3.9 実験手順及び物理条件
(1)小型装置の水生生物損傷基本効果実験
図II.3.9-1には、小型装置の水生生物損傷基本効果実験の手順を示した。なお、実験は5回実施し、そのうち第1回実験では、小型装置での処理を2回繰り返す2pass実験も実施している。
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図II.3.9-1 小型装置の水生生物損傷基本効果実験の手順 |
表II.3.9-1には、各実験時の物理条件を示した。
実験は、平成13年度の成果及び実船への適用を考慮して、流量:115m3/時間、スリット部流速30m/sec、圧損450kPaを基本に設定して実施したが、各物理条件の観測値は概ね設定値どおりであった。
表II.3.9-1 小型装置の水生生物損傷基本効果実験時の物理条件 |
実験名称 |
実験日 |
天候 |
装置通過(処理)回数
(回) |
流量
(m3/hr) |
スリット部流速
(m/s) |
装置上流側圧力
(kPa) |
装置下流側圧力
(kPa) |
装置前後での圧損
(kPa) |
第1回実験 |
9月2日 |
晴 |
1 |
115.7 |
30.32 |
526.2 |
81.16 |
445.0 |
2 |
116.3 |
30.48 |
531 |
84.38 |
446.6 |
第2回実験 |
9月3日 |
晴 |
1 |
115.4 |
30.25 |
527.6 |
80.89 |
446.7 |
第3回実験 |
9月4日 |
晴 |
1 |
115.1 |
30.18 |
523.7 |
79.4 |
444.3 |
第4回実験 |
9月9日 |
晴 |
1 |
114.4 |
29.98 |
517 |
71.93 |
445.1 |
第5回実験 |
9月10日 |
晴後一時曇 |
1 |
114.9 |
30.11 |
519.9 |
71.44 |
448.5 |
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(2)高速処理による損傷効果向上検討実験
図II.3.9-2には、高速処理による損傷効果向上の検証実験の手順を示した。なお、実験に用いた装置は、パイプ内径49.5mmの装置(基本効果実験で用いた小型装置はパイプ内径100mm)である。
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図II3.9-2 高速処理による損傷効果向上検討実験の手順 |
表II.3.9-2には、各実験時の物理条件を示した。
高速処理実験は、「小型装置の水生生物損傷基本効果実験」時の物理条件に対して、スリット部流速が約1.3倍の41.24m/sec、圧損が約2倍の929.2kPaで行った。
表II.3.9-2 小型装置の高速処理による損傷効果向上の検証実験の物理条件 |
実験日 |
天候 |
流量
(m3/時間) |
スリット部流速
(m/s) |
装置上流側圧力
(≒圧損)注
(kPa) |
9月14日 |
晴後一時曇 |
32.58 |
41.24 |
929.2 |
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注: |
本実験では、装置から下流の配管長さを大幅に短くしたため、装置から下流の流体摩擦による圧力は無視できるほどである。よって、上流側の圧力が装置前後の圧損とほぼ同じと考えられる。 |
(3)長時間連続運転による機械的問題点の検討及び閉塞対策の作動要件と水生生物損傷効果への影響実験
図II.3.9-3には、小型装置の長時間連続運転による機械的問題点の検討及び閉塞対策の作動要件と水生生物損傷効果への影響実験の手順を示した。なお、通常500〜550kPa程度の上流側圧力が600kPa以上に達した場合に、閉塞状態にあることとした。
連続運転で600kPaに達しない場合には、ポンプ口から砂を投入して強制的に閉塞状態(10分、2回)にして、閉塞時の水生生物損傷効果と閉塞対策の作動による閉塞状態解消の確認を行った。
図II.3.9-3 小型装置の長時間連続運転による機械的問題点の検討及び閉塞対策の作動要件と水生生物損傷効果への影響実験の手順 |
表II.3.9-3には、各実験時の物理条件を示した。
2時間の連続運転では、閉塞に伴う流量の減少と圧損の増加が認められたが、その変化は僅かであり、閉塞状態にあることとして設定した600kPaに上流側圧力が達することはなかった。砂投入による強制閉塞では、流量が85.55〜92.14m3/hr「と通常の10〜20%程度減少し、上流側圧力が611.0〜639.3kPaと10〜20%程度上昇した。
表II.3.9-3 小型装置の長時間連続運転による機械的問題点の検討及び閉塞対策の作動要件と水生生物損傷効果への影響実験の物理条件 |
<連続運転>
運転開始:9月11日13時20分〜終了:9月11日15時20分
実験日 |
天候 |
装置運転
経過時間 |
流量 (m3/hr) |
スリット部流速(*)
(m/s) |
装置上流側圧力
(kPa) |
装置下流側圧力
(kPa) |
装置前後での圧損
(kPa) |
9月11日 |
晴 |
開始直後 |
114.9 |
30.11 |
515.0 |
73.75 |
441.3 |
0.5時間後 |
111.5 |
29.22 |
531.3 |
88.27 |
443.0 |
1時間後 |
107.4 |
28.14 |
548.3 |
83.16 |
465.1 |
1.5時間後 |
106.5 |
27.91 |
552.8 |
82.92 |
469.9 |
2時間後 |
104.8 |
27.46 |
560.0 |
81.81 |
478.2 |
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<連続運転>
実験日 |
天候 |
強制閉塞
試験時間 |
流量
(m3/時) |
スリット部流速(*)
(m/s) |
装置上流側圧力
(kPa) |
装置下流側圧力
(kPa) |
装置前後での圧力差
(kPa) |
9月11日 |
晴 |
第1回:
15:40〜15:50 |
92.14 |
24.14 |
611.0 |
52.10 |
558.9 |
第2回:
16:35〜16:45 |
85.55 |
22.41 |
639.3 |
46.26 |
593.0 |
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(*)スリット部流速:砂の投入(閉塞)でスリット部の面積が狭くなっていると考えられるが、面積縮小程度が不明であるため面積を特定することができない。よって、スリット部流速は、閉塞のない通常のスリット部面積を用いて算出して参考値である。 |
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