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「平常心」
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高知県安芸群
安田道場
中学一年生
小松靖典
 
 自分が剣道を始めたのは、小学校三年生の時でした。今年で五年目になり、剣道のことが少し理解できるようになりましたが、まだまだ解らないことも沢山あります。それほど剣道は、とても奥が深いものだと思います。
 中学生になって、自分の精神をしっかりさせようと思うことがありました。普段の稽古がつらくて、楽をしようと思ったり、試合のとき、相手が自分より強く勝てそうもないと思うことや負けたらどうしようと思うとき、これらは自分の気持ちに負けているのだと気づきました。こんなとき、大切なことは精神のもち方だと思います。精神がしっかりしていれば、稽古や試合でも、いろんな工夫や技を考え、相手に勝つために何をすべきかという気持ちがわいてくると思います。そうなってくると、勝負が楽しくなり、剣道も益々好きになると思います。
 それと、最近、稽古をしていて、自分の思っている動きが全くできないときがありました。そのことが何度も続き、とても苦しみました。試合に出ても、全然勝負になりません。そんなとき、一度は剣道をやめようと思うこともありました。しかし、ここでやめると今までやって来たことが、全て水の泡になってしまいます。それに、今まで剣道を教えてくれた先生に申し訳がありません。このとき、自分でやろうと思ったことは、最後までやり遂げると自分に誓いました。
 自分は、父に勧められて「宮本武蔵」という本を読み始めました。時代は違っても、剣の道一筋に成長していく内容は、自分に共感するものが多くありました。日本一の剣豪である武蔵の少年時代は、自分と同じように苦しむことや悩むことがありました。剣の修業だけでなく、「神仏を敬い、神仏に頼らず」などの文章からも人生や人間性についても考えることのできる本だと思います。その中で自分は、武蔵が一番大切にしていたのは「平常心」ではないかと感じました。何事も無心になって自然に体が動くこと。それは、剣道と同じです。平常心を保っていれば、集中力が出来て相手の動きがよく見え、冷静に試合を行うことが出来ると思います。
 自分は、剣道と出会って色々なことを学びました。礼儀などは特に大切です。安田道場のスローガンは「礼儀正しくする事」「お互いが協力すること」「約束の時間を守ること」であります。道で人に会ったりしたら「おはようございます」「こんにちは」などあいさつを通して町の人と交流を深めています。あいさつをして、あいさつが返ってくるとうれしくなります。人と人とのつながりを感じて心地良くなります。掃除でもそうです。最初は面倒くさくてやる気もしなかったけれど、皆で協力して奇麗になると、気持ちが良くなりました。何でも一生懸命やらねば駄目だと、このごろ気づいています。
 今の自分があるのは、今まで自分を支えてきてくれた人達と剣道の先生でした。先生は、時には厳しく、時には優しい人です。自分は、剣道を教えてくれた先生に感謝しています。
 自分は、これからも剣道を続けながら色々なことを体験し、「平常心」を目標として、常に自分の心に言い聞かせて、剣道を一生懸命やって行きたいと思います。
 「継続は力なり」毎日頑張ります。








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