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剣道を通して学んだこと
山王武徳館
小学6年生
田畑耕太郎
 
 ぼくは、剣道を通していろいろなことを学んできました。前に出ることや、礼儀の大切さのことなど、まだまだありますが、そのいろいろなことの中から三つをえらび話したいと思います。
 一つ目は、「積み重ねることの大切さ」です。ぼくは、剣道を始める前までは運動神経が悪く、とくに走ることなどまったくだめでした。ですが、剣道ならば走ることもあまりかんけいがなく、運動神経の良い悪いもえいきょうしないのではないか、と考え、入門しました。入門してからは、基本の練習のくりかえしで、決しておもしろいものではありませんでした。また、これで本当に強くなれるのだろうか、と思ったときもありました。ですが、病気にかかった日以外は、一度も休まずに剣道の練習に励みました。そんな練習を続けて一年、六年生になると、一つの大会でなんとか1本をとれるようになってきました。そして、何度か試合に出てみて何よりも積み重ねが大切なんだ、と分かったのは、手首を使って打てるようになってきたことです。初めは曲がりもしない手首だったのが、何十回も何百回もくりかえし打ちこみ台に向かって練習していたところ、なんとか手首がやわらかくなり、曲がるようになってきました。もっともっとやわらかくなってくると、振りのスピードが格段に上がり、小手などの細かい技もきまるようになってきます。これからも「積み重ねること」を基本に、「けい古」につとめます。
 二つ目は、「自分が打たれることで知る相手の痛み」です。これはある大会のあいさつで、役員の方が言っていたことですが、剣道などの武道と他のスポーツとの大きなちがいだそうです。たしかに自分が初めて面をつけて打たれたときも、目が回るほど痛く、同時に相手もこれほどの痛みを感じているんだな、とはじめてそのとき気がつきました。自分が打たれることで知る相手の痛み。このことは、剣道が思いやりの心を教えてくれているのではないか、そして、これは、ふだんの勉強では絶対に体験できない大切なことです。
 三つ目は、勇気の大切さです。ですがその前に、そもそも勇気とはなんなのかー。それは相手がこわいという気持ち、今打ちこんでも逆に打たれてしまうのでは・・・。という不安な気持ちに歯止めをかけ、強い気持ちを奮い立たせ、相手に向かっていくことだとけい古に励んでいます。もし、剣道で相手に圧倒され、一歩でも引き下がることがあれば、あっという間に相手につけこまれてしまい、チャンスをあたえることになります。逆に気持ちを奮い立たせ、前へ、前とせめこんでいけば、相手の技もふうじることになる、ということも剣道を通して学んできました。本当の勇気というのは、あとさき考えずにただ無鉄砲につっこんでいく、ということとは、またちがいます。「けい古」を積み重ね、本当の勇気で相手を圧倒し、そして、一本を勝ちとる。そんな剣道が自分の目標です。
 最後にー。ぼくは今まさに、剣道という“もの”のスタートラインに立ったばかりです。これから中学、高校、そして大人になっても剣道を続けて、また剣道を通して、正しい心と強い体、礼儀、責任感を養い思いやりの心を持つ人間となることを誓います。








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