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将来への展望
 男女雇用機会均等法ができ、女性が子育てしながら働くことが、本当に肉体的にも精神的にも安定したのかなという思いの中で、女性が働くとは、まして2人、3人と子どもがいて働くとは、今の世の中、うまくいくことばかりではないようです。今まで、残業もできない、子どもの病気ですぐ帰るなどと言われ続けた母親も少なくないのではないでしょうか。
 母親が安心して働くために、母親が安心して子育てできるために、今の時代、延長保育・一時保育は、以前より重要になってきているのでしょう。
 ここ数年、子どもの入所数が増え、それにつれて延長保育利用の子どもたちも増えています。その対応に保育士たちが必死で子どもたちを楽しく、安心して過ごさせるためがんばっているというのが現状かもしれません。長い子で12時間という保育園生活をイライラせず、安心して過ごせているのだろうか。子どもたちは、本当に幸せなのだろうか、という思いも正直あります。子どもたちの表情を見ていると、お友達同士遊んだり、小さい子をかわいがってくれたりと、お迎えまでの時間を、あたりまえのように過ごしています。たまには、だだをこねたり、泣いてしまう子もいます。
 今までは、親優先で来ていたように思います。延長保育を利用する保護者と懇談会や、話す機会を設け、ただ利用するのではなく、子どもの生活を最大限に守るため、生活リズムの整え方、食事そして精神面のケアなど子どもたちにとって、幸せな延長保育にしていかなければと思っています。ますます利用が増えて、時間がどんどん延長していくであろう将来、保護者と子どもの幸せを考え、境界線をどこで引くか、保育園が決断を迫られる日も来るのではないでしょうか。
 保育制度が変わり、2.5割増しで入所してくる子どもたち。一時保育も受け入れ体制が十分とれないということで、お断りすることもたびたびです。待機児童をなくすため入園児はどんどん来る。一時保育も受け入れる。子どもの保育を十分行うためにはどうすればいいのか、とのジレンマが現場職員の中でかけめぐっているのも事実です。
 将来的には、誰でも自由に利用できる一時保育センター作りを進めようとしています。ただ困難なことが多く、実現までにはまだ何年もかかります。今始めているのが、子育て支援の「親子で遊ぼう会」の中で、子育て経験豊かなおばあちゃんのような方による「一時保育 ばあやの里」です。虐待が毎日のように報じられ、追いつめられている親子がたくさんいるのではないでしょうか。この親子のためにも、一時保育センターで一時保育を利用し、子どもは遊びを楽しみ、お母さんはリフレッシュする、そういう地域のつながりを大切にし、これからは現場の声をもっと届け、働く女性、子育て中の女性が生き生きと過ごし、子育てに生きがいが持てるように、これから先もがんばっていきたいと思います。
 毎日おはようと元気に保育園に来る子どもたち、散歩の途中、「こんにちは」と挨拶をかわす親子が幸せであるために、すべての大人たちが子育てに協力し、子どもたちの将来を築くため今後もよりよい保育園を目ざして行きます。








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