(3)地域が大学などに提供・参加して実施するもの
(1)拠点・機会の提供
○各種実務現場における現場実習生の受入れ
〇インターンシップの受入れ
○研究フィールドの提供
「各種実務現場における現場実習生の受入れ」では、特に看護医療や保健・福祉などの分野が典型的である。これらの分野の実務現場における受入れは、一面「地域へのセミプロ人材の臨時的活用」という機能面の効果もないとはいえないが、本来の制度の趣旨としては、人材育成のための教育資源・機会を地域の協力で提供するということである。ただし、現場では受入れコストや実習評価ノウハウの不足などの課題も発生している。
「インターンシップの受入れ」は、民間企業に対する積極的な受け入れ協力を要請するとともに、市行政自身の積極的な対応も必要となる。
「研究フィールドの提供」は、地域の行政や専門機関や事業者などの許可のもとに実施する「利用者や施設・史跡、文化財などを対象にした研究や調査」や「各種の就労者や患者、入居者を対象者とするフィールドサーベイ」などである。特にフィールドサーベイ技術を習得する必要牲が高い実践科学や臨床性の高い専攻においては、地域の協力なくしては現場を知るという重要な経験を取得できないことから、教員や学科からの地域に対する連携・協働の意向や重要牲に対する認識は高い。
(2)人材の提供(派遣、参加)
○大学における特別講座の講師、非常勤講師としての参加協力
○大学における各種研究プロジェクトにおける研究員としての参加
「大学における特別講座の講師、非常勤講師としての参加協力」は、市民活動グループ、一般市民、行政、一般企業、諸団体の実務家や実践家が、大学などの単発ないし一定期間、講師として講義を担当したり講演を行うものである。特に消費者法や消費・環境資源問題、金融経済・貿易実務、リスクマネジメント、医療看護保健福祉などの分野では、実務経験豊かな専門家を講師とすべきニーズが高い。一例をあげれば、生き生き百年塾における市民人材の参加などが考えられる。
また、一芸や技能技術、専門分野の教養知識を習得している一般市民が講師として参加(特に、退職後のシニア層など)することも考えられる。本人の社会参加と地域社会貢献への意欲を満たすとともに、市民の持つ知見教養やノウハウを地元市民層に還元するという意義がある。
「大学における各種研究プロジェクトにおける研究員としての参加」は、例えば地域の経済社会や保健福祉分野や工学分野などにおいて、地域の実務家と大学の研究チームが研究助成に基づく共同研究チームを組成し、調査研究を推進するなどが考えられる。
(3)施設、設備の提供(共同利用、開放)
○大学周辺地区環境・都市消費機能整備(学生の生活利便や住環境向上)
○国際交流に配慮した教育・生活利便・住環境などの充実
○講義や卒業論文研究などでの施設や設備の利用に対する協力
「大学周辺地区環境・都市消費機能整備」では、日立市のまちづくり、市街地活性化の推進の中で、今後、市内大学キャンパス周辺地域の環境整備、地域商店街活性化やまちのにぎわい空間の創出といった公共的な意義に応じ、周辺地域住民などとの合意形成を図りつつ、対応のあり方の検討を進めていく必要がある。
また、都市消費施設の集積を通して実現する学生街の形成は、都市の魅方の大きな拠点となりうるものであり、この観点からも市内大学の周辺整備はいっそう魅力的なキャンパスライフや周辺地域における消費レジャー行動の拡大にもつながる。
「国際交流に配慮した教育・生活利便・住環境などの充実」では、国際交流が急速に進む条件が動き出しており、来市した研究員やその家族が、市内で良好な日常生活を営めるよう、子どもの教育環境や生活の利便、就業や活動機会などに関する環境をソフトとハードの両面で進めていく必要がある。
「講義や卒業論文研究などでの施設や設備の利用に対する協力」では、上述の「実習やインターンシップ」の他、日常的な講義や4年生の卒業論文研究や大学院課程における学術論文研究などにおける調査研究の推進上必要となる施設や設備の利用について積極的に協力し便宜を図ることなどがあろう。
(4)財政的な協力体制の提供
○寄附講座の開催
○共催による講座やイベント、社会的な実験の開催・実施
「寄附講座の開催」は、特定の大学などの講義テーマの企画や運営を寄附によって開催する講座である。例えば、地域活性化の課題や企業の新分野開発などをテーマに大学外部の第一線の人材も講師陣に招聘し、講義シリーズやゼミを地域各界の実務担当者や起業家、企業経営者向けに実施することなどがあげられる。
「共催による講座やイベント・社会的な実験の開催・実施」では、一例をあげれば、商店街の活性化方策としての「タウンモビリティ」の実験事業の実施や、地域の住宅や生活実情に適合した福祉機器や用具の改造や開発、住宅改造手法、在宅着護や介護手法の開発などの一環としての実験やモニタリング事業などがあげられる。
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