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パネルディスカッション 長時間の保育と乳幼児の健康管理
 
司会者 山田 和子 (東大阪市・マーヤ保育園長)
パネラー 山上佳代子 (大阪小児科医会理事)
  大東真理子 (東大阪市・弥刀さつき保育園長)
  島村 由紀 (堺市立浜寺石津保育所看護婦)
 
提案要旨
長時間の保育と乳幼児の健康管理
山上佳代子 (大阪小児科医会理事)
 
 長時間保育を実施している保育園にたずねました。
 長時間保育を受けている子は病気がちか?
 「乳児のあいだは保育園にきていればみんなよく病気をします。幼児になれば長時間保育を受けているこの方が生活リズムが整って、かえっていきいきしているし、しっかりしていますよ。」
 
 健康に育てるかなめは睡眠、食事、ゆったりとすごすこと。
 
提案要旨
長時間の保育と乳幼児の健康管理について
大東真理子 (東大阪市・弥刀さつき保育園長)
 
 現在わが園においては、午前7:00〜午後8:00までの13時間の延長保育に取り組んでいます。
 早朝保育と夕方の延長保育を利用されている子どもも多く、長時間集団生活の中で過ごすことは、精神的にも肉体的にもかなりの負担がかかっていると思われています。
 今年度わが園では0歳児は全員が延長保育であり、1・2歳児もかなりの人数が延長保育に入っています。長時間保育の時間になりますと、乳児クラスと幼児クラスとわかれ、そのあと夕方のおやつ(5:15ごろから)をすませてから、また少し人数が減ったところで全クラスの合同保育となります。
 異年齢の子どもや他のクラスの保育士と交流をもつという点では多くのメリットがあり、子どもたちの発達にも多大な刺激を与えていると思われます。しかしそれと同時に、担任がいないことによる精神的な不安や、長時間集団生活のため、病気にも感染しやすかったり、ストレスがたまったりとデメリットも否定できません。特にインフルエンザなどの流行しやすい冬場や、おたふくかぜ、水痘などの伝染病が流行しやすい時期には、長時間保育を受けている子どもたちから感染していく傾向があると思われます。
 また、長時間保育園にいることで、家庭に帰ってから夕食、お風呂、就寝時間がずれて、なかなか眠れなかったり、また朝は眠ったままや、朝食を食べずに登園する子どももいて、不規則な食事、睡眠不足、親子のコミュニケーション不足などの、さまざまな問題が起こりやすく、子どもたちの小さな身体にいっぱいの負担がかかっているのではないかと考えられます。
 しかし、私たち保育士はこのような状況のなかでも、子どもたちが健全に発育、発達をするためにはどうすればいいのだろうか、と考えます。
 まず、園生活においては、できる限り精神的、肉体的にもストレスが起きないように配慮し、充分な遊び、栄養摂取、大人とのコミュニケーションなどを保障してあげることが重要であると考えています。
 また長時間保育を担当する保育士が、きちんと一人ひとりの健康状態を把握し、子どもたちの体調については、担任と担任以外の保育士とも連絡を密にしていかなければならないと思っています。
 家庭における問題点については、個々の保護者と話合いをもちながら、子どもたちの発達に必要な生活時間の保障については、指導していくことが大切であると思います。
 また子どもたちについては、できる限り園にいる時間が楽しく、快適であるように保育士が努力しなければならないと考えています。
 今後将来的にはますます長時間保育の子どもが増え、保育時間も長くなる傾向にあると思いますが、保護者のニーズにも応えながら幼い子どもたちにとって、何が一番大切であるかを伝えていくことも、忘れてはならない保育士の大切な仕事であると日々努力しております。
 
提案要旨
延長保育の健康管理
島村 由紀 (堺市立浜寺石津保育所看護婦)
 
 堺市立保育所では、平成11年6月より、夕方の保育時間が18時30分から19時までの延長になり、内6ヶ所の保育所が20時までの保育時間になり、現在に至っている。堺市の保育所では乳児保育所に昭和44年に看護婦1名が配置されたのをはじめとして、昭和53年には、全保育所に看護婦が配置された。保育所が保護者のニーズに合わせて、多様化する中で、保育所における乳幼児の健康管理がより大切になってくる。日頃から行っている保育所における健康管理と延長における健康管理に配慮していること、また今後の課題についても考え、提案していきたい。
 
健康管理について
[1] 保育所児童の健康管理
[2] 延長保育における健康管理
・ 健康観察
・ 生活リズムと環境
・ 食事について
・ 保護者と保育所間の連携
・ 母子関係
・ 嘱託医・医療機関との連携
・ 危機対応
・ その他
[3] 今後の課題








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