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2.アンケートの集計結果
 今回の実施内容についての評価を得ること、並びに次回以降のカリキュラム編成に際しての参考意見を入手するために、参加者全員に対しアンケート調査を実施した。
(1) 全般の内容に関するアンケート調査の結果(図3)
[1]内容全体について(図3−ア)
 本スクールの総合評価は、「とてもおもしろかった」が89%、「おもしろかった」が11%で、すべての参加者から高い評価が得られた。
[2]本イベントを知った方法について(図3−イ)
 「知人に誘われた」が75%で最も多く、次いで「その他」すなわち自らが所属する研究会等を通して知った者が15%、「募集要項を見た」が10.0%であった。上記の結果は、生徒たちの場合と同様に「口コミ」による募集方法が極めて効果的であることを示している。
[3]日程について(図3−ウ)
 「丁度よかった」と答えた者が83%、「短かかった」と答えた者が17%であった。このうち「短かかった」と答えたのはすべて大学生であったので、対象者が教諭の場合には、今回の日程が適当であったと思われる。
[4]参加人数について(図3−エ)
 すべての参加者が「丁度よかった」と答えたことから、実習を含む本スクールの参加者数は20名程度が適当であると思われる。
[5]参加旅費について(図3−オ)
 「全額自己負担でよい」と回答した者は60%(14名)であったが、その多くは近郊からの参加者であった。また、「一部主催者が補助した方がよい」と答えた者は28%であったが、この中で近郊からの参加者からも「遠方からの参加者の負担を少しでも軽減してあげた方が参加しやすい」という意見が多く聞かれた。
(2) 講義及び実習等に関するアンケート調査の結果(図4)
 講義のみの科目は、「深海6500mの世界」「潜水と人間」「地球環境と海洋」「地震の巣を探る」及び「深海地球ドリリング計画」の5科目、講義に実習や見学を加えた科目は、「深海調査と情報技術」「深海に適した生物」及び「海洋エネルギーの利用」の3科目、実習のみの科目は、「ROV実習」「圧力体験実験」及び「体験潜水」の3科目であった。
 これらの科目の中で、全参加者から「A:とても有意義だった」という評価を得たのは「圧力体験実験」であった。また、この評価に「B:有意義だった」という評価を加えると、「海洋エネルギーの利用」「地球環境と海洋」および「体験潜水」がともに全参加者から100%の評価を得た。なお、その他の科目についても95%以上の参加者がB以上の評価をした。
(3) まとめ
 今回のスクールでは、できる限りの努力を払い対象地域からの参加者の確保に努めたが、そこからの参加者は、わずか1名であった。その後さらに募集範囲を近郊の高校教諭へも拡大したにも拘わらず、定員割れが生じたため、大学生及び大学院生をも受入れて実施することとなったが、これに関しては実行上、特に問題が生じることはなかった。むしろ、アンケート調査の結果などからは、「大学生の前向きの姿勢やエネルギーに好感がもてた」「教諭だけとは違う新鮮さをもらい、話すチャンスができてよかった」という教諭の意見のほか、「幅広く、いろいろな世代の人たちとの交流が持ててよかった」という学生からの意見等、好感度の良い意見が聞かれた。 今回、遠方の対象地区からの参加者を確保できなかった最大の理由は、生徒の場合と同様、やはり「交通費の全額自己負担」という問題であったと思われる。また、あらかじめ参加しやすい日程に関する情報を入手し、それを参考にして開催期日を設定することや、余裕をもって募集要項を送付することも必要である。
 本スクールに参加した「全国理科教育推進センター」の代表者や他の教諭などからは、「“無関心な教諭があまりにも多い”ということも無視できない」という意見も聞かれた。従って、今後教諭に対する募集は、意欲のある先生たちにより構成されている「各地区の理科関連の研究会」などのネットワークを通して応募者の募集を行えば、より多くの応募者を確保することができるに違いない。同時に、以前参加した人たちを通して情報を提供することが極めて効果的であることが判明したので、次年度以降は、これらのことを参考に募集を行うようにしていく。
 現在実施している本スクールは、「進路決定を間近に控えた高校生たち」への海洋科学技術についての啓蒙や情報提供のために企画されたために、その対象者は、高校生、高専生及びそれらの教諭のみを対象にしているが、今後は、中学教諭にまで範囲を広げて実施する必要があると考える。それは、私立の高校教諭は中学の教諭を兼ねている場合が少なくなく、また、公立高校の教諭が中学校に転勤することや、その逆のケースもあり得るからである。
 今回は、定員不足という問題を抱えて実施したが、参加者からのアンケート調査の結果にもみられるように、内容的には本来の目的を十分達成することができたことが確認された。今後は、応募者の増加を目指すとともに、より充実したカリキュラムの編成を行うことにより、さらに充実したスクールの実施を検討していく。
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