日本財団 図書館


「今、自分をどう磨いて行くか」
z0023_01.jpg
兵庫県神戸市
白川台少年剣修会
中学一年生
山下菜摘
 
 剣は心なり。心正しからざれば剣また正しからず。剣道を学ばんと欲する者、まず心を学ぶべし。
 私達の道場では、この道場訓を稽古の始めと終わりに大きな声で唱えています。
 私は今年、中学生になり、剣道を習い始めて約六年になりました。小学生の剣道では、軽い打ちであっても、一本取れることも、ありましたが、中学生の剣道では、相手の心を気で攻めて、腰で打たなければならないと先生方に教えられ、中学生の打ちができるように、毎日、稽古を重ねています。
 私が通っている中学校の部活は、一年生の女子が私を含めて二人だけで、決して環境に恵まれているとは言えませんが、最近、自分にとって大きな目標ができました。
 それは、平成十八年、私が高校三年生の、時に兵庫県で開催される、国体のジュニア選手に選ばれることです。
 私は今まで道場の先生に武道館を始め、県外での合同稽古やいくつもの試合につれて行ってもらい、その中で兵庫県、特に神戸市が剣道のレベルが低いと感じたので、両親に、「神戸市以外の剣道の強い中学校に転校したい。」と言ったのですが、「いろんな事情で無理。今のうちにもっと基礎体力を養っておきなさい。」と言われました。それで今の所、私は、ランニングをしたり素振りをし、部活の後、道場に通っています。
 中学生になると勉強はもちろんたくさんしなければならないし、将来の進路のことも、ある程度、考えなければなりません。
 私は行きたい高校を決めており、両親も賛成してくれています。もちろん、これからも剣道を長く続けていきたいので、剣道の強豪校を目指し、入学できるよう勉強も頑張っています。そして、五年後の兵庫国体の七人の選手枠に入れるように真剣に剣道に取り組んで行こうと思っています。
 道場の先生からよく、「剣道は生活面に生かされなければダメだ。」と言われます。
 小学生の頃はテキパキ動いていたはずなのですが、中学生になると、しなければならないことが多くなり、疲れて、いつの間にか動作が鈍くなったり、家にいれば、ダラダラと過ごすこともあります。道場で稽古がある日は防具を持って帰らなければならないのですが、学校から家まで距離があるので友達にカバンを持つのを手伝ってもらったりすることもあります。
 「剣は心なり」が実際には生かされていないんだ、と反省しています。
 国体まであと五年ありますが、私より厳しい稽古や生活をした人が強くなり、選手になるのは、あたり前です。これまで道場の合同稽古を通じて、いろんな人と知り会うことができました。「剣を交えて友を知り、友と交わりて学を知る。」という言葉も道場の先生から教わりました。
 私と同じ頃から剣道を習い始め、合同稽古で何回となく練習をし、全国大会で優勝した人とも手紙のやりとりをして、お互いを励まし合い、五年後の国体でも対戦したい。と、思っています。
 そのためにもこれからは、剣道の技術だけでなく、精神面も強くして、今の目標の兵庫国体に出場するだけでなく、剣道を通じて、立派な大人になりたいと思います。
 「剣は心なり。」








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION