注1) 各表中のアルファベット(ABC・・・)は以下の区分を示す。
<A: 有識者>
<B: 団体役員>
<C: 中央官庁>
<D: 研究者>
<E: 地方自治体>
<F: 産業界>
<G: 国会議員>
<H: 報道・シンクタンク>
注2) 設問回答結果のグラフでは5%以下の場合、選択肢の標記を省略した。
Q1. (提案1.)について伺います;
(提案1.)わが国としての海洋管理に関する基本理念を明示的なかたちで盛り込んだ政策大綱を策定し、内外に表明すべきである。その策定にあたっては、国連海洋法条約や国連環境開発会議等に掲げられた国際的な海洋管理の理念をとりこみ、かつ、わが国200海里排他的経済水域(EEZ)から沿岸域までを含むすべての海の範囲をカバーするべきである。
1−1. 上記の提案のように、わが国の海洋管理の理念および政策大綱を明確に表明する必要があると思いますか、その必要性の度合いと理由をご記入ください。(該当のものに○印)
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
i)ぜひとも必要である。 |
129(72.9%) |
40 |
28 |
7 |
12 |
2 |
30 |
10 |
ii)できればその方がよい。 |
42(23.7%) |
5 |
8 |
7 |
8 |
9 |
3 |
2 |
iii)必ずしも必要ない。 |
5( 2.8%) |
|
3 |
1 |
|
|
|
1 |
iv)必要とは思わない。 |
0( 0.0%) |
|
|
|
|
|
|
|
v)わからない。 |
1( 0.6%) |
|
|
|
|
1 |
|
|
合計(N) |
177 |
45 |
39 |
15 |
20 |
12 |
33 |
13 |
(注:タテ軸の「全体」欄およびヨコ軸最下行の「合計」欄にのみ、0表示を記入した。他欄の空欄部はすべて0件である。以下、同。)
<分析>
1) 海洋管理の理念および政策大綱を明確に表明する必要性については、i)「ぜひ必要」+ii)「できればその方がよい」=171/177で、96.6%が必要との意見。iii)「必ずしも必要ない」は、<B:団体役員>=3、<C:中央官庁>=1、<H:報道・シンクタンク>=1、の計=5(2.8%)である。
2) 「必要」と考える方にアンケートに回答するインセンティブが強かったとも推定されるが、それにしてもi)「ぜひ必要」が129(72.9%)と圧倒的で、必要性の声はきわめて強いと解釈できる。
3) 否定回答のiii)「必ずしも必要ない」の回答者のコメントに注目すると、次のようなものである。
[1]環境基本法や水産基本法などに既に理念などは示されており、屋上屋を重ねる。
[2]海洋には食糧、交通、環境、防犯等さまざまな切り口があり、一つの大綱にすることにどれだけの意味があるか疑問。
これらのコメントからは、依然として縦割りの発想が強く、「海洋の諸問題は、相互に密接な関連を有しおよび全体として検討される必要がある」としている国連海洋法条約の考え方があまり理解されていないことが伺える。
*設問1−1.についてのご意見、コメントをご自由にご記入ください。
グループ
A
・ 海洋国日本のイニシアティブが主張できる絶好の政策である。
・ わが国が将来に渡り安定し平和な社会を維持していくためには、周囲の広大な海洋と共生し、その巨大な資源の有効活用が不可欠と考える。海洋政策を国家発展の長期的戦略として捉え、強力に推進していくためのバックボーンとして必要である。
・ 海洋に関する行政組織が多い(農水省、国土交通省、厚生労働省、経済産業省等)ため、現実には実行性のある統一的概念を示すことが官庁・部局の縄張り争いのため至難であろう。
・ 海洋管理の概念は、国内的なものと国際的なものとは同じではないため、両者を区別して論じるべきである。また、オーシャンガバナンスも国内法上の海洋管理概念と同じではない。また、行政法上の公物管理の延長線上で海の管理を考えることに疑問も提示されているのであるから、そもそも問題設定の整理が必要なのではないか。
・ 海洋省の設置は以前考慮されたが、既に行政機構の改変が実施され、海洋に関係する省庁の長期政策、中期もしくは短期、個々の地域政策は、ほぼ共調した姿勢にある。よって国家の政策大綱等、わが国ならびに国際的な視点からの表現が、必要なのではないかと思われる。
・ 長期的ビジョンとここ5〜10年の目標とすべきビジョンなど時間の尺度を考慮する必要があるのではないか。
・ 理念と哲学を明確に表明し、法の整備と実施を行うことによって、所謂現実的に存在する省庁間の(俗に言う)縄張り争いがなくなり、政策の実施がスムーズとなり、国際的にも問題がなくなる。
・ 策定の手順が重要。
・ わが国の現在の海洋管理の最大の問題は、個別省庁がばらばらに海洋政策を展開していて、まとまりに欠けることだと考える。少なくとも、日本国として全体の海洋政策を見渡し、それと個々の省庁の海洋政策とをリンクさせることが必要と考える。
・ 今後グローバルなフレームの中での海洋管理に関する海問題が、地球環境問題との関わりの中で重要になると思われる。
・ 日本は海洋国と言われているが、実際には、国際的視野に立った海洋政策が行われていない。また、沿岸に関しては沿岸域管理という概念自体が無かったために、各担当部局に分断管理されているため、その狭間の問題に対応できない状態にあった。各部局の尽力のみでは解決できない問題については、より全体に目配りの効くセクションが行うべきである。現在では、そういった調整能力とその権限、およびビジョンを持った部局が存在しないのが現実である。担当部局の連絡会議や、海洋科学技術政策に関するテーブルではなく、もっと現実問題に対応できるセクションの設置が不可欠である。また、様々な時空間スケールに対応した政策が必要で、環境分野ではその視点が不可欠である。
・ 政策大綱は「海洋基本法」の形式での取りまとめが必要である。これにより、国外に対して、我が国の基本スタンスを明確にし、外交交渉の基礎とすることにより妥協も可能となり、また国内に対して、沿岸域利用など既得権同士、或いは、既得権と新しい利用のための主張がぶつかる場合の調整の基本的考え方を示すことが出来る。
・ わが国の施策は多岐に渡り、国連海洋法第14部海洋技術の開発および移転に記述されている発展途上国への技術移転も長年に渡り各機関が実施している。しかし、各事業は国連海洋法批准前に開始されたものが多く位置付けがなされていない。また省庁の連携が不十分である。国連環境開発会議のAgenda21への対処も明確にする必要がある。
・ この件については多くの人がi)を選ぶと思うし、国全体としても傾向は同じだと思います。問題はそれを実行して行く人や組織の”無さ”あるいは”弱さ”でこれを解決するには当面、例えば日本財団が総力を挙げて担当すると言った形になるのも一案のような気がします。
・ i)と回答致しましたが、これは回答者個人の考えに基づいたものであります。問題提起から提案に至るプロセスが不明であるため提案の目的、必然性を的確に把握できません。
・ 海洋開発、利用、保全の歴史的な経過、経済現実を踏まえ、将来展望に対する十分な検討、研究、議論を抜きにして軽々に、海洋管理の理念であるとか、政策を統一的に進めようという考え方、行き方こは直ちに賛成ではない。現在の海洋開発、利用、保全に対する行政機構には、それなりの必然理由があったはずである。その基本的な処を十分知った上で、時間を掛けて推進すべきである。
B
・ 海洋環境保全という観点から基本理念を定め、それに対応して現在の体制の見直しを図ることが必要と考える。海洋環境保全のコストは誰が負担し、誰がどのような形で責任を取るべきなのかといった問題についても真剣に再検討すべきである。例えば、国際条約では油濁事故損害の賠償責任は原則的には原因者(船主等)にあるとされているが、事故が発生した際に被害を最小限に抑える資機材等の配備や維持管理費まで船主等に負担させているのはわが国だけである。さらに現状では、業界・省庁・地方公共団体がそれぞれ縦割りで対処する等、効率的な体制が必ずしも構築されていない。
・ 当然と考える。
・ 今や世界はボーダーレス化し、輸送技術、IT技術の顕著な進展は国間のみならず、人類間をも密接なものとしている。このような中にあって、海洋の持続社会の発展は益々人類にとって必要不可欠なものとして人類全体の課題として世界が取り組みに乗り出している。これからの国際間にあって、四面環海である我が国も先導的役割を担うため、世界の依存型、日本より脱皮し自主性を待った海洋政策に対する規範を示すことが必要であり、今からならまだ間に合うのでは。国も少しは国家意識と国家戦略を持って頂きたい。
・ わが国の海洋管理に対する基本的姿勢を明確にし、それに伴う国民の義務を盛り込んだものにする。
・ (1) 政策大綱の基本理念となるべき「環境保全と持続的利用」について、環境基本法および水産基本法に概ね明示されており、基本理念の主要な部分が屋上屋となる恐れがあるため、本件のような政策大綱等は「必ずしも必要ない」と考える。
(2) 補足説明
現在の科学技術レベルでは、「海洋管理」をその言葉通りに行う”力”はない(例えば「大気管理」も然り。)従って、政策大綱を策定する場合にあっては、「できる管理」の内容を明確にすべきである。つまり、ここで言う「管理」とは[1]海洋に関連する”情報”の管理、[2]海洋域(関連陸域も含む)の開発と利用に関する”経済的行為”および“保全行為”等の管理、[3]主権的権利と管轄権の行使、以上の3点であろう。そして、それぞれの課題については、以下の検討が必要と考える。
[1]情報については、とても十分とは言い難い。情報を収集するツールの開発、システムの充実、および集められた情報のネットワーク化などに、資金と人的資源がこれまで以上に投入されるべきであると考える。つまり、基本理念のレベルではなく、具体的な施策が必要な課題である。
[2]「行為の管理」については、〈日本の海洋政策の問題点〉に指摘されている通り、アジェンダ21等に沿って、「環境保全と持続的利用」が、基本的な理念として明確に位置付けられるべきである。
[3]「管轄権の行使」については、既に海洋法条約でも関連する国会法令でも明示されており、改めて政策大綱で基本理念を謳う事柄ではないかと考える。従って本政策大綱では[2]の「行為の管理」が主な課題となり、これに[1]と[3]が付加されることになろうが、「環境保全と持続的利用」の基本的な理念は、環境基本法と水産基本法に明示されているため、本政策大綱は、例えば「海底鉱物資源の開発を促進する」などの性格を帯びざるを得ないと思われる。つまり、「海洋管理の基本理念を踏まえた政策大綱」としては「必ずしも必要とは思われない。」
・ このことは10年以上前に表明したことがあります。開発基本政策の欠如:わが国では、沿岸域の保全と開発に関する全体方針が未だ明確にされていない。また、利用のための基本的指針と枠組を示す「基本法」とも言うべきものが存在しない。このような法律の策定は、これまで何度か構想されたが、既得権益を主張する各省庁の強い抵抗が主因で陽の目を見なかったようである。このため、沿岸の開発事業の多くは地域全体を総括して計画を立てるという基本的な姿勢に欠け、場合によっては個々の法規が恣意的に利用されうるという弊害さえ生じている。
・ 国土および資源の少ないわが国において、地理的条件や環境問題からこれ以上の国土の開発は困難となろう。一方、わが国は世界屈指の排他的経済水域を持ち、また世界で1〜2位を争う造船国でもある。また、古くから水産資源に頼って生活し、現在でも世界屈指の水産資源消費国である。従って、今後安定的、持続的な経済成長を続けていくために海洋の開発は重要な選択肢の一つと考える。しかし、地球環境が大きな問題として世界の注目を集める中、当然の如く無原則な海洋開発が許される訳はない。こうした中で海洋の役割を研究し、各国の利害を調整しつつ、持続的な海洋開発を行うために、わが国は技術的にも地理的にも必要条件を満たしており、わが国が積極的に海洋管理に関わることを発言して行くことは不可欠と考える。
・ 国連海洋法条約採択から20年目、リオの地球サミットから10年目の節目の年、9月には南アのヨハネスブルグで持続可能な開発を目指す世界サミット(WSSD)が開かれます。環境の劣化を防ぎながら増加する地球人口をどう養っていくのか、この大きな課題は、地球上の71%を占める広大な海を抜きにしては考えられません。世界に連なる海の資源と環境の管理は、一国だけでなく人類が共通の認識と展望を持って対応すべき問題です。従って日本の海洋政策は、わが国の管轄海域だけでなく人類共同の財産である海洋全体を視野に入れて策定すべきものと考えます。
・ 同封、提案書に全く同じ。
・ 総人口の約47%が海岸線を有する市町村に集中し、産業を含めた社会活動が沿岸域に集中している。そのような高度な利用がなされた沿岸域では、自然海岸、浅場、藻場、干潟が失われ、陸域からの負荷も加わり重大な悪化を招いている現状がある。生物を育み、生態系を豊かに形成し、国民への食料、レクリエーション、学習の場を与え、浄化能力に優れた沿岸域を中心こ海洋管理を行う必要があり、提案の趣旨には賛成である。
・ 主権国家として当然である。
・ 「海洋国家日本」と認識している回答者は、日本の主権が及ぶ海域について管理することは当然のことと考え、政策大綱を策定し、内外に示すべきと考える。
・ 沿岸域という用語は通常、陸域を含むものと理解されている。このため、沿岸域を海洋に含めるのは無理がある。沿岸域と海洋は別の法体系になるように思う。
・ 国民共有の財産である「海面」について、法的な意味付けをする必要性は今後益々増大していくと思う。
・ わが国は海洋国家と言われながらも、国民の海洋に関する関心が薄く、基本理念の基に理解を深める必要がある。200海里経済水域は、領土の少なく、資源の少ないわが国にとって今後開発すべき重要な財産である。
・ 海洋は食料、交通、環境、防犯等様々な切り口があり、一つの大綱にすることにどれだけの意味があるのか疑問。寧ろ国際的理念を取り入れた各分野の政策強化が重要。
C
・ わが国の海洋管理の基本理念を論じるとき、国益の確保(海洋の開発、利用、保全)を念頭に置くのは勿論であるが、戦後タブー視されている海洋の国防の側面が欠落し、海洋政策を論じたとき、国際的視点から見て歪な形に成らざるを得ないと思われる。
・ 海洋管理の概念自体が必ずしも明確ではないが、一般論でいえば、海洋管理の必要性について真摯な議論がなされ、その結果具体的なコンセンサスを得て、海洋管理に関わる基本政策を提示していくことは望ましいと考える。
・ 海洋管理の概念、必要性について先ず真摯な議論がなされ、コンセンサスを得て、それに基づき海洋管理の基本政策を提示することが望ましい。
・ 海洋管理の具体的なニーズについて議論がなされ、その結果としてのコンセンサスに基づいて基本政策を示すことが必要。
・ わが国の海洋に関する施策は多数の省庁に跨っていることから、各省庁が施策を推進するうえで統一的な方針となるべき「政策大綱」を策定し、それに基づいて日本として一致した方針による施策を推進することが重要であると考える。
・ 現在、我が国に於いては、多くの関係省庁、研究機関が海洋問題に携わっているが、多くの人材・予算が投入されているにもかかわらず、今一つ海洋国家として日本が海に如何に関わっていくかという明確な理念・方針・具休的な目標がなく、バラバラな対応を行っているのが否めず。あらゆる資源の無駄使いの批判に抗することができない。
・ 海洋政策に対する政治、行政および国民一般の関心を高めると共に、課題の整理と必要な取り組みの強化を図ることは重要である。海洋全般に関する政策大綱の策定は、こうした点に資すると考えられる。海洋管理ではなく、海洋に関する基本理念とすべきである。
・ ii)「できれば・・・」としたのは、これは、机上の作文や国際会議の議論の棒引きではなく、海洋およびその管理の意義重要性を、日本の国土、国民生活との関連において、国民の共感を得、かつモチべーションを引き出すような形で整理抽象し得るかについて自信がないからである。
・ 海洋管理の理念が個々の政策等にどのように反映されていくのか、また、反映されなければならない事例(法律の制定、改正等)があるのかを検証すべきである。大綱を制定しても、「200 0年アピール」と同じ経緯を辿るだけ。
・ これまで近隣諸国との国際関係、或いは漁業との関係など個別に重要課題を有しているため、包括的な政策方針を打ち出しにくい状況にあったが、近年のプレジャーボート利用の増大など一般国民の海洋利用が進展しており、このような国民意識の変化のタイミングを捉えて海洋利用、或いは管理に係わる政策概念を明確にすべき。
D
・ 安全保障等対外的側面から、ぜひとも必要。次に対外的側面は別としても海洋管理の理念、および政策大綱の必要性は十分高いが、海洋利用の問題は常に個別個所における具体的な利用調整が念頭を離れないため、総論的なもの、理念的なもの、大綱的なものであっても関係者の合意を得て取りまとめることが極めて困難な宿命を待っていることは否定できない。
・ 政策大綱が基本理念の下で多くの問題に整合するような案になるならば大変良いのですが、中途半端なものになると将来に問題を残す恐れもあります。出せれば出すことが良いのですが、朝令暮改になるようならば逆効果です。
・ 海洋の利活用に関するマスタープランの策定が必要。
・ 仏、米、加の海洋に対する概念も参考にすべきである。哲学がない日本だから、海洋が管理できていない。
・ 国家として統一的な指向性を示す考え方がなく、個別的に各種の営みが行われていることが沿岸域の管理を混乱させている。21世紀におけるわが国の発展を考えれば、周辺諸国に負けないような、逆に一歩リードする考え方を提示すべき国際的義務がある。またそのようなことができなければ落伍する。
・ 島国であるわが国において海洋は周辺国との境界であり、周辺国との協議や周辺国からの理解無しに、独自で大綱などの施策を表明することは危険ではないでしょうか。あくまでも国際的な協調と理解に基づく施策とするべきと思います。
E
・ 近年、日本人のタンパク源としての漁業資源が重要視されてきており、それにより漁業生産高の維持、拡大が期待きれている現状にある。しかしながら昨今、北方領土近海のサンマ漁をロシア政府が韓国へ操業許可を出し開放したり、日本領海内での韓国漁船による無謀操業等が目立つようになり、日本近海の漁業資源の安定的確保が阻害されることが憂慮されている状況である。そうした時期的背景も視野に入れながら、海洋政策大綱を明確に表明する必要があると考える。
・ 海洋は宇宙と共に人類に残された二大フロンティアの一つと言われている。このフロンティアに対する理念と指針は是非とも必要である。
・ 対外的な意見表明と国内の理念明示では異なったものになると考えます。
F
・ わが国海洋行政は縦割りであり、横断的指標となる政策大綱は是非とも必要。
・ 海に囲まれた先進経済大国であるわが国は、海洋管理に関するしっかりした理念を持ち政策を実行すべき。
・ わが国の領海・排他的経済水域および一部の沿岸部の陸域を網羅した海洋に係る基本法を制定し、この中で基本理念を明確にすべきと考える。この法律に基づき、海洋の管理、保全、開発等の基本計画を政府が策定すべきである。
・ 領海を含むEEZは国土と同様の管理権(保全、利用、開発)を有する区域であり当然である。理念として、地球環境問題解決への海洋の寄与の重要性について触れるべきであろう。
・ 現時点での情報量が充分でなく、実作業が困難な面が多い。
・ 海洋に関わる事業は、現在複数の省庁および機関で実施されているが、必ずしもこれらの事業が、連携しているとは言い難い。これらの矛盾を省き、分業し成果を共有していく為には、海洋管理の理念および政策大綱の明確化が一つの方法と考える。
・ 提案書に示された問題意識については同感。多くの利害関係者が存在し、関係官庁もそれぞれ歴史、しがらみを有しており、健全な海洋政策を展開するためには上位規範たる海洋管理の基本理念を明示的に策定する必要がある。本件わが国が海洋国家として、国際的に認知されるためにも必須である。
・ わが国は、海洋国であり、生活面でも海域、沿岸部と密接な関係にある。当然、海洋資源、海洋環境(汚染、悪化防止)等については、海洋管理に関する理念を明確にし、国内外へ浸透させる必要があると考える。
・ 海洋は沿岸域〜沖合〜大洋と連続したものであり、海洋管理はEEZだけでなく、全ての海の範囲をカバーすべきである。
H
・ EEZに限らず、広く世界の海洋の管理が必要。EEZに限定した海洋管理は不可能。また、各国がEEZに固執すると海洋分割化の発想に繋がる恐れもある。資源・環境の問題は国家管轄区域に関係なく及ぶ。自国管轄区域と他国管轄区域、航海の管理の協調が重要。
・ 海洋に関する基本政策の必要性は認識しているが、「管理」概念を強調しすぎることの無いように留意すべきである。わが国が海洋国家で在り続けるために、海運、海洋開発を含む多くの分野で、わが国領域だけでなく、諸外国の領域におけるわが国企業等の活動、活躍も目指すべきである。このため、世界の他の国に対する影響も考えた上で、政策大綱表明の必要性を検討すべきであると考える。
・ 「海洋は国民、人類のもの」という理念の下、受益者の権利と義務等を明らかにし、総合的な将来展望が描ける理念、大綱を希望します。
・ わが国としての基本姿勢を鮮明にすることが必要だと考える。政治的・経済的等、現実的な処理については幅があって当然だが、姿勢は筋を通したい。特に環境問題に関しては基本理念を確立することが必要と考える。
1−2. 海の管理に関する基本理念を明示的に策定するとして、どのような内容を柱とすべきだと思いますか? 考えられる内容を下記に掲げてみましたので、各項目のなかから特に重要なものとして盛り込むべきものにすべて○印を付けてください。また、下記の項目以外で、基本理念に織り込むべき項目、内容があればそれを追記してください。その場合、追記分を含めて○印をつけてください。(カッコ内に○印。複数可。)
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
[1]わが国が「海洋国家」であることを宣言する。 |
94 |
28 |
19 |
5 |
12 |
4 |
17 |
9 |
[2]沿岸域から200海里EEZまでの全域について、「よく知り、賢く利用し、優しく保全する」という考え方(旧海洋開発審議会でのキャッチフレーズ)を標榜する。 |
71 |
19 |
11 |
4 |
11 |
3 |
17 |
6 |
[3]海洋は地球の生命維持システムに不可欠の重要な構成部分であり、したがって環境問題における海洋の重要性を認識し、海洋環境の保全と両立した「持続可能な開発利用」の基本的考え方(国連環境開発会議)を掲げる |
139 |
37 |
29 |
11 |
17 |
9 |
26 |
10 |
[4]海洋の問題は相互に密接な関連を有し、全体として検討される必要があるため(海洋法条約前文)、海洋は、沿岸域を含め、「統合的管理」を行う。 |
99 |
28 |
19 |
7 |
9 |
4 |
24 |
8 |
[5]隣接国との「領土問題ならびに海域境界紛争を合意にもとづいて解決」することを訴える |
32 |
10 |
6 |
2 |
3 |
1 |
5 |
5 |
[6]200海里EEZの環境と資源のポテンシャルに関して、国の責任において、「総合的に調査、開発、利用、保全する長期的計画」を立案し、これを取り組むことを謳う。 |
112 |
27 |
26 |
10 |
13 |
7 |
22 |
7 |
[7]海洋に関する諸問題について積極的に「国際協力」を推進する。 |
79 |
21 |
19 |
4 |
12 |
3 |
13 |
7 |
[8](自由記入) |
38 |
12 |
6 |
5 |
2 |
1 |
7 |
5 |
合計(N) |
664 |
182 |
135 |
48 |
79 |
32 |
131 |
57 |
<分析>
1)海の管理の基本理念を明示的に策定するとして、どのような内容を柱とすべきかについては、複数回答可に対し、実に664もの○印記入があり、回答者一人当たり、3.7項目について○印をつけたことになる。上位5件は次のようになった。
第1位=[3]「持続可能な開発利用」(139)
第2位=[6]「200海里EEZ総合的長期計画策定」(112)
第3位=[4]「沿岸域を含む海洋の統合的管理」(99)
第4位=[1]「海洋国家宣言」(94)
第5位=[7]「国際協力」(79)
2)第1位に[3]「持続可能な開発利用」が位置付けられたのは、回答者の考えに既に環境との共生のもとでの開発利用が普遍的な理念として浸透、定着していることの表れと理解してよさそうである。また、[1]「海洋国家宣言」のような抽象的な理念よりは、政策大綱の在り方との関連で[6]「200海里EEZ総合的長期計画策定」や[4]「沿岸域を含む海洋の統合的管理」のようなより具体的内容を持つ理念が支持されたと理解できよう。
3)[7]「国際協力」が低位であったのは、国際協力の中味が必ずしも明らかでないことやODAに対する批判などから消極的な作用が働いたと推察される。
*設問1−2. [8]追記分についてご記入ください。
グループ
A
・ 領海およびEEZは、領土と全く同様に扱うべきものであることを国民に知らしめる。
・ [6]「200海里EEZ・・・」に加え、大陸棚についても同様の長期的計画を立案することを謳う。
・ 海洋の環境問題を考えるとき、海洋そのもの以上に陸域から受ける影響(ダイオキシン、農業汚染等)が大きいことを指摘する必要がある。
・ 海洋省にまとめるべきではない。1省で対応できるような対象ではない。試みた国は皆失敗している。
・ 200海里外の公海についても、積極的に適切な国際協力のもとに、調査と管理の枠組み作りを進める。
・ 陸域起因の海洋汚染を考え、「海からの発想」に基づく人間活動のモニター機能を生かす。(陸域全体に関するデータベースの利用も重要である。)特続可能な産業の中核にある水産業がこれまでの海洋開発の中で無視され、危機に瀕している。これからの海洋開発は水産業の特性、社会貢献等を生かすものでなければならない。
・ わが国は古来、海無しでは生きていけない地理的、歴史的事実を明示し、国民全体の海への正しい認識向上を掲げる。
・ 海−雲−雨−川・地下水−海の水の大循環を環境保全の中心こ据え、総合的政策を立てる。
・ 注意事項:disputed areaの問題についての開発・保全についての基本姿勢を入れる。沿岸域とEEZなどopen seaの間の考え方、逢いが問題。
・ 漁業権、漁業補償の考え方の基本を明確にする。沿岸域航行の権利のあり方の基本を明確にする。国民の海洋教育(学校教育、社会教育)重視を宣言する。
・ 海洋資源・利用が国民の権利であり、義務であることを強調する。
・ 海洋法に基づいた条項の遵守を先ず各国に訴え、もし脱法行為などがあれば毅然たる態度を取ることを国際間に了承せしめることを先にし、紛争に至る事項とは別にする。その後必要あらば、この項目として考慮すべき問題として[5]「隣接国との領土問題ならびに海域境界紛争を合意にもとづいて解決することを訴える」を取扱う。
B
・ 科学的調査、客観的分析、実効ある施策の確立を謳う。
・ 海洋は全人類の(経済水域は全国民の)財産である。
・ 持続的な生命の維持に不可欠な「生態系」を保持する機能としての海洋の役割を明記する。(日本人の心の問題としての海洋の持つ精神性や若者教育(体験学習)の場としての海洋の役割を明記する。)
・ 太平洋、インド洋に加え、沿海(東シナ海、日本海、オホーツク海)での国際協力を進める。
・ 特に1−1コメント後半部(生物を育み、生態系を豊かに形成し、国民への食料、レクリエーション、学習の場を与え、浄化能力に優れた沿岸域を中心に海洋管理を行う必要がある。)のように、沿岸域の管理が大切なことを追加する。
・ 海洋国家として海洋教育に取り組む。
C
・ 海洋の国家国民にとっての重要性と政策課題を明らかにすべき。「利用・保全」という面だけでなく、安全保障、文化も含め、真に総合的な海洋政策とすべき。
・ 海洋の重要性を認識できる価値観を育むような人間教育が重要であることを謳う。
・ わが国が本来「海洋国家」でありながら、実際の海洋利用については産業利用を除けば消極的であり、沿岸域の「埋立」の対象としてのみ捉えていた点を踏まえ、いわば「海に背を向けてきた」第2次大戦後の哲学の改変(アンチテーゼ)が必要。
・ 海洋は前世代から後世代への預かり物。EEZも国際社会から管理責任を分担されているものであることを明示。日本の国土、気象、環境、国民生活が海洋に負うところを明確にする。国際社会の一員として公海における権利義務を見逃してはならないとして公海漁業。
D
・ 海洋の研究を学術推進重点領域に据えて長期的海洋国家を目指す。
・ 地球環境における沿岸海洋での役割として先導的な立場(CO2の問題)。
E
・ 沿岸域の利用について、都道府県に統合調整権限と財源を付与すること。沿岸域の開発は、地域振興にも深く関係すること。海洋研究・調査や海洋技術の開発は、地域の特性に根ざした産業の進展に結び付くこと。
F
・ 輻輳する私有権的権利を調整することで国民経済に寄与することを謳う。
・ 海洋はかけがえのない生命体/人類のふるさと、共存共栄の考え方。
・ ([3]「海洋は地球の・・・」、[6]「200海里EEZ・・・」と関連するが)海洋が地球温暖化防止、食糧供給、エネルギー供給に大きな役割を果たす可能性を有すること、およびそれらの行動を早急に開始すべきことを訴える。
・ 資源の帰属、排他的調査の権利と義務(ただし共同調査は拒まない)、環境保全の義務と保全のための規制などを盛り込みたい。
・ わが国は海洋国家であるので、国境線は海上にある。この国境線の防衛は国防上必要不可欠である。この理念も入れた政策大綱が必要である。
・ 海洋は水産食料生産の場として「持続的利用」の基本理念を掲げる。
・ 海洋の利用、保全するためには、海洋の基礎的自然情報を整備する必要があり、海洋調査と海洋情報管理の更なる拡充を図る。
H
・ 安全保障の問題の解決を推進する。
・ 領海および接続水域における安全保障体制の確立を表明する。
・ 水産食料の安定供給水域としての海洋の重要性を明示すること。
・ 世界環境開発機関(WEDO)の設置。
「人間・環境安全保障理事会」の設置。
・ 海洋の重要性をより知り保全・活用をすることが何故かということを、もっと国民・市民に訴えるべきである。
1−3. 海の管理に関する基本理念を明示的に表明する方法としてはどのようなものが適当とお考えですか?
(該当のものに○印)
|
全 体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
i)政策大綱を策定し、法の整備も行うべきである。 |
160(94.1%) |
42 |
35 |
11 |
18 |
9 |
33 |
12 |
ii)法の整備によらなくても、下記のような方法で充分である。 |
7( 4.1%) |
|
2 |
2 |
2 |
|
|
1 |
iii)わからない。 |
3( 1.8%) |
1 |
|
1 |
|
1 |
|
|
合計(N) |
170 |
43 |
37 |
14 |
20 |
10 |
33 |
13 |
<分析>
海の管理の基本理念を明示的に表明する方法については、i)「政策大綱の策定と法整備の要請」が、160(94.1%)と圧倒的に多い。内容分析は次ページの枝設問に関する回答を見て行うことにする。
i)政策大綱を策定し、法の整備も行うべきである。
→その場合、どのような法の整備が望ましいとお考えですか?
(イ、ロ、ハの選択肢表現は圧縮) |
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
イ)「海洋基本法」を策定するのが良い。 |
110(65.9%) |
30 |
19 |
10 |
13 |
5 |
24 |
9 |
ロ)排他的経済水域(EEZ)および大陸棚と沿岸域それぞれの基本法を制定。 |
50(29.9%) |
9 |
16 |
1 |
5 |
4 |
11 |
4 |
ハ)既存の「排他的経済水域および大陸棚に関する法律」を改正すればよい。 |
2( 1.2%) |
1 |
1 |
|
|
|
|
|
ニ)次のような法の整備がよい。 |
5( 3.0%) |
3 |
|
1 |
|
|
1 |
|
合計(N) |
167 |
43 |
36 |
12 |
18 |
9 |
36 |
13 |
<分析>
1)政策大綱を策定した場合の望ましい法の整備については、イ)「海洋基本法制定」が、110と全体167のうちの約2/3(65.9%)と極めて高い支持を集めた。これは設問1−1.で圧倒的多数がわが国の海洋管理の理念および政策大綱を明確に表明することがi)「ぜひ必要」と答えているのと呼応し、抜本的取り組みに対する大いなる期待の表れと解釈できる。次いで、ロ)「EEZ・大陸棚と沿岸域それぞれの基本法制定)が50(29.9%)と続く。
2)イ)「海洋基本法制定」対ロ)「EEZ・大陸棚と沿岸域それぞれの基本法制定」の支持比を見ると、<C:中央官庁>で10:1とイ)「海洋基本法制定」の支持が高いのが注目される。
3)ハ)「既存の「排他的経済水域および大陸棚に関する法律」を改正すればよい」という選択肢が、敬遠されたのは、沿岸域に対する問題意識の高さが影響しているとも解される。
*設問1−3. i)でニ)を選択された場合、どのような法の整備が望ましいと考えられるかご記入ください。
グループ
A
・ イ)でもロ)でも良いのだが、基本法がいくつもあるのもおかしいのでイ)とし、その中で性格の違いに応じて海域区分をしてそれぞれの基本理念と政策の大綱をまとめるのが望ましいと考える。
・ 海洋基本法を枠組み法として、その下に各概念を盛り込んだ個別法を作るのが良い。
・ 海洋基本法があって、その中に排他的経済水域および大陸棚の総合的保全および利用に関する法律など必要な法律を位置付けるのが良いと思います。
・ 海洋法が望ましい。
・ イ)は従来、政策のoptionを狭める傾向あり。
B
・ 海洋に関する諸問題は諸々の分野にわたり相互に関連することが多いが、包括的に検討し、総括した協議メカニズムを可能とする基本的理念が必要。
・ ハ)については詳しく知らないが、内容を充実させたらどうか。
C
・ わが国の海洋に対する”海の憲法”的な基本法。国際的海洋関連条約の理念と整合性のあるものが望ましい。
F
・ 海洋管理法
・ 海洋管理に関する基本理念を明示する以上、海洋基本法が妥当と考える。
ii) 法の整備によらなくても、下記のような方法で充分である。下記以外の方法が考えられる場合は、ホ)以降の欄に書き込んでください。
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
イ)国会決議 |
2 |
|
1 |
|
1 |
|
|
|
ロ)閣議決定、閣議了解 |
4 |
|
|
2 |
1 |
|
|
1 |
ハ)政府声明 |
1 |
|
1 |
|
|
|
|
|
ニ)首相談話 |
0 |
|
|
|
|
|
|
|
ホ)へ)ト)(自由記入) |
0 |
|
|
|
|
|
|
|
合計(N) |
7 |
0 |
2 |
2 |
2 |
0 |
0 |
1 |
<分析>
海の管理に関する基本理念を明示的に表明する方法について、ii)「法の整備によらなくても充分」と回答したのは、7(4.1%)と極めて少ない。その中ではロ)「閣議決定、閣議了解」が4(57.1%)と多い。
*設問1-3.についてのご意見、コメントをご自由にご記入ください。
グループ
A
・ ii)では「海の管理」は不可能。法を整備して、混乱を防ぐ必要がある。
・ 結果的には海洋法が基礎にあるので「EEZ、大陸棚」に関する法律に「総合的沿岸管理法」の条項を取り入れることで良いのではないか。但し、政策大綱は5〜10年毎に見直して、国家の意図・方針を絶えず明らかにしておくことが必要で、閣議決定を経て、政府声明を行うこととする。
・ 法制について、最終的には「(総合的)沿岸管理法」が望ましいが、取り敢えず閣議決定等でも構わない。要は、我が国の海洋管理のあり方を国民的議論に乗せる場・状況を早急に作るべきである。沿岸域管理法は現行法の上に立つパラソル法的位置付けとし、現行法は原則としては現存させ、管理法と矛盾する部分の修正程度で良いと考える。
・ 法律家ではないのでよく分からないが、海洋の開発、利用、保全等については、既に関連して多くの法律法制度があると思う。例えば、最近の「水産基本法」だけでなく、漁業権、漁業に関するもの、あるいは安全航海、運行(航行)に関係するもの、気象業務に関するもの、沿岸保全や河川管理に関するもの、さらに海洋投棄、埋立等環境保全、公害対象に関するもの、その他「海」と「海の使用、利用」に関するものの総括、総合の上で大綱などと言うものは考えられるべきもので、「海」を知らないで「頭」だけで考えた政策は、不可だと思う。この議論はどれだけ「海」を知った上でなされようとしているのか、分からない。
・ 法の整備に拠らなくても、国会決議のような方法で充分である。
・ 上記「海洋基本法」の下に、各種の法令を整備し、相応の実施措置を閣議決定でもすれば良い。
・ 海の管理の理念を明確にすることが具体的な施策の原点です。
・ 法の整備に拠らなくても、閣議決定、閣議了解方法もある。
・ 全く新しい理念に基づいてゼロから作るべきである。
・ 国民的な議論を多く重ねることが必要である。特に政策立案者が問題を実感できるように、現場を見ている人達との直接の対話が必要である。セクショナリズムは官僚機構の本性でもあるので、自立を促すことは困難である。そのため、セクション間の調整のセクターとして国民の世論が分かりやすい形で存在することが望ましい。世論の集約の方法としては、マスメディアもその一つだが限界がある。そのため専門的な電子フォーラムや議論の集会の頻繁な議論の場を設置して、政策的問題を広く議論すべきである。国会などでは時間が不足している。
・ 1−2の[2]以降の設問は「海洋国家」としての条件・内容と考えられます。[4]「海洋の問題は相互に密接な関係を有し」と[7]「海洋に関する諸問題」の部分をよく理解できません。1−3i)のイ)を最上位に置き、他を下位に置いた階層構造とすべきでしょう。
・ 特に閉鎖性海域(三大海洋)。
・ 沿岸域の開発を各地方自治体の管轄にしているため一貫性にかけ、抜け穴探しになってしまう。国全体として先を見通し、開発に制限(むしろ埋め立ての禁止)を加える必要がある。そのためには、海洋政策を執り行う独立組織が必要であろう。
・ 1−2の[5]〜[7]までは重要であるが、基本理念に入れるべき内容ではないと思います。1−2[1]の「海洋国家」はよく言われますが、これまでのようなただ単に海に囲まれた島国だから「海洋国家」だと言ったものではなく、より積極的な姿勢を打ち出した「海洋国家」の宣言が必要と思います。
・ カナダ、アメリカ、韓国などのように海洋基本法の整備が望まれ、海洋国日本を宣言したい。
・ 「海洋基本法」に盛り込むべき項目:歴史的、文化的、政治的、経済的に海洋と共に生まれてきた。そして今後も生きて行く海洋国家の認識、行動の宣言。国連海洋法、IMO、FAO、IW C、OECDなどへの積極的参加と大いなる貢献。地球規模の環境問題(気候変動、温暖化)、生活に密着した環境問題(沿岸域の汚染、海洋線の後退、閉鎖性海域の赤潮etc)の解決への積極的な取り組み。国民生活の基盤となる水産資源、海洋鉱物資源、海上輸送、海洋空間利用を有効に進めるための技術の開発と産業の育成/創出。国民一人一人のための海洋を重視、青少年の海洋教育を充実。
・ わが国が海洋国家として海と共に発展し、生きて行くと言う包括的な理念が中心となった基本法が良い。
・ 200海里外についても、漁業資源管理、燃料・鉱産資源、環境問題、CO2吸収、シーレーンなど、わが国の国益に密接に関わる問題があることを認識するべきである。
B
・ わが国は領海、排他的経済水域を併せて447万平方キロメートルという世界で6番目に相当する広大な管轄海域を有し、その資源と環境に責任を持つ海洋大国です。海洋の管理に関する国際的な枠組みとルールを包括的に定めた国連海洋法条約と持続可能な開発を宣言したリオの地球サミットで採択したアジェンダ21第17章の行動計画に則った海洋の管理に早急に取り組む必要があります。先ず、日本の海洋政策を確立し、さらに個別の海洋関係法令を調整するためにも「海洋基本法」を制定すべきです。(「海洋基本法」とは別に「総合的沿岸域管理法」、「排他的経済水域および大陸棚の総合的保全および利用に関する法律」は必要だと思いますが。)
・ ii)については、イ)〜ニ)の方法で今まで無能である。期待できない。抜本的に国の理念の構築が必要(実行的)。海洋に対する熱意と知識を持たなければ出来ないと思う。
・ 港湾法等、既に法整備されている海域があるので、これら法律の理念を包括的に取込んで海の管理に関する基本理念を明示する。
・ 1−1でコメントした通り(政策大綱の基本理念となるべき「環境保全と持続的利用」について、環境基本法および水産基本法に概ね明示されており、基本理念の主要な部分が屋上屋となる恐れがあるため)、海洋基本法としては必ずしも必要ではない。
・ その内容を如何に一般市民(若者)に、分かりやすく知らしめるかがポイント。
・ EEZの出現が日本にもたらすこととなった諸問題を中心に政策大綱等を考えるべきである。その際日本がEEZにおいて確保すべき権利面と、資源管理、環境保全等についての義務面の双方を盛り込むべきである。
・ 既に21回実績のある「全国豊かな海づくり大会」を更に国民運動として展開する方向で、国会において法律的な支えと、財政的な支援が可能な方途で検討できればと思う。
・ 首相は所信表明演説において、この政策大綱に基づく国家政策の取り組み方針を国会へ報告するのが望ましい。
・ 海洋の国民への利益にまで反映させるためには、海洋政策の持続性が必要である。現在の国会の政策は変化が激しく、政策大綱として法の整備をしなければ、持続性は困難であり、海は国民から忘れ去られてしまう。
C
・ 環境基本法や教育基本法とのリンクが不可欠であると考える。
・ 海洋管理に関する基本理念と個別政策をセットで提示する場合は、法律の整備も考えられるが、個別政策が明確でない段階においては、閣議による政府の意思決定が適当である。
・ 包括的な理念を織り込んだ「海洋基本法」を判定し、個別施策については、その下に個別法という形で位置付けることが良いのではないか。
・ 政策大綱、基本法の整備が最も望ましいが、これにこだわる必要はなく前問にあるような基本理念が国民合意を得て確立され、これが明示されるのであれば他の方法も問題ない。
・ i)イ)と回答したが、但し○○基本法の類いが多すぎるので、眞に国民の共感しインパクトを持ち得る理念への整理が肝要である。
・ 眞に国民に納得の行く理念の整理抽出を先ず行い、その理念を骨子とする「海洋基本法」を制定する。この基本法に照らし、既存の海洋関連法(陸域に係るものを含む)を全て見直し、加除修正、それで対応できない部分については新規立法を考慮する。
・ 表明の形式よりも、国民一般に分かり易いものにすることが重要。(冗長、複雑な文書であれば、むしろ不用)
・ 海洋基本法の制定は必要と思うが、理念の下で具体的施策を実施するための法制度や予算措置の調整は、利害関係が複雑であり、かなりの困難を伴うと思われる。
・ 法の整備に加えて、閣議決定、閣議了解による「海洋の開発・利用・保全に関する国家基本計画」の策定も必要である。包括的な理念と具体的な目標化を織り込んだ「海洋基本法」を制定するのが良い。
・ 海洋管理に係る基本政策を国の政策として提示するのであれば、当該基本政策の下で実施すべき個別の政策とセットで考えるべきであるが、当該個別政策が必ずしも明確ではない現段階においては、法律の設定まで必要であるとはいいきれず、閣議による政府としての意思決定、意思表明が望ましいと考える。
・ 現に利用、開発が輻輳している沿岸域と未だ利用、開発が進んでいないEEZ、大陸棚とは別の法律を制定する必要がある。
D
・ 1−2[2]の指摘のうち「優しく保全する」という言い方はインチキ臭い。気持ちは分かるが、そのようにして実際は大きく違ったという例があまりに多いので(乖離が大きい)。
・ 注)1−2の[4]に○を付さなかったのは「統合的」という言葉にひっかかったため。
・ 海洋問題は地球環境問題と密接な関連がある。海洋を含めた「地球上の水循環」的視点も重要。
F
・ 海洋に関するわが国の基本的理念を制定(憲法)。その基本理念の下に各法を定めることが必要。
・ 上記の回答(海洋管理に関する基本理念を明示する以上、海洋基本法が妥当と考える。)が基本であるが、一方時間のファクターも重要である。法整備に長期間要するとすれば、次善の策として、先ず骨格部分の国会決議という方法も考えられて良いと思う。
・ 海洋国日本として「海洋基本法」を制定し、基本法に基づき海洋関連省庁が具体的施策を立案し推進する。但し、海洋基本法の推進のために各省庁の調整機関を置く必要がある。
・ 「海洋」という言葉の定義が、現状では曖昧であり、不明確な対象の包括理念は実効性が薄いと考える。
・ 海洋の利用や保全など、技術の発展と共に変化して行くものであり、近隣諸国との関係も時代と共に変化するものである。このように流動的にその目的や、概念が変化するものに対しては、法で定めるよりは、定期的に見直した指針を示すべきだと考える。このため、政策大綱では、あくまでも包括的な内容に留めるべきだと考える。
・ 法制度とすることで、海洋管理の重要性を表現することが必要である。合わせて国民にアピールすることも必要。
・ i)イ)が適当としましたが、「海洋基本法」の中で「章」を別けて「EEZおよび大陸棚と「沿岸域」について規定すれば良いと考える。尚、i)イ)には相当の年月を要することも考えられるので取り敢えずは閣議決定を経て「政府声明」の形で可及的速やかに理念を明らかにする必要があるのではないか。
・ 1.海洋は経済水域と沿岸域(領海)は基本理念に基づき、一体的・総合的に管理されるべきと思うので、全体を網羅した基本法が必要である。(基本理念を明示するには国会決議等基本法以外の方法によるべきでない。)2.経済水域と領海で個別の法律が必要であるとすれば、海洋基本法に基づく個別法として制定すべきである。
・ 竹島、尖閣と申すまでもなく、わが国主権を国際間で明確に主張し、他国の侵入に手を拱くようなことなく行動するためにも、法制の確立に依る迅速な対応が必要。
・ 広く国民一般に基本理念の認知と理解を求めることが重要であり、名称も含めて親近感を持てるような内容、および立法手続きが必要。具体的取扱い、行政手続きについてはi)ロ)のような下位法が別途必要。
・ 海洋の一元管理のため、海洋省として独立するのが望ましい。
・ 大綱を作ることにより、国内外にわが国の海洋の扱い方、考え方を示すことができる。ii)によっては外国へは何も伝わらない。
・ 政策大綱と行政システムが連動することが不可欠。
・ 基本法およびそれをリンクした個別法の両方が必要。
H
・ 「開発、環境、平和」の三つに取り組んではじめて「海洋の総合管理」と言えるのではないか。
・ 「海の管理に関する基本理念」においてどのような内容を示すかにより、その形式は異なる。国民の権利を制限しまた義務を課すのであれば、法律レベルである必要があるが、政策、行政方針の表明であれば必ずしも法律でなくても良い。
・ 包括的な「海洋基本法」+個別具体的な法律(教育基本法+学校教育法等々のように)。
・ 法の整備も大切だが同時に首相、官房長官等の談話による国民へのメッセージが必要であろう。
・ 基本法で理念を明確にし、関連法を制定することが望ましい。海洋、地球、宇宙は密接な関連を持っているが、宇宙の方に夢があるにせよ、もっと海洋にわが国は関心を傾けるべきだ。人類の精神的、経済的資源として地球の70%を占める海洋を先ず見つめ直すべきだ。