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◆(四)
 米クリントン政権はモノやカネを与え北朝鮮を軟着陸させるという政策を五年余とってきた。その答えは金正日によるクーデターにも似た「儒教的軍事独裁政権」の樹立である。これが軟着陸政策の失敗でなくて何だろう。この事実から引き出される教訓は、対北朝鮮政策で必要なことは援助ではなく抑止力の強化ということであるはずだ。それなのに逆の政策がとられているのは、根本において米国を初めとする日韓が金正日の戦争恫喝におびえているからだ。
 日朝交渉で信じがたい屈辱外交がなされているのは「戦争になったらどうしよう」という及び腰に総ての原因があるのだ。諸悪の根源は「儒教的軍事独裁政権」にある。米韓日三国が本当に決意して「やれるんだったらやってみろ」といって援助をストップしてしまえば、瞬く間に金正日政権は崩壊してしまう。そうすれば拉致問題もかたづく。七十パーセントの北朝鮮国民も死ななくてすむし、韓国も混乱しなくてすむ。なぜ、このような決断ができないのか。優柔不断の政策こそが、多大の犠牲を生むことになるのだ。
 この政権がなくなった後にこそ食糧援助が必要であり、援助が生きてくるのである。今の政権への食糧支援は文字通り軍の戦力保持、戦争につながることを知るべきである。
著者プロフィール
佐藤勝巳(さとう かつみ)
1929年、新潟県生まれ。
日朝協会新潟県連事務局長、日本朝鮮研究所事務局長を経て、現在、現代コリア研究所所長。
「救う会」会長。
 
 
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