第1分科会 相談者の資質の向上と保護者とのかかわり
司会者 佐藤 和子 (青梅市・上長渕保育園長)
提案者 関根 晶子 (所沢市・優々保育園主任保育士)
助言者 迫田 圭子 (立正大学助教授)
提案要旨
相談者の資質の向上と保護者とのかかわり
関根 晶子 (所沢市・優々保育園主任保育士)
初めまして。埼玉県所沢市の、優々保育園の関根と申します。今日は、子育ての不安を抱える保護者に対応するために、担当者はどのように資質を向上させるべきか、事例を元にお話をさせていただき、この分科会の提案とさせていただきたいと思います。
優々保育園では、平成10年度より、市の委託を受け、子育て支援センターとしての活動を実施してきました。保育園でサークル活動が行われる日は、毎回たくさんの親子が集まってきます。
同時に、担当者が、育児相談を受ける機会も多く、電話やサークル活動の合間に対応する他、面談という形をとり、ゆっくりお話することもあります。
今回は、面談や電話による相談を継続的に行い、母親の育児不安の解消に結びついたと思われるケースをお話致します。
ある日、4歳の児を連れた母親が、保育園を尋ねてきました。我が児のわがままに、つい叱責してしまうが、同時に、自分は駄目な母親だと悩んでいる、ということでした。引っ越しをしたばかりで、周囲に頼れる人もなく、保育園を頼ってきたというのです。
とりあえず、子どもと少しの間でも離れることで母の気持ちが納まるならと、一時保育を利用する方向になりました。
母親は、当初は泣きながら電話をしてきたり、一時保育利用日になると大丈夫だからとキャンセル、しかし程なく、やはり混乱した様子で電話をしてくるなど、かなり不安定な様子を見せていました。
その時は相談担当者が十分に話を聞くことで落ち着きを取り戻し、保育園にも定期的に通うようになってきました。そのうち母親も、児を保育園に入園させ、自分も仕事を探す気持ちになったようです。
現在、母は自宅近くの老人ホームでヘルパーの仕事をし、児は同じ法人の保育園に通っています。入園1ヵ月ほど経って、母親から電話があり、保育園にもすっかり慣れたと、うれしそうに話してくれました。その他、自分の腰痛はつらいが、頑張っているとのこと、そして、接骨院に通院したいので、近所の病院を教えて欲しいとの話もありました。
この事例に対し、相談担当者がしてきた事は、とにかく話を聞くということです。相談者の気持ちが高ぶっているときは、落ち着くまで話してもらってから助言をする、励ましの言葉は「頑張って」でなく、「それでいいのよ。頑張っているじゃない」と、相談者の気持ちを受容し、共感することです。
それにより、相談者である母と、担当者の間に、信頼関係が築かれたと思います。また、それがあるからこそ、担当者と話をする内に、気持ちが軽くなったのだと思います。
相談者に信頼されるに足る人間性を持ち合わせること、さらに知識や経験の積み重ねが、保育士に必要であると思い、努力していますが、更に、保育士としての資質の向上を、どのように図ればよいか、皆さんのご意見を伺いたいと思います。