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2 文化資源の広域的活用に関する基本的な考え方
(1)地域文化の振興の原則と展開の課題
 地域文化の振興とは「住民の生活文化の振興」である。すなわち、「地域文化の伝統を受け継いで、住民生活が日常的に豊かで潤いのあるものとなること」を目指すことであり、展開すれば、「地域文化の継承と創造」を基本姿勢として、住民の文化活動、文化創造が活発に展開できるハード、ソフトの条件を整備することと言い換えることができる。
 地域文化の振興が地域づくりと係わる局面では、行政と文化(文化行政)との関連づけが大きな論点となる。この点で原則的な考え方を整理すると次の点が指摘できる。
 
(1)地域文化の伝統を創造的に継承すること
(2)文化の自律性を尊重すること
(3)文化の分権化を促進すること
(4)文化拠点を一極型から多極ネットワーク型にすること
(5)文化需要の広域化に即して、広域生活圏で日常的な文化供給を実現すること
(6)文化の総合性を重視すること
(7)文化における個性化とその個性を発信し、併せて共感を追求すること(普遍化)
 
 すなわち、「多様な文化の共存」を認め、その異質性を文化振興の活力とすると言う意味で、補完的、創造的な連携・交流の視点が必然となることを基本認識とすべきである。もとより、同質性の連携・交流もあることは論をまたない。
 
(2)地域文化の振興を促進するための文化行政の主要課題
 先の地域文化振興の考え方にたつと、地域文化の振興を進める文化行政の主要な課題は次の点が上げられよう。
 
(1)
住民の文化ニーズ(文化需要)を的確に把握する
(2)
個性のある地域文化を媒介にして共感を醸成し、文化共有と誇りを自覚し、“自分づくり”を進める
(3)
新たな地域づくりに沿う文化資源の活用、そのための文化施設、文化サービスの体系化・情報化と文化性豊かな地域づくりノウハウ等の蓄積
(4)
地域間文化収支のバランス化(文化の移入、移出のバランス化、文化鎖国状況や文化支配の抑制)
(5)
文化の経済効果の拡大、文化の産業化、産業の文化的付加価値強化(地場産業の交流産業化等を含む)
(6)
世代間の文化的連続化(文化の世代継承)
(7)
伝統工芸技術、地場産業、担い手である人材等を含む地域の小文化・小技術の重視(巨大産業・技術に対峙する手技文化等の重視)
(8)
公共デザイン政策(郷土景観づくり、地域環境への文化性の投入等)
(9)
地域文化の国際化
(10)
行政の文化化(行政の係わる地域づくりへの多元的なチャンネルを通じた文化的視点の投入、行政運営の民主化・内部革新等)
 
(3)文化資源を活かした広域的文化振興の枠組み
〜資源の同質性、異質性連携に着目した「内発」と「交流」の動力学的展開
 改めて「なぜ文化資源の広域的活用による地域文化の振興か」という問いに対して、基本的な点だけを述べると、端的に、「日常生活ニーズの多様化・広域化に伴って日常生活圏での文化需要も多様化・広域化しており、コミュニティや単一市町村域内での文化供給では充足できない」ことが根本にある。
 もとより、文化資源の広域的な活用による文化振興は、個々の文化を活性化し、多様な個性の連携が共感と共同性をはぐくみ、発信力を高める可能性を含め多様な効果が期待される。
 このような観点からすると、広域的文化振興の枠組みは、文化資源性の同質性、異質性に着目した「内発的な文化振興(地域の光の創造)」と「交流(自己発見)」の仕組みづくりと実践に集約される。
 文化資源を活かした広域的な文化振興の検討方向を図式的に示すと次のように理解できる。
 
図表1−1 「文化資源の広域的活用」の検討方向
(拡大画面:120KB)







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