当するものも含まれる。
 
図表6−1 椎葉村の地域産品の分類
(拡大画面:40KB)
 
 本村の地域産品のほとんどは、JAなどを通じて村外に出荷されており、多くは宮崎産、日向産として流通している(例:乾椎茸)。現在、村の地域産品が椎葉産として購入できる拠点は、村内では平家本陣などの物産施設、旅館・民宿などの宿泊施設、大神館などの飲食・観光施設、村外では宮崎市、東京都に開設されている宮崎県物産館などとなっている。
 村内の各拠点(大神館、平家本陣、椎葉村木工民芸品開発協会(商工会内)、椎葉村地場産品株式会社、椎葉信雄酒店、豆腐の盛田屋)における取扱い商品は、平成14年10月現在で127種類あった。このうち、食品は110品目で、地域産品全体の87%を占めており、本村の主要な産品となっている。食品の中で最も多いものは、加工食品で、約80品目が生産されている。加工食品の多くは、農林畜産品を加工したものが多くなっている。
 
図表6−2 椎葉村の地域産品の種類(平成14年)
資料:
平家本陣資料、椎葉村ホームページ、宮崎県県北フォレストピア実行委員会資料、椎葉村地場産品開発株式会杜などの資料を基に作成
 
(2)分野別にみた椎葉村の地域産品
ア 農林畜産品
(ア)生産者
(1)農家
 平成12年の農家数は548戸、このうち、販売農家(経営耕地面積が30a以上又は農産物販売金額が50万円以上の農家)は334戸、自給的農家(経営耕地面積が30a未満かつ農産物販売金額が50万円未満の農家)は214戸となっており、販売農家の割合は60.9%にとどまる。
 
図表6−3 農業従事者の状況(平成12年)
(拡大画面:60KB)
資料:
農林水産省「2002年世界農林業センサス」(平成12年)データを基に作成
 
 販売農家を主副業別分類(農業所得と農業労働力の状況を組み合わせた分類)でみると、主業農家(農業所得が主で、65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家)は65戸、準主業農家(農外所得が主で、65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家)は113戸、副業的農家(65歳未満の農業従事60日以上の者がいない農家)は156戸となっている。
 専兼別でみると、専業農家(世帯員に兼業従事者が1人もいない農家)は48戸、第1種兼業農家(世帯員に兼業従事者が1人以上おり、農業所得を主とする農家)は51戸、第2種兼業農家(世帯員に兼業従事者が1人以上おり、農業所得を従とする農家)は235戸となっている。
 また、平成12年現在の農家人口は2,195人、うち基幹的農業従事者(基幹的農業従事者とは、農業に主として従事した世帯員のうち、調査期日前1年間の普段の主な状態が「仕事に従事していた者のこと)は、398人(男性195、女性203)となっている。このため、1戸当たりでは、農業従事者は4.0人、基幹的農業従事者は0.7人となる。
 このように、村内の農家及び農業従事者の相当数が自給的農家、副業・兼業農家で占められ、主業農家、専業農家の占める割合は、全体の1割程度にとどまっている。また、主業農家、専業農家の従事者も高齢化が進行している現状にある。
 このため、競争力のある農産畜産品づくりや、安全性の確保、適切な品質の表示、積極的な情報の開示など、高度化する消費者・市場のニーズに適切に対応することが、農家だけの取組では因難な状況になっている。
 
図表6−4 農家の状況(平成12年)
(拡大画面:125KB)
資料:
農林水産省「2000年世界農林業センサス」、農林水産省「平成12年(産)作物統計調査」
 
(2)林家
 平成12年の林家数は722戸で、このうち、農家林家数は522戸(総林家に占める割合72.3%)、非農家林家数は200戸(同27.78%)と、農家林家の割合が大きくなってきている。
 このうち、林産物を販売している林家は135戸で、うち用材(立ち木)60戸、用材(素材)75戸、ほだ木用原木3戸、特用林産物を販売している林家は29戸となっている。
 林家についても、農家と同様に過疎化・高齢化により、後継者や林業労働力の不足が顕著になってきており、村では、新たな担い手の確保のため、機械化、林業施設の高度化などを通じ、労働条件の改善などの条件整備を図っていくこととしている。
 
図表6−5 林家の状況(平成12年)
(拡大画面:75KB)
資料:
農林水産省「2002年世界農林業センサス」(平成12年)データを基に作成







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