第1章 地域の概況
1 地域特性
(1)椎葉村について
椎葉村(以下、本村という)は、九州中央山地の最も奥深く、耳川の源流地帯に位置する、山村である。
人里遠く離れた地であったせいか、壇ノ浦の合戦に敗れ源氏の追手から逃れてきた平氏の残党が、本村に住み着いたといわれており、那須大八郎と鶴富姫の悲恋の物語を初めとした平家伝説が今に伝えられている。
また、山奥で外部との交流が少なかったためか、本村には、焼畑、狩猟を中心とした生活文化や、神楽、踊りなどの伝承文化など、山村固有の文化が多く残っている。
この椎葉の生活文化に関心を持った柳田國男は、本村に滞在し、狩猟を中心とした山民の生活や風俗を記録した。これをまとめた『後狩詞記』は、日本民俗学の出発点といわれ、本村での体験は、その後の柳田國男の研究に影響を与えたものと思われる。
山頂の状況
集落の形成状況
(2)広域的位置
本村が位置する宮崎県東臼杵郡は、県の北西部、熊本県との県境に位置する。広域的な中心都市である日向市へは76km、宮崎市へは124km、熊本市へは110kmと、都市部から離れた内陸部に位置し、九州中央山地の一部を形成している。
周囲は、五ヶ瀬町、諸塚村、西郷村、南郷村、西都市、西米良村、及び熊本県水上村、泉村、矢部町、清和村に接している。
村の大きさは、東西27km、南北33km、面積536.20km2で、全国的にみても面積の大きい村となっている。
図表1−1 椎葉村の位置
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