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(2)閉塞対策の作動確認
 下記の実験手順において、自動制御化した閉塞対策が問題なく作動した。なお、4)の強制閉塞試験においては、閉塞対策後に上流側圧力が通常の500kPa以下に低下したことから、注入した砂は下流側に押し流されたと考えられる。
 以上、本試作機の閉塞対策は、実船でも適用可能であると判断される。
1) 非運転状態、(ポンプ停止)で、閉塞対策の作動確認を行った。
2) 装置上流側圧力300kPaで閉塞対策が作動するように自動制御を設定し、低流量の連続運転を行い、作動確認を行った。
3) 連続17時間の通常運転(装置上流側圧力約500kPa)で、装置上流側圧力550kPaで閉塞対策が作動するように自動制御を設定し、作動確認を行った。
4) 通常の連続運転(装置上流側圧力約500kPa)で、装置上流側圧力550kPaで閉塞対策が作動するように自動制御を設定し、ポンプ口から砂を注入する強制閉塞試験を実施して閉塞対策作動確認を行った。
 
(3)長時間連続運転による耐久性の検証
 17時間にわたる連続運転での間、振動、異音水漏れ等は発生せず、圧力及び管内流量も安定していた。また、実験終了後の各内部構造にも異常は認められず、強度を増したスリット板と衝突板の改良も有効であった。よって、今回の実験範囲(スリット部流速約30m/sec、総処理量2000m3)では、装置の耐久性に関して何ら問題はないものと判断する。
 
6.11 船上搭載試作機の水生生物損傷効果及び閉塞対策と耐久性
 船上搭載試作機の水生生物に対する損傷効果は、次のようにまとめられる。
●植物プランクトンの主要構成分類群である渦鞭毛藻に対する1pass処理の損傷効果は、100μm以上のサイズでは100%であるが、サイズが小さくなるほど低くなり、全体(全サイズ)では34.43%にとどまった。なお、20μm以上の損傷率は62.59%で、2pass処理を想定すると約86%になる。もう一つの主要構成分類群である珪藻に対する1pass損傷効果は、100μm以上のサイズでは89.08%であるが、それ未満のサイズでは50%台であった。なお、20μm以上の損傷率は56.93%で、2pass処理を想定すると約81%になる。すべての植物プランクトンを合計した場合には、小型装置の実験結果と同様に、珪藻が多くを占めるため、ほぼ珪藻に対する効果と同じ結果になる。このように、植物プランクトンに対しては、一定レベルの効果が得られるものの、種類やサイズによっては、低い効果しか得られない場合もある結果となった。
●全動物プランクトンに対しては、1pass損傷率が約80%で、2pass処理を実施したと仮定すると95%に達する効果となる。各分類群でばらつきが認められた中で、一定レベルを超える効果が得られたのは、すべての海域において常時出現数が多いカイアシ類等の終生プランクトン生活者に対して高い損傷効果が得られたためである。一方、多膜類繊毛虫の Favella のように終生プランクトン生活者の中にも、機械的刺激に対して耐性の強い種類の存在も明らかになった。
 
 閉塞対策に関しては、自動制御を行えるように改良した。実験の結果、それらは正常に作動した。また、処理時間に対して作動時間が限られるため、水生生物に対する効果への影響も無視できる程度のものである。
 
 耐久性に関しては、スリット板及び衝突板に改良を加えて補強したこともあり、17時問(総流量約2000m3)の処理の範囲では、何も問題はなかった。







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