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毎日新聞朝刊 1991年5月16日
「恩恵」は都内の元ホステス 大韓機事件・金元工作員の教育係
 
 一九八七年十一月に起きた大韓航空機爆破事件の犯人とされた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員の日本人教育係「李恩恵(リ・ウネ)」の身元割り出しを進めていた警察庁と埼玉県警は十五日、埼玉県出身で新潟・佐渡生まれの母を持ち、中高生の一男一女がある元ホステス(35)と確認したとして、十七歳当時の元ホステスの写真を公表した。
 同庁によると、この元ホステスは埼玉県内の高校を中退後、東京都内のキャバレーで「ちとせ」と名乗っていたが、七八年六月、二十二歳の時姿を消して行方不明となった。元ホステスが「恩恵」ではないかとの見方は事件直後から浮かんでいたが、家族が現在も北朝鮮にいる本人の身を案じてか、詳しい事情説明に応じなかったことなどから難航していた。
 金元工作員によると「恩恵」は自分の名前を「ちとせ」と名乗ったと供述。家族について「母親は佐渡の出身で、調理師だった。埼玉県に住む姉はテニス選手で、夫と子供がいる。兄は会社員で、バングラデシュに出張したことがある」と語っていたとも述べていたが、これらは元ホステスの家族関係などと合致した、と公安当局は説明している。
 警察庁は十四日、捜査官を韓国に派遣。十五日午前に金元工作員と面会し、元ホステスの十七歳当時の写真を含む複数の顔写真を示したところ、元ホステスの写真を選んだという。
 
 
 
 
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