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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


◆部分的に「クロス承認」を許容
 しかし、そうはいっても、北朝鮮は「二つの朝鮮」反対の原則を崩したわけでも、「クロス承認」反対の原則を完全に捨てたわけでもない。もしそうであるならば、国際連合での「二つの議席」に明確な支持を表明し、かつての東西両ドイツと同じように、南北朝鮮がそれぞれ相手政府を正式に承認し、二国間条約を締結すればいいのである。韓国はそれを歓迎し、北朝鮮以外にそれに反対する国は存在しない。
 そうではなく、むしろ「二つの朝鮮」反対の原則を従来以上に高く掲げながら、今回、北朝鮮は「クロス承認」を部分的に許容し始めたと考える方がわかりやすい。今後は、「二つの朝鮮に反対だから、クロス承認は認めない」という論理が次第に姿を消し、徐々にではあるが、「二つの朝鮮に反対ならば、クロス承認でもかまわない」という論理が登場してくるだろう。最終的には、「クロス承認」を完全に許容することもありうる。それが「パワー・ポリティクス」の論理である。
 それでは、現在の北朝鮮の外交戦略を簡潔に要約すれば、どうなるのだろうか。今回は、とりあえず第一段階として、韓ソ国交樹立と日朝国交樹立を「相互乗り入れ」的に許容し、しばらくはその段階に止まろうというのであるから、「二段階クロス承認」という表現が適切であるだろう。かりに、一挙に「同時クロス承認」まで進めようということであれば、北朝鮮は公式にそれを表明するはずである。第一段階にとどまる間は、この「二段階クロス承認」論は公式には表明されない密教的なドクトリンでありつづけるだろう。
 また、「二段階」という言葉には、やがて中韓間なり、米朝間に外交関係が設定されるときには、一方だけということは考え難く、その二つが今回と同じように相互に連動し、再び「相互乗り入れ」的に実現するだろうという意味が込められている。北朝鮮としては、将来、国際情勢がさらに成熟し、南北対話がある程度実を結べば、第二段階として、米中両国の「相互乗り入れ」を許容するということだろう。
 南北対話について述べるならば、日朝国交交渉の早期妥結を目指す北朝鮮としては、現在進行中の南北首相会談の決裂を回避しなければならない。それが決裂すれば、韓国側が日朝交渉に介入する口実を与えることになるからである。したがって、十月中旬に予定される第二回平壌会談後、年内にソウルで第三回会談が開催される公算が大きくなった。その後の見通しは確実ではないが、最悪の場合でも、「チーム・スピリット」米韓合同軍事演習期間中の「一時的な中断」以上のものにはならないのではないか。
 
 
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