はじめに
本書は、2002年11月29日(金)に当財団、および日本財団、西日本新聞社が開催した「海に生きるアジア・島国フォーラム」の会議サマリーである。
21世紀を迎え、アジア・太平洋諸国の相互依存の強化と、協力体制の確立は、わが国のみならず近未来のアジアの国際秩序の構築を図る上できわめて重要である。とりわけ日本にとっては、島国という地理的環境に加え、経済や安全保障の面でも関係の深い同じアジア太平洋地域に存在する島国との連携強化が喫緊の課題と考える。
近年のアジア太平洋地域においては、国連海洋条約のもと新海洋秩序の構築が求められ、各国の海洋管理政策への取り組みが注目されており、特に、排他的経済水域(EEZ)の海洋開発、海洋環境の保護、航行安全の確保など早急に対応しなければいけない問題が数多く存在している。
このような状況を鑑み、本フォーラムでは特に日本からみて南北方向に位置する島国との連携を、島国共通のフィールドである"海"に視点をあて、歴史的に国境を超えて海に生きてきた人々の暮らしを交え考察する「民の海」、現在東南アジア海域が抱えている問題を"国にとっての海"という視点から考察する「国の海」という2つの切り口から議論を展開した。
本サマリーの刊行にあたって、フォーラムに出席して頂いたパネリストの方々のご協力、また、フォーラムを共に主催して頂いた日本財団、西日本新聞社、そしてご後援いただいた福岡市、(財)福岡観光コンベンションビューローに対して心から敬意を表するとともに深甚な感謝を捧げるものである。
2002年3月 東京財団
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