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調査結果概要
1.主旨
 日本は四方を海に囲まれていることから、昔から船は漁業、物資等の輸送手段として重要であり、日本の自然や用途に合わせ、さまざまな木造船(和船)が建造されてきた。しかし明治以降、日本の近代化が進むにつれ、木造船は鉄船やFRP船に取って替わられ、次第に建造されなくなり、「和船」「船大工」「漁労習俗」等の社会的な資産とも言える貴重な資料が失われつつある。
 そこで当財団では、2001年5月に発表した和船及び船大工に関する全国調査の結果を踏まえて、貴重な日本の木造船技術の資料保存・管理方法と次世代への文化的な遺産継承のため施策を検討するため、和船文化・技術研究会を設置し、下記の事項について調査、検討することとした。
 委員会の構成については別表に示すとおりである。
(1).各漁協において、木造船がどの程度残っているのかを調べ、これらの収集・保存に向けた基礎資料とし、社会遺産として後世に残すための方策を検討し、その具体化を行う。
(2).日本に今、木造船を建造できる船大工の方がどれくらい残っているのかを調査し、その技術等を何らかの形で残す方策を検討し、その具体化を行う。
2.内容
2-1.木造船に関する基礎調査について
2-1-1.調査主旨
「和船文化・技術研究会」が我が国の木造船文化や技術を、社会遺産として後世に残すための方策の検討、及びその具体化を行うにあたり、まずは木造船と船大工の現存状況を把握する必要があった。しかし現状ではこのような資料は皆無であることから、各漁協に対し木造船がどの程度残っているか、また木造船を建造できる船大工が何人くらい生存しているのかについてアンケート調査を行い、木造船現存状況に関する基礎資料を作成することとした。
2-1-2.方法
 調査は全国漁業協同組合連合会の協力を得て、各地の漁協等2,820件に対しアンケート調査を以下のとおり実施した。
<調査先>
[1]都道府県漁連 (海) 42件
[2]地区漁連及び漁協 (海) 1,784件
[3]業種別漁協ほか (海) 241件
[4]内水面漁協 (川、湖) 753件
<設問>
[1]漁協の周辺に、今でも残っている木造船はあるか? (ある/なし)
[2]残っている木造船の概要(呼び名、隻数、主な用途、使用状況)
[3]木造船船大工はいるか? (いる/いない)
[4]船大工の連絡先(氏名、年齢、住所、電話番号)
[5]漁協関係者で模型を所有する人はいるか?
[6]模型の種類と所有者(名称、所有者住所、電話番号)
[7]その他、木造船技術の保存等に意見・感想、海・船に関する資料などの情報
 
3.調査期間
アンケート発送: 2002年1月10日(木)
回答締め切り: 2002年2月1日(金)
 








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