はじめに
近年、地球温暖化等の地球環境問題、地震・津波等の自然災害、エネルギー問題等地球規模の諸問題に対する関心が高まり、これらと密接に関わる海洋に関する調査研究、開発・利用が以前にも増して重要になってきています。
海洋科学技術センターは、昭和46年の設立以来、我が国の海洋科学技術に関する研究開発の中枢機関として、深海底の探査、海洋におけるエネルギー、資源及び空間の総合的利用、地球的規模の海洋環境変動等の調査研究を推進してきており、現在は、大型プロジェクトとして、過去の地球環境変動の解明、地震発生メカニズムの解明及び地殻内生命と生物進化の解明のため世界最高の科学掘削能力をもつ地球深部探査船の開発による深海地球ドリリング計画を推進している他、地球環境変動予測のため欠かせない危険域や極域の観測空間海域での観測を可能とする自律型無人潜水機の研究開発、波エネルギーを利用した海洋環境改善、太陽光発電など他の自然エネルギーとの複合発電技術等の研究開発等に取り組んでいるところです。また、これらは、いずれも我が国最先端の技術開発であり、その研究開発を効率的に推進していくために、海外の海洋開発先進国の最新の技術情報の収集に努めています。
今回の調査では、ブラジル国リオ・デ・ジャネイロで開催されたOMAE-2001(20th International Conference on Offshore Mechanics and Arctic Engineering)に参加し、海洋石油資源に関する探査技術・掘削技術に関するセッションを中心に開催期間中可能な限り会議を聴講しました。昨今の各国の海洋科学技術に対する取り組みは多方面に渡りその技術進歩も著しく、海洋開発先進国等の研究者・企業関係者との交流、情報交換・収集の機会を得ることができ有意義な会議でありました。本報告書が、関係各位の業務に多少なりとも参考となれば幸いです。最後に本調査に際して、日本財団殿の全面的な理解を得て実施することが出来ましたことを心よりお礼を申し上げます。
平成14年3月
海洋科学技術センター
海洋技術研究部 許 正憲
海洋技術研究部 百留忠洋