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道連便り 平成13年度居合道講習会
第36回剣道指導者研修会
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平成13年度居合道講習会
平成13年11月14日(水)〜16日(金)
全日本少年剣道錬成会館
参加人員 25名
講師 羽賀忠利範士八段
 〃 岸本千尋範士八段
 〃 山崎正博範士八段
 〃 田渕 清教士八段
 
 11月17日に行なわれた居合道六・七段審査会に向け、平成13年度居合道講習会を羽賀忠利、岸本千尋、山崎正博の各範士と田渕清教士を講師に迎えて、全日本少年剣道錬成会館で実施した。
 初日、集合は14時となっていたが、例年の如く会館に到着早々、早くも道場で稽古を開始した受講生の姿が何人か見られ、講習会にかける意気込みが伝わってきた。
 14時から開講式。最初に太田忠徳全日本剣道道場連盟専務理事が「今回も優秀な先生方を講師としてお迎えしてありますので、充分な成果を上げて審査会に臨んでいただき、全員が合格されることを祈念いたします」との挨拶を述べた。
 引き続き、講師紹介の後、羽賀範士が講師を代表して「今回の講習会は、全剣連居合の正しい修得と審査会に向けての講習会ですので、それぞれが成果を上げて目的を達成していただきたい」と、激励の言葉を送った。
 早速、山崎講師の指導による準備体操から素振りを中心とした実技講習に入った。まず山崎、岸本両講師より全剣連居合一本目から注意すべき点、要領など細部にわたり説明があった。それから受講生の個々の指導に入り、礼法から技の矯正すべきところを、手取り足取りの懇切な指導がなされて初日を終了した。
 入浴、夕食を済ませた後、一息つく間もなく早速道場で、講師に指導をいただいたことを復習するなど、修錬に余念のない真摯な受講生の姿からは、自己の向上と審査に賭ける熱意が伝わってくるのであった。
 2日目、まだ夜も明けない早朝の道場では、講師の先生も交えて熱心に稽古していた。この光景は居合道講習会の恒例行事となっている。朝食後、9時より午前の部の講習に入る。前日の復習を行なった後、受講生を何組かに分けて審査方式の講習。講師から適切なアドバイスを受け、技術の向上に全力で努めた。
 午後も何度も繰り返す反復稽古であったが、講師の熱心な指導に受講生もよく享受して、講師と受講生が一体となって大いに成果を上げた。
 夕食を兼ねた懇親会では、先生方から貴重なお話を聞くとともに、受講生同士で情報交換をしながら、時間の経つのも忘れて居合道談義に花を咲かせ、有意義な一時を過ごした。
 3日目も同じく早朝より講師を含めて何人かが稽古を行なっており、いつもながら居合道人の熱心さには感心させられる。午前の講習は翌日の審査に向けての調整をしながら、お互いに最終点検し合った。最後に、段別による演武を全員披露したが、今回の成果を確認するとともに審査会のリハーサルとしても良かったと思う。
 11時40分より閉講式。太田専務理事が講師の先生方に感謝の意を述べるとともに、今回の講習を糧にして今後も正しい居合の修得に全力を尽くしてほしいと述べる。引き続き、全道連副会長でもある羽賀講師が、審査会での受講生全員の合格を祈願した激励の言葉を述べて全ての日程を終了した。
 今回も受講者の数は若干予定数を下回ったが、居合の講習としては理想的な人数であり、早朝や休憩時間を惜しんで稽古する姿は大きな成果につながり、所期の目的を充分に達成したと思う。
 
羽賀講師の指導風景
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山崎講師の指導風景
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日常の心配りが居合に通じる
 池脇孝子(北海道・伊達洗心館)
 
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 この講習会に参加するため、14日早朝自宅を出て9時発の飛行機にて新千歳空港を出発する。当日は今冬一番の冷え込みとなり、未明から舞い降りた雪で早朝の道路は歩きにくかったのですが、錬成会館がある豊田駅に12時半頃に着くと、そこは小春日和の暖かい天気に変わっていました。
 受講が初めてのため、駅から錬成会館までの道のりも今歩いているこの道でよいのかと、つい不安を感じて振り返りますと、先生らしいお方が歩いてきましたので「この道でよいのでしょうか」とお聞きしたところ、「そうですよ」と教えてくださいましたので、同行させていただき無事に到着することができました。
 玄関に入ってまず目に飛び込んできたのが、張り出されていた講習会と合宿当番割当のスケジュール表でした。2泊3日のこの講習会は、厳しい中にも充実した正味2日間となりそうだと感じました。
 そして、講師の先生方のお名前がずらりとならび、羽賀忠利範士、岸本千尋範士、山崎正博範士、田渕清教士のご指導のもとに講習が進められるようになっていました(これは全て錬成会館を管理する館長先生をはじめ、道場連盟の職員の皆様の計画に基づくものです)。
 講習は審査に向けての全剣連居合の指導と、道場連盟会員の技術向上を目的としています。準備運動の後は全剣連居合を一本目から時間をかけて丁寧な説明があり、理合・要点・攻め・体の捌き・重心のかけ方の大切さなどを何回も何回も実演してくださいましたので、低段者の私にも理解し易く大変勉強になり、うれしく思いました。
 講師の先生方の説明が終わりますと、今度は参加者全員で一本目から抜き、個人別に悪い箇所が指摘され、正しいやり方を指導してくださいました。すぐには直りませんので、自由時間にその指摘された箇所を少しでも直そうと懸命に努力するのですが、頭では理解できたつもりでも、体は自分の思うように働いてくれません。幾度も幾度も同じ動作を反復練習しているうちに、少しずつ動き易くなってきました。
 また合宿ですので、合間合間に配膳、食事の後片付け、食堂の清掃、トイレ・浴室・洗面所の清掃、部屋の内外の清掃を受講者全員が当番制でスムーズにこなし、また練習に入ります。
 この講習以外の日常生活には欠かせない清掃なども「道」を修養する者にとっては必要なことであり、全て日常の心配りの積み重ねが、居合にも通じる大切なことなのだということも改めて感じさせられました。
 そして懇親会では先生方や諸先輩の皆様の何気ない会話の中にも勉強になる話がたくさんあり、それらを耳にすることができたことも大変な収穫でした。
 合宿錬成の良さは24時間起居を共にすることで、全てに学ぶことがあるということなのです。受審者の皆さんは夕食後の自由時間や、早朝3時頃から黙々と練習をしていましたし、講習会では低段者の私でも範士八段の先生から直に悪い箇所をご指摘いただき、指導を受けることができたことは、大感激で忘れられない出来事です。
 講習の最終日には段別による演武を順次行ない、最後に七段の先生方が模範演武を披露しました。流れるような動きの中にも間合、攻めなどの素晴らしい演武を拝見させていただき、いつの日か私も少しでも理合に沿う動きができるようになりたいと思いましたし、またこのような修養ができる講習会が一年に何回もあったらよいのに、とも思いました。
 今回このような機会を計画し、開始から解散まで何かとお世話くださいました館長先生、職員の皆様方、そして講師の先生方、諸先輩の皆様には大変お世話になりました。また講習会でお会いしました全員の方々に心より御礼を申し上げます。








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