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第23回東北地区剣道少年研修大会
剣道をして得たもの
山形県米沢恒武館 齋藤 佳苗
小学生の部 敢闘賞
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 私は一人ではなく、みんなに支えられて剣道をしています。
 私が剣道を始めたのは、今から3年前の小学校三年生の7月でした。始めたきっかけは、兄が中学校に入って、剣道部に入部したのです。そして兄が夜の練習に、恒武館に通うようになりました。その練習を母といっしょにいつも見学に行きました。それを見て私は、(おもしろそうだなあ。)と思い、やりたくて、体がうずうずしてきました。先生にもさそわれて恒武館に入部しました。
 しかし、女子は私一人でした。でも始めたころは、全然気になりませんでした。稽古中は、先生の話をきいて、いろいろな技を覚えるのに一生懸命で、おしゃべりなどすることがなかったからでした。
 でも、恒武館のクリスマス会や、鏡開きの行事の時は、女子一人だったので、あまり会話がなく、話が合いませんでした。その時は少しさびしかったです。
 そして、四年生で補欠になり、五年生になると選手として、試合に行くようになりました。試合場までの車は、男子が1台にまとまり、私は父兄の方といっしょに一人で乗りました。私はとてもみんなに迷惑をかけていると思いました。なぜかというと、みんなが私に対して、すごく気を使ってくれているのが、感じられたからです。練習や試合では、男子の足手まといにならないようにと、一生懸命ついていきました。そのかいがあってか、五年生の時は、市の女子剣道大会で優勝することができました。上級生の男子も応援にきてくれてとても心強かったです。
 そして、去年全国大会で東京の武道館に男子チームの一員として、私も出場することになりました。恒武館に入ったころとちがい、新幹線の中では、みんなといろんな事を話したりすることができました。おかしを食べたり、笑ったりして、とても楽しかったです。宿についても私だけふけいの方々といっしょの部屋にねる事になりましたが、ふけいの方々がいろいろ話をしてくれたので、大人の方々との話も楽しむ事ができました。前のように自分だけ、(女子一人でさみしい。)と感じることも余りなくなり、(みんなにめいわくをかけている。)と思う心の重さも余り感じなくなりました。周囲の人の気持ちを素直に受けられるようになってきたのだと自分で思いました。入った頃より、心が成長することができたのだと自分で思います。
 武道館での試合は、男子だとか、女子というのは関係なく、みんな心を一つにして、四回戦まで勝ち進む事ができました。とてもうれしかったです。四回戦まで行けたのもうれしかったけど、みんな一人一人が心を一つにがんばれた事が、とてもうれしかったです。
 今では、女子も何人か入りました。しかし、男子のいっしょにがんばってきた、たった一人の同級生が引っこしてしまい、六年生は私一人となってしまいました。でも、これからは私が、今までしてもらった事をみんなにしてあげたいと思います。
 剣道をはじめて3年間、いろいろ得たものはありますが、その中でも特に、みんなに支えられているという気持ちを感じる事ができました。道場に行けば、指導してくださる先生方。仲間。そして、試合のときたくさんお世話になったふけいの方々。いろいろアドバイスをくれる父や兄。いつも私といっしょに雨や吹雪の日も歩いて、道場にいってくれる母。私はこんなにたくさんの人達に支えられて剣道をしています。ときどき今でも、「よく、女子がいなくて一人でがんばるね。」といわれましたが、私は決して一人ではないのです。多くの仲間や周囲の人達に支えられているのです。私は、剣道を通して、このようなすばらしい事を学びました。
 私は、これからも剣道を続けます。そして、人間としてもっと深く、大きく成長したいです。








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