日本財団 図書館


おわりに
 つい先日(平成13年9月の初旬)、新潟県内の保育園園長たち15名でベルギー、オランダへ保育視察と研修に行ってまいりました。国としての基盤が異なる上に組み立てられている制度ですから、全部参考になるわけではありませんが、オランダの保育園で、保育時間の考え方が、私たちの発想と違うことに気付きました。我が国では通常の保育時間というものを設定しておいて、それ以上のプラスαが延長保育と位置づけていますが、オランダでは通常の保育時間が午前7時から午後7時であって、その間に何時に降園するかは親の選択によるということだそうです。したがって延長保育という言葉はないということでした。このような逆の発想もあることに気付いてまいりました。
 さて、目を日本に転じれば、親の立場からすれば、もっと労働時間が短ければ、家庭で子どもと一緒に過ごす時間が増やせるのにと考えている人も多いと思います。不況が続き、企業はコスト削減のため、なるべく少ない人員に多くの仕事をさせるように努力しているようです。日本の年間総労働時間は、パートタイムを除く一般労働者で1人あたり2,004時間にも上っているといいます。相変わらずの長時間労働社会になっています。前記した当保育園の父親のように、この不況の時代に、あれこれ言ってはいられないのが現実なのかもしれません。
 経済的な理由から共働きが増える、と予測されるこれからの時代です。男性も女性も、働きながらゆとりを持ち、子育てができる社会になっていくことが望ましいと思います。それを側面から支えていくのが、保育園であると自負しております。乳幼児の心に、暖かな灯をともしていく仕事に誇りをもって、園長始め職員は歩み続けて行くことでしょう。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION