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第4分科会 対応困難な保護者とのかかわり
 司会者   高木美恵子 (花園町・花園保育園長)
 提案者   横地みどり (逗子市・双葉保育園副園長)
 助言者   高橋  紘 (日野市・至誠第二保育園長)
 
提案要旨
対応困難な保護者とのかかわり
横地みどり (逗子市・双葉保育園副園長)
 
 家庭育児機能の低下が言われ、虐待・キレる若者などの記事が新聞にしばしば載る昨今、様々な保護者がいるのは当然だろう。保護者の質は、地域や園によりだいぶ違うだろうが当園においての対応困難な保護者のタイプを整理分類し、そのかかわり方を考えてみる。
 対応困難な保護者は、概ね3つのタイプに分かれる。
 [1] 子ども自身に問題がある場合
 [2] 保護者自身に問題がある場合
 [3] 自己中心的な保護者たち
 [1] は、子どもが障害等の問題を持ち、保護者がそれを受け入れないケースである。これは、保育士と保護者にギャップが生まれ、日常保育において対応困難になる。まずは、保護者にさり気なくかかわり、その積み重ねでつながりを作り相手の気持ちをとらえる。子どもの発達を日々の接触のなかで、保護者によくわかるよう客観的に知らせていく。相手を思い、つい「今日は〜が出来ましたよ。」と主観的になりやすく、障害ゆえの発達の遅さやアンバランスを正確に伝えられない。これは保護者が障害等を理解する妨げとなる。理解を示してきたら、次の段階は、保育園の支援の範囲を示しつつ、専門機関への相談を促し、多岐にわたる援助を展開している。
 [2] は、保護者が精神的な病気・普通でない気質(マタニティブルー等)を持っている場合である。これは[3]と見分けがつきにくく判断が難しい。いくら働きかけても、正反対に物事をとらえてしまったり、歯車が全く合わなくなる。変だなと思っていても軽はずみに父親等に話を持っていき反感をもたれても困る。ただこの場合、園だけでは対応しきれないので、専門機関へ依頼するタイミングを的確にしなければならない。
 [3] は、いわゆる自己チュー親・育児放棄・育児無知の大人中心的な考えをもつ人々などである。自分のその時の都合ばかりを言ったり、働きかけに拒否反応を示す場合もある。これらは、[1] と同じように日頃より働きかけ関係を作り、親としての自覚をつけさせることが大切である。
 以上の範疇に入らない保護者もいるだろうが、基本的にはさりげない日常のふれあいから関係をつけるのが第一歩である。その第一歩から次へと深く切り込んでいくのは現場の担任達である。まだ未熟な若い保育士や相性の合わないケースもある。主任・園長は、担任と保護者の関係を観察し、対応の仕方をアドバイスしたり、その場に同席、参加しケアを進める場合もある。主任、園長の他に専門的知識をもったスーパーバイザーを用意し、スーパービジョンも必要とする。また、保育園機能の中だけでなく、他領域の専門家からのコンサルテーションを受けなければならない複雑なケースもあるのが現状である。








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