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解剖学実習を終えて
 石川 久美子
 一番に思う事は、「もっともっと積極的に実習すればよかった」という事だ。実習の初めの頃は、非常に緊張しており真剣そのものであった。しかし、回を重ねるにつれて慣れ、だれてきた。解剖中も解剖以外の話をしたり予習をしない時もあった。そんな時、私は心臓を分担役割で担当した。解剖し、三人に説明しなければならないので私は一生懸命にやった。無我夢中だった。その時感じた。「これか! ご遺体が先生だというのは」と。自分で持って触って切開して、分からなければ調べて、先生に質問して……。自分の手でやるからこそ、記憶に、イメージに残る。絶対に。私は今でも心臓のあの感触、重さ、色など鮮明に覚えている。つまり、実習には解剖は自分の手でやるんだというやる気、しんどくてもやり続ける根気、体力がないと始まらないので元気、この三つの気が必要だと思った。
 あと、どの教科もつながっていくのだろうけど、肉眼解剖学と組織学は密接だと思った。解剖で大まかな事を見ておけば顕微鏡で見た時、理解しやすい事が分かってきた。自分が解剖できなかった部分も充分に見ておく必要がある。
 解剖は四人グループで進めていく。チームワークが非常に重要だと思った。個人個人により予習の仕方、作業のスピードは違って当たり前、相手を尊重しつつ助け合う事が必要だと思った。私達は将来チーム医療と関わっていく。その第一歩が解剖実習だと思った。
 最後に、ご遺体の方々に本当にお礼を言いたい。そのために、この先私はこの解剖実習を生かし、患者を思いやれる医者になろうと思う。解剖実習の事は一生忘れない。貴重な経験だと思う。私は本当に医者になるんだという事を初めて実感できた。
 解剖実習に関わって下さった全ての方々、本当にありがとうございました。








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