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5 今後の課題
 これまでの調査研究結果を総括し、今後いっそう具体的な活動への展開に結びつけ、住民の共感と賛同を得る施策の展開方策として、今後の課題を以下に列挙する。
 
(1)住民が積極的に参画しやすい環境づくり
 地域のコミュニティ活動を促進し、住民と行政が協働でまちづくりに取り組んでいくためには、住民の参加意欲の高い、あるいは住民が注目するまちづくり活動であることが必要である。今後は、行政側からの協働要請だけでなく、住民が主体的に取り組むまちづくり活動を促し、住民が描くまちづくりの諸施策に対して、行政が支援・援助するといった流れをつくり出すことが必要であり、以下のような課題が提起される。
 
(1)まちづくり課題に対する認識の共有
 朝日町が置かれている現状や、まちづくりへの展望など、行政と住民の認識について、共通の課題認識を持つことが必要であり、住民に向けた情報公開などを拡大させるとともに、国の動向や、新しい制度の制定などに関して、積極的に住民への周知を図るなどの対応により、住民と行政が協働でまちづくりを推進する環境づくりが必要である。
 
(2)住民意織の喚起と高揚
 住民と行政が協働でまちづくりを進めていくため、まちづくりや地域のふれあいなど、朝日町を舞台とする活動への参加意識を高め、個々の立場においてまちづくりへの意見や希望を語ることのできる風土づくりが求められ、広報や各種の集会、ホームページなどを用いた提案の募集など参画機会の拡大を図るとともに、住民にこれを周知させる方策が必要である。
 
(3)住民個々が参画したい活動を選択できる体制づくり
 住民が個々の志向や暮らし方にもとづいた活動の場を選べる体制づくりが求められ、多様な考え方を持った住民が自由に活動の場を選択し、積極的に活動を推進していく体制づくりが必要である。
 また、行政は活動に参画する住民からの要請などに配慮しつつ、これを補完する体制づくりが課題として掲げられる。
 
(4)コミュニティ活動を支援する各種事業の導入
 行政がコミュニティ活動を支援するために、用いられている事業には以下のようなものがあり、本町の実情を勘案し、導入を検討する必要がある。
 
図表4−13 コミュニティ活動支援に用いられる事業例
No 事業名 支援・補助団体 概要
1 市民活動活性化モデル事業 経済産業省商務情報政策局 地域においてまちづくり、生涯教育等の分野において多様なサービスの提供を行う女性又は高齢者を主たるメンバーとする市民活動団体等及びそれらを支援する団体等の活動主体が、情報ネットワーク等を通じて連携し、ベンチャー企業へと成長する機会を拡大させ、雇用の増大と新たな産業の創出を目指すことを目的とし、新たな事業の立ち上げに伴う事業費を支援するもの。
2 コーディネイト活動支援事業 中小企業総合事業団 中小企業が外部経営資源の活用を必要とする場合に相談にのったり、必要とする外部経営資源を紹介・マッチングする者(コーディネーターと呼ぶ)、及び機関を支援するもの。
3 商店街等活性化事業 経済産業省 空き店舗対策、駐車対策、IT対応等その他の商店街等活性化に向けたソフト事業に対して幅広く支援するもので、中小商業活性化事業費補助金の一事業。
4 コミュニテイ施設活用商店街活性化事業 経済産業省 商店街の空き店舗を活用して商店街振興組合、社会福祉法人、NPO法人等が保育サービス施設や高齢者交流施設等のコミュニティ施設を設置・運営する際の、事業の立ち上げに係る改装費や家賃補助(初年度のみ)等について補助を行うもの。
5 中心市街地活性化フォーラム支援事業 経済産業省 市町村が中心市街地におけるTMOの実施事業の円滑化を図るため、当該市町村、商業者、地域住民等のコンセンサス形成を図るためのフォーラム開催及び中心市街地の商業活性化に資するまちづくりに関わる様々な活動に対して補助するもの。
6 新エネルギー草の根支援事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)財団法人新エネルギー財団(NEF) 地域におけるNPOなどの民間団体等が草の根レベルで実施する新エネルギー設備の導入支援事業、設備導入事業及び普及啓発事業に対し補助を行うもの。
7 省エネルギー草の根支援事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)財団法人新エネルギー財団(NEF) 地域レベルの省エネルギーの設備導入・普及啓発を図るために、民間団体等が行う気候風土、生活環境等の差異を踏まえた草の根レベルでの活動に対して、その必要な経費の一部を補助するもの。
8 新事業開拓助成金交付金 中小企業総合事業団ベンチャー支援部 自らの技術や創造的発想を生かし、従来なかった新商品・新サービスを開発すること、または従来なかった革新的な方法で商品やサービスを提供することによって、新たな市場を切り開く事業を実施する創業者又は新事業開拓中小企業者の行う事業助成金を交付するもの。
9 経営革新支援事業 経済産業省中小企業庁 中小企業経営革新支援法に基づく中小企業者等が、経営の革新を図るために取り組む事業のうち一定要件を備えた事業に対し、必要な経費の一部を補助するもの。
10 新創業融資制度 国民生活金融公庫 事業計画(ビジネスプラン)が的確であれば、無担保、無保証人(法人の場合、代表者の保証も不要)で創業者の方に融資を行うもの。
11 障害者等向け情報システム開発事業 経済産業省 障害者や心身機能の低下した者等にとって使いやすい情報システムの技術開発及び実証・評価実験を対象とし、費用の交付を行うもの。
12 産業技術人材育成インターンシップ推進支援事業 経済産業省中小企業庁 学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うインターンシップの推進を図るため、受入企業の開拓、説明会の開催、学生と受入企業のマッチング等の事業を行う機関に対して必要な経費の一部を補助するもの。
13 産業技術人材育成インターンシップ普及啓発事業 経済産業省中小企業庁 学生が企業等の現場で実務経験を通して、実践能力を身につけ、将来の産業界を支える人材の育成を図りつつ、起業家精神を醸成し、あわせて中小企業と大学の連携を深めるインターンシップの推進を図るセミナーや交流会の開催を実施する。
14 IT活用型経営革新モデル事業 経済産業省 中小企業が実施する地域でモデルになりうるITを活用したビジネスシステムの構築に向けての調査研究事業及び開発・導入事業に係わる軽費の一部を助成するもの。
15 中小商業ビジネスモデル支援事業 経済産業省中小企業庁 中小商業者を中心とする中小商業団体等(任意団体を含む)が近年の社会的課題に対応した新たなビジネスモデルを開発する際の実現可能性調査事業に対して支援するもの。
16 新事業開拓支援助成金 中小企業総合事業団 創業者や新事業開拓中小企業者が行う新商品、新技術若しくは新たな役務の開発、企業化、需要の開拓等を支援する期間が行う事業に対し助成するもの。
17 地域地球温暖化防止支援事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 地球温暖化防止に資する活動のうち新エネルギー設備の促進及び省エネルギー普及を図ることを目的としたモデル的な事業の実施に必要な経費についてその一部を補助するもの。
資料: 各支援・補助団体ホープページより
 
(2)具体的な活動を推進する組織
 住民の主体的な活動を促進するためには、住民主体の活動母体となる組織の存在が不可欠であり、場合によっては新たに設立することが必要である。
 
(1)活動母体となる組織
 住民主体の活動の母体となる組織は、以下の3つに大別され、活動目的や内容、活動の発展段階などによって適切な組織は変わってくるものと考えられる。
i) 非営利活動団体(NPO)
ii) 生活を支援するサービス産業(コミュニティ・ビジネス)
iii) ベンチャービジネス
 
図表4−14 非営利活動団体、コミュニティ・ビジネス、ベンチャービジネスの比較表
組織 非営利活動団体
(NPO)
生活を支えるサービス産業
(コミュニティ・ビジネス)
ベンチャービジネス
部門 市民部門 特殊 企業部門
目的 社会的使命の達成 社会的使命の達成 適正継続利潤の確保 営利の追求
行動原理 社会的使命に対する共感 ボランタリー精神にもとづく草の根活動 経済性・効率性の追求 事業の成功・成長
利益配分 分配しない 事業形態等による 分配可能
事業形態 特定非営利活動法人 任意団体 特定非営利活動法人、 任意団体、株式会社、有限会社等 協同組合、各種組織の連携(ネットワーク型組織など) 株式会社、有限会社等
 
 全体としては、NPO、コミュニティ・ビジネス組織、ベンチャービジネスなどのさまざまな組織が、それぞれの事情を考慮しながら、互いを補完し合える体制を築くことなどによって、相乗効果を生みだし、互いの諸活動を促進し、地域の活性化に寄与するものと考えられる。
 
(2)組織形成の環境づくり
 住民が主体的に組織形成を行うことを促進するには、課題認識の共有や、参加意識の喚起高揚、コミュニティ活動への支援の他に、事業に対する意欲を高めることが必要である。そのためには、先進事例を通じて、未来への可能性、困難の克服方法や、その達成感・充実感などを知ることが早道である場合が多い。また、実際に見学し、参加することで体験から理解することも有効である。そのためには、全国各地の先進活動組織や関係団体等との連絡体制を整え、住民の主体性と意欲をかき立て、有志の集う機会づくりなどを通じて人々や組織を結びつける推進団体の設置が必要であると考えられる。







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