はじめに
国連海洋法条約の発効やリオの地球サミットによる持続可能な開発宣言により、世界各国は海洋と沿岸域の総合的管理に熱心に取り組み始めています。しかし、わが国では依然として海洋に関する行政は多数の省庁が縦割で行っており、新しい海洋秩序に基づいてこれらを総合的に実施する明確な海洋政策が策定されていません。このままでは、わが国は世界的な規模で進行している海洋の開発、利用、保全の取り組みから取り残される恐れがあります。
そこで、日本財団は、わが国の海洋政策のあるべき姿を研究するため、「海洋管理研究会」を設置し、諸外国の海洋政策の研究、国内外の関係機関等との意見交換、研究セミナーの開催などを行ってきました。さらに、昨年末には、研究者、実務者、民間海洋関係企業等に「海洋政策に関するアンケート調査」を実施しました。
今回の政策提言は、上記の成果を踏まえて取り纏めたものです。国政を与る方々、海洋関係省庁をはじめ広く海洋に関係する各界の方々がこの政策提言を真摯に受けとめ、その実現に努めて下さることを切に望むものであります。
皆様のご理解ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。
2002年5月
日 本 財 団
会長 曽野綾子