はじめに
市町村合併特例法の期限切れまでに残すところ2カ年と迫った今日、全国各地で・地方分権の具現化をにらみながら、市町村合併への模索が懸命になされている。また、地域の個性・特性の明確化や自立性・主体性の確立を目指して、地域の様々な資源の利活用、パートナーシップを基本理念に据えた地域づくり・まちづくりの推進が、住民の意識・生活、生活基盤、産業経済などの動向を踏まえつつ、取り組まれているところである。しかしながら、市区町村、広域市町村圏、都道府県など地方自治体は、産業経済や財政事情が深刻さを増しつつあるため、新たな施策づくりにあたってはかつてないほどの厳選主義で臨まざるをえなくなっており、また、既存の施策についてもスクラップアンドビルドを原則にせざるをえなくなってきている。
当機構では、地方自治体が直面する様々な課題の解決に資するため、一つは全国的な視点から、一つは具体的な地域の実情に即した視点から、できるだけ多角的・総合的に課題を取り上げ、研究に取り組んでいる。本年度は7つのテーマを具体的に設定し、研究した。本報告書は、このうちの一つの成果を取り纏めたものである。
本研究は、福岡県筑紫野市を研究対象地域として、本市における公共交通特に乗合バスに関わる問題・課題、類似都市でのバス交通への行政対応事例の把握などから、当地域のバス交通を中心とする日常の生活交通のサービス水準を明らかにし、その生活交通サービスの改善・整備の必要性、基本方針を検討したものである。
本研究の企画及び実施にあたっては、研究委員会の委員長、委員各位をはじめ、関係者の方々から多くのご指導とご協力をいただいた。
また、本研究は、競艇の交付金による財団法人日本財団の助成金を受けて、筑紫野市と当機構が共同で行ったものである。ここに厚く感謝する次第である。
本報告書がひろく地方自治体の各種課題の解決と施策展開の一助となれば幸甚である。
平成15年3月
財団法人地方自治研究機構
理事長 石原信雄
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