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7.4 試験結果のまとめ
 平成13年の試験結果は以下の通りであった。
7.4.1 乾燥高温試験
 試験温度(液晶表示器は+55℃、電源パネル、自動同期投入装置及び閃光灯は+70℃)では現状の供試品において誤作動はなく、充分に耐え得るものであった。
7.4.2 温湿度試験
 液晶表示器の表示画面の色が変化し(黒色が緑色、赤色がオレンジ色に変化)、ビデオ信号が入力されていない状態でも緑色が発色していた。
 ただし、動作の判定基準としている"H"文字の文字化けはなかった。
 その後、常温で2〜3日間放置して表示画面の色をチェックしたところ、正常に復帰していた。この現象の再現性を見るために再試験(初回の試験は平成13年10月、再試験は平成14年1月に実施)を行ったが、同様の結果となった。変色に関しては液晶の光学的影響(液晶基板メーカの見解)と思われるが別途検討することにした。
7.4.3 低温試験
 試験温度(閃光灯は−25℃、電源パネル、自動同期投入装置及び液晶表示器は+5℃)では現状の供試品において誤作動はなく、充分に耐え得るものであった。
7.4.4 振動試験
 電源パネルの耐久振動試験において左右加振時に振動数49Hzでメーターリレーの上限及び下限の置針が顕著に共振し、これらの接点出力がON-OFF動作を繰り返した。
 加振5分後にメーターリレーが0Vを指示した(メーター入力はフルスケール値10Vに対し、7Vの電圧を入力している)。試験後においてもメーターの指示は0Vのままで復帰しなかった。
 これはメーターリレーの基板もしくはメーターコイルの破損によるものと思われるが機械式メーターリレーは電気式メーターリレーに比べてメカニカルな部分が振動に対して大きく影響を受ける。メーターリレーの取付方法、補強、設置の向きなどの検討をすることとした。
7.4.5 腐食試験
 閃光灯について塩水濃度5%±1%のNaCl溶液を2時間噴霧、7日間放置するサイクルを4サイクル行ったが、劣化、腐食等はなかった。
 これは供試品の外郭の大部分がポリカーポネートで構成されているため、劣化、腐食等がなかったものと考えられる。
 取付足(黄銅製)及び上部蓋の取り付けネジ(真鍮にニッケルメッキを施す)が金属部品であるがこれらも劣化、腐食等はなかった。
 また作動試験においても誤作動はなく現状の供試品は充分に耐え得るものであった。
 
 以上の結果をまとめると 表10の通りとなる。
 
表10
試験項目 試験実施順 供試品
  電源パネル 自動同期投入装置 液晶表示器 閃光灯
乾燥高温試験 1 基準内 基準内 基準内 基準内
温湿度試験 2 基準内 基準内 黒色⇒緑色赤色⇒オレンジに変色 基準内
低温試験 3 基準内 基準内 基準内 基準内
振動試験 4 左右方向加振時にメータリレーが破損 基準内 基準内 基準内
塩水噴霧試験 5       基準内
 
7.5 誤作動防止対策及び改善対策の検討
 平成13年度に実施した試験の結果、下記の試験で誤作動が生じた。これらについては、平成14年度事業で誤作動防止及び改善対策の検討を行うこととした。
 
7.5.1 液晶表示器の温湿度試験
(1)初回試験
 液晶表示器について、画面が変色する誤作動が生じた。
(2)再現性試験の実施
1)同一液晶表示器での再現性の試験
 2サイクル目の動作確認でも変色した結果となった。
2)同一メーカーの別の液晶表示器での再現性の試験
 液晶表示器を同様に試験したが変色はなく正常に作動した。
 
 試験に使用した供試品は、メーカー仕様が湿度0〜85%であり、今回の試験はNK規格の湿度95%で実施した。一般的に、陸用液晶表示器を舶用として使用する場合は、塩害対策、湿度対策等が施されている。また、或る会社では表面のフイルム対策を行っているとの情報もある。それらを勘案して平成14年度更なる検討を行うこととした。
 
7.5.2 電源パネルの振動試験
 電源パネルの振動試験でメーターリレーの破損が生じた。
 機械式式メーターリレーは電気式メーターリレーに比べてメカニカルな部分が振動に対して大きく影響を受ける。
 平成14年度はメーターリレーの取り付け方法、補強、設置の向きなどの検討をすることとした。







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