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第36回剣道指導者研修会
平成13年11月23日(金)〜25日(日)
全日本少年剣道錬成会館
参加人員 45名
講師 永松 陟範士八段
〃  末次 正尚教士八段
〃  依田 育憲教士八段
特別講師  秋山 英武範士八段
〃  中田  ?士教士八段
〃  菅野  豪教士八段
〃  山野辺辰美教士八段
本部講師 太田 忠徳範士八段
 
 11月26日六段、27日七段、28日八段の剣道審査会に向けての研修と指導力向上を目的とした剣道指導者研修会を、全日本少年剣道錬成会館で開催した。
 初日、予定通り14時30分に開講式が始まった。まず太田忠徳全道連専務理事が「これまでこの研修会の後の審査会における合格率が良く、大きな評価を得ていますが、今回も優秀な講師をお迎えしているので成果を充分に上げてもらいたいと」と挨拶した。
 続いて講師紹介の後、秋山特別講師が、審査のポイントと題して剣道講話を行なった。内容は[1]風格・品位[2]構え[3]姿勢・態度[4]攻防一如[5]打突の機会[6]手の内・冴え・残心などについて、これまでの経験を踏まえての講話で大変意義のある内容であった。
 その後、末次、依田両講師担当による基本錬成に入る。まず準備運動から正しい素振りの要領、切り返し、基本打突、足捌き、攻めなどについて模範を示し、かつ理論的にわかりやすくしながらの指導であった。引き続き研修生同士の回り稽古を行なってから、講師が元に立っての地稽古での個人指導で1日目を終了した。
 2日目。起床後、研修生は各自で体操や軽い運動、あるいは近隣の散歩を楽しみ、講習に備えた。午前の部は永松講師が剣道講話を担当。内容は[1]少年剣道について−戦前の剣道と現代の剣道の比較。現代は試合中心の鍛え方で、昔は稽古中心の鍛え方であった。それぞれの良さはあるが、試合が多すぎる傾向であり、地力が身についていない感がある。基本をしっかり教えて、生涯剣道として長く続けさせることが肝要である。[2]審査会について−着装(稽古着・袴の付け方・面紐の長さなど)。構え(姿勢=左足・左手の竹刀の握りなど)。技(初太刀を大事に=一本勝負のつもりで臨む。得意とする技を心がける。打突の間から如何に攻めて打つかを研究)。本番には普段の稽古を披露するなど、秋山講師同様、分かり易くご説明いただき、研修生にとっては大いに参考になったことと思う。
 次に太田講師担当で日本剣道形の講習に入る。最初に五行の構えを詳しく説明。それから、大太刀一本目から各技の注意点、要領などを話しながら模範を示し、細部にわたる指導法で、研修生一同感銘を受けたものと思う。午前中は、大太刀七本で終了し、小太刀は午後へ持ち越すことになった。
 午後の部の小太刀の研修も詳細な説明指導で、研修生の技術が目に見えて向上し、指導の成果が充分に窺えた。剣道形終了後。2会場で実際の審査形式で立合を行ない、1組終わるごとに講師から立合内容について、懇切なアドバイスを受けたが、今後の審査や修錬の指針とすべく真剣な表情で聞き入っていた。
 約2時間で立合研修を終えた後、研修生同士の回り稽古と講師元立ちでの指導稽古で2日目の研修が終了した。この日の夕食は、懇親会を兼ねたもので、大いに剣道談義に花が咲き親睦を深めた。
 最終日は6時30分から早朝稽古を行なう。最後の研修は前日同様、2グループに分かれて立合個人指導を実施。研修生も最後のリハーサルとあって、一段と気迫が籠っており、審査会さながらの真剣なものであった。その後、やはり前日と同じく立合の内容についての諸注意があり、さらに研修生同士の稽古と講師元立ちによる指導稽古で終了した。
 研修会には女性の参加もあり、何年か先に受験される方、すでに合格した方、70歳を越えた方ありと、目的はさまざまであるが、自己の向上に常に努める姿は、生涯剣道としての目的を達成するものと強く感じた。
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永松講師の剣道講話
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太田講師の日本剣道形の講習
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本審査形式での立合個人指導
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審査に向けて大いに役立った
 大都弘道(茨城県・(財)勝田若葉会)
 
 全剣連の昇段審査に向けての研修及び道場連盟会員の技術、指導力の向上を図ることを目的とした、第36回剣道指導者研修会が東京都日野市の全日本少年剣道錬成会館に於いて開催されました。
 講師は範士の永松先生、秋山先生はじめ8名の先生、研修生は北は北海道、南は沖縄まで五段から七段まで45名が参加しました。
 私は昇段審査を前にして、今回初めて参加させていただきました。
 研修会の内容は、末次先生の指導による切り返しと基本打突、太田先生の指導による日本剣道形、審査会と同じ形式の立合指導、そして永松先生と秋山先生の剣道講話でした。
 細部まで行き届いた講師の先生方の指導を受けることができ、大変勉強になりました。特に日本剣道形の指導では実際にお手本を示しながら、技術面と精神面とに細かい指導をいただくことができました。
 また、審査会と同じ形式での立合指導では、本審査さながらの雰囲気の中で行なえましたし、本番に向けて適切なアドバイスをもいただくことができました。姿勢や着装に関することから、審査を受けるための心構え。例えば審査は一本勝負を5、6回する気持ちで臨み、その立合から日頃の稽古を見てもらおうという心構えを持つことなど、審査会を目前にして自分の中で改善していくべき課題を見つけるのに役立ちました。
 この3日間の研修でご指導いただいたことをしっかり受け止め、精一杯審査に挑み、お陰さまで七段に合格することができました。研修会に参加させていただいたことが、このような結果につながったものと感じております。
 また、全国から来られた方々と竹刀を合わせてさまざまな剣風に触れられましたし、談話する機会も得られました。この研修会がより活性化され、剣道を学ぶ者同士の交流が深まり、それが剣道界の繁栄に繋がることを期待しております。
講師の先生方より個々にアドバイスを受ける
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