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第1分科会
保育環境の清潔対策
司会者  酒井 誠子(横浜市・汐見台愛育園長)
提案者  廣岡 菊美(所沢市・優々保育園看護婦)
助言者  春日 文子(国立感染症研究所食品衛生微生物部主任研究官)
提案要旨
保育環境の清潔対策
廣岡 菊美(所沢市・優々保育園看護婦)
1.はじめに
 
 日常の保育活動の中で子どもたちが健全に成長・発達していくためには、どのような保育環境が望ましいのか。人的環境にある私たちは、そこにどのように関わり、支援していくのが望ましいのか。様々な保育環境がある中で、子どもたちの健康を考えるとき、衛生的で、かつ安全な環境を重視していかなければならないと思います。この機会に優々保育園の保育環境の清潔対策を提案し、望ましい対策について考えていきたい。
2.優々保育園の保育環境
 
 埼玉県の西部に位置し、緑豊かな自然環境に恵まれ、閑静な住宅地の中にあります。また、同じ敷地内に特別養護老人ホームが隣接しており、日々の保育の中で、園児とお年寄りの交流が盛んに行われ、思いやりとやさしさを育む環境があります。
 職員の構成は、「家庭環境と同じような環境を幼子に」との視点から、保育士の幅広い年齢層と、子育て経験者を各クラスにバランスよく配置し、豊かな人間形成の基礎が育まれています。定期的、あるいは随時、処遇検討会議を行い、全職員が課題を共有しています。必要に応じて園内研修も行い、日々望ましい保育を探求しています。そこには、健全な成長・発達を願う保育者の科学的で愛情あふれる環境があります。
3.清潔対策の方法(消毒の方法と清潔対策)
 
[1]設備  イ 屋内(沐浴槽、トイレ、床、畳、流し台)
     ロ 屋外(砂場)
[2]備品  イ 屋内(ベット、メリーゴーランド、玩具、テーブル、椅子、オマル、寝具、エアコンフィルター)
     ロ 屋外(プール、砂場遊びの玩具)
[3]職員
 日頃の健康管理、定期健康診断、保菌検査(O157も含む)、予防注射、手洗いの徹底、うがいの徹底、子どもの鼻水を拭いた後始末。トイレ介助後の始末。
[4]児童
・朝の受入時の健康観察
 (皮膚の状況、衣類の汚れ、入浴・洗髪、眼脂、爪の観察)
・紙おむつの処理
・手洗い指導、ペーパータオルの使用
・粘土遊び・ボディペンティング・プールに入る前の陰部、おしりの清潔
[5]保護者
 必要に応じて連絡を取り合う。
 保健だより、掲示物を利用し、清潔対策方法の啓発
 (体の清潔、皮膚の清潔、衣類の清潔)
4.環境調査について
 
 事例: 表面についている細菌数を調べ、対策を考える。
 方法: 表面付着菌測定(ふき取り)検査、(武蔵臨床検査所)検査項目(一般生菌・大腸菌群)
 ※いずれも同じ日時(午後2時)
 検体: おむつ交換用ベッド、沐浴そう、厨房のガラス・エレベーター、ひよこ組の流し台、たんぽぽの流し台
5.おわりに
 保育園での衛生環境は、家庭環境に比べると保育園の環境の方が、より衛生的ではないでしょうか。やはり、集団生活のため、感染症や伝染病の予防を重視した結果だと思います。保育現場にはいろいろな消毒、殺菌効果を期待した薬液が常備してありますので、逆性石鹸の使い方等、その用途に合った薬液の選択など、安全で最大の効果が得られるよう、職員間の共通の認識が重要だと思います。
 また、最近の家屋の建材には、シックハウス症候群の原因となる有害物質が使われており、このことにも目を向けていかなければならないと思います。清潔でクリーンな空気を提供するということで空気清浄機など整備しつつありますが、子どもたちの自然適応能力の育成が阻害されはしないか、安全性はどうなのか。望ましい保育環境についてさらに深く考えていきたい。
 
[1] 設備

     室内

沐浴槽 使用後に必ず水を流して清潔を保つ
1日1回市販されているバスマジックリンで洗う
1日の終りには水分を残さず拭き取る(乾燥させておく)
トイレ 毎日、オスバン液200倍で水拭き
下痢が発生したときはピューラックス300倍液を使用
床・畳 基本的には水拭き。1週間に一度はオスバン液200倍液を使う。感染症(鵞口瘡が多い)の発生時はオスバン液200倍を使う。ロタウイルの疑いがあるときはピューラックス液200倍。
流し台 基本的には市販されている台所用洗剤を使用、1日の終りには水分を残さず乾燥させておく。
 
     屋外

砂場 業者による定期的な高温殺菌、オゾン殺菌
定期的に砂場を掘り起こし、日光に当てる。
園独自の砂場の蓋を使用し、犬・ネコの糞を遮断している。
 
[2] 備品

     屋内

ベッド 毎日水拭き、感染症が発生したときはオスバン。必要に応じてピューラックス。
玩具・ぬいぐるみ 基本的には日光消毒、感染症(鵞口瘡)の発生のときは、一度使ったら、別の容器に入れ、ローテーションで使う。オスバン液200倍液使用
テーブル・椅子 そのつど水拭き、清潔な布巾を使う(1日1回はピューラックスで消毒し、乾燥させる)
オマル そのつど水洗い後、日光消毒。日光消毒できないときは、消毒用アルコールで拭いておく。
寝具 日光消毒。汚れたらそのつど水拭きし、消毒用アルコールで拭く。
エアコンフィルター 定期的に清掃する
 
     屋外

プール 残留塩素濃度を測定して記録する。
0.6ppm〜0.8ppm保持

※消毒液の作り方、便利グッズの紹介








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