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イ 観光振興対策問題点
 これまでの観光振興に関する取組における問題点を整理する。
 
(ア)基盤的施設の整備
(1)椎葉をもっと知りたい人のための道案内が不十分である
 熊本・高千穂方面からの入村ルートである国道265号沿いや、日向市方面からの327号沿いのように、観光客が多く入ってくるルート上の村境付近や大きな分岐には、村の観光案内板がすでにいくつか設置されている。
 しかし、その他の小さな分岐には道標がなかったり、見えにくかったりすることも多く、特に上椎葉地区を離れると、その傾向がある。秘境の地を目指して奥へと向かう観光客や釣りやキャンプを目的とした観光客は増加するものと思われるが、そのような地域に不慣れな人が山中の狭く曲がりくねった道を長い間走るのは不安なものである。現在地や行き先を確認できるサインや周辺地区の案内サインなどを整備する必要がある。
 
尾前地区の道
サインの混在(十根川地区)
 
(2)地域内のサインは統一性に欠けている
 「ひむか神話街道」のルートである265号などでは、本指針を参考にしてサインなどのデザインを検討し、近隣町村との一体的な雰囲気づくりに貢献することも望まれる。
 現在の観光スポットである上椎葉地区や十根川・大久保地区には、地域オリジナルのサインがみられるが、必ずしも統一されているものではなく、地域でまとまった雰囲気がでていない。また、来訪者が認識しずらいところに設置されているものもあり、目に留まりやすい場所、中へ誘導していくような設置の仕方を検討する必要があるだろう。
 
集落オリジナルサイン(大久保地区)
 
(イ)惰報提供の問題点
(1)椎葉の魅力を発信する場としてのインターネットの活用法を検討する必要がある
 現在村が運営している公式ホームページでは、最新情報の他、観光案内、イベント案内、宿泊・食事案内、伝承・文化、村へのアクセス、役場案内、統計資料などが、写真や音声とともに詳しく紹介されている。しかし、多くは現状の祭りやイベントに関わる情報であり、実際の本村がどのようなところなのか、どのような人がいるのかみえていない。インターネットは不特定多数の人々に本村をアピールできる格好のツールである。現状の観光資源やイベントに限らず、本村が持つ魅力を十分に発信していく必要がある。
 
村内の宿泊・食事処のホームページ
宿情報:詳しい内容は掲載されていない
 
(2)インパクトのある椎葉の魅力がアピール不足である
 本村には、源流、巨木、焼畑、重伝建、柳田國男と山の民族文化など、都市住民からみてインパクトのある要素、他ではみられないものが多く存在しているが、現状のイベントや祭り、前述した情報発信の場においても、これらを利用した例はあまり多くみられない。昨今、大自然へ憧れを抱き、ふれあいを希望する都市住民は多く、また、地域の習慣などをより深く知りたがる傾向もあるので、これらの要素は、都市住民のニーズと合致しているといえる。これらを十分に発信し、深く味わってもらう場を提供することも観光振興の上で有効なものと思われる。
 
尾前渓谷
重要伝統的建造物群保存地区十根川集落
焼畑(火入れの様子)







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