〜海洋と日本〜
21世紀におけるわが国の海洋政策に関する提言
提言1 総合的な海洋政策の策定
国連海洋法条約および国連環境開発会議(リオの地球サミット)に掲げられた国際的な海洋管理の理念のもとに、わが国の管轄する沿岸域から排他的経済水域および大陸棚外縁までの開発、利用、保全、並びに公海を含む全海洋におけるわが国の権利義務の行使および国際協力に関して、国家としての基本理念と行動計画を掲げるわが国の海洋政策を策定し、内外に明示すべきである。
1-1. わが国の海洋管理の基本理念として次の3点を明示すべきである。
[1]海洋の国際法秩序の尊重と国際協調
地球上の7割を占める広大な海洋の問題は、一国だけでは適切に対応できない。わが国は海洋国家として、国連海洋法条約その他の国際的取極めによって確立された海洋の国際法秩序を尊重して、平和、安全、協力および友好関係の強化を旨として海洋管理に取り組む。
[2]海洋の持続可能な開発、利用
海洋は、地球の生命維持システムに不可欠な構成部分であり、環境問題における海洋の重要性を認識し、海洋環境の保護および保全と両立する海洋および海洋資源の「持続可能な開発、利用」の実現に努める。
[3]総合的管理
海洋の問題は、相互に密接な関連を有し、全体として検討される必要があるので、海洋および沿岸域の開発、利用および保全について総合的管理を行う。
1-2. 海洋政策の策定は「海洋基本法」を制定して行うべきである。
わが国は、海洋政策を国家政策の中でも重要な課題として位置付け、その策定、実施のため、個別の海洋関係法令の上位規範として、基本理念、海洋管理基本計画、海洋の調査、開発、利用および保全に関する施策、国および地方公共団体の責務、海洋関係閣僚会議、海洋担当大臣の設置、海洋審議会の設置等を盛り込んだ「海洋基本法」を制定すべきである。