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読売新聞朝刊 1994年11月14日
米朝合意 日米韓で実現に連携 日韓首脳が一致 軽水炉転換支援は国際的体制で
 
 【ジャカルタ14日=馬野耕至】アジア太平洋経済協力会議(APEC)の非公式首脳会議出席のため、インドネシアを訪問中の村山首相は十四日午前、金泳三・韓国大統領を手始めに、中国の江沢民・国家主席、米国のクリントン大統領と個別に相次いで会談。日韓首脳会談の中で、両首脳は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題をめぐる米朝合意を評価し、北朝鮮が義務を誠実に履行する必要があるとの認識で一致するとともに、合意実現にむけて日米韓で密接な協力を図ることで合意。軽水炉支援問題では国際的な体制づくりの必要性でも一致した。APEC参加各国・地域首脳は十五日の非公式首脳会議に先立ち、十四日夕(日本時間同日夜)、スハルト・インドネシア大統領主催の夕食会に出席する。(日韓首脳会談の要旨、関連記事2面に)
 ◆共同声明を尊重 日中首脳会談で一致
 日韓首脳会談は、十四日午前七時三十分(日本時間同九持三十分)すぎから、金大統領が宿泊しているジャカルタ市内のホテルで、朝食をともにしながら約一時間行われた。この中で、村山首相が米朝合意を受けた北朝鮮の軽水炉転換支援問題について「G7(先進七か国)諸国を含め国際的にきちっとした支援体制を作っていくことが必要だ」と指摘したのに対して、大統領も同調した。
 首相は、日朝国交正常化交渉再開問題について「いま、正常化交渉は中断しているが、北朝鮮の対応いかんでは、いつでも再開する用意はできている。与党三党の訪朝団の話はあるが、政府と十分相談しながら進めていくつもりだ」と述べた。また、大統領が北朝鮮への経済協力の意向を表明したのに対して、首相は南北対話の進展による朝鮮半島の緊張緩和に期待を示した。
 日中首脳会談は、同日午前十時十五分(日本時間午後零時十五分)すぎから、ジャカルタ・コンベンションセンターで行われた。
 会談で村山首相は、先の李登輝台湾総統の広島アジア大会出席問題で日中間にキシミが生じたことに関連して、日中共同声明を順守する意向を強調。これに対し、江沢民主席は、「一つの中国、一つの台湾は認められない。日中関係は歴史を忘れることなく対応することが重要だ」と指摘した。
 首相は、来年、大阪で開く予定のAPEC非公式首脳会議への台湾首脳の出席問題に関して、「シアトル、インドネシアでのやり方を踏まえて対処する」と述べて、これを認めない方向で対処する考えを示した。
 また、首相は第四次円借款供与について、前半の三年部分についての大枠合意を図りたいとの考えを表明すると同時に、ODA(政府開発援助)四原則に言及しながら、中国の軍事支出の増大、核実験についてけん制した。
 
 
 
 
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