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解剖学実習を終えて
 小谷 彩子
 私達二年生は十月五日から後期の解剖学実習が始まりました。解剖の実習があるということは前から知っていましたが、それがどんな風に行われるのか興味もある反面不安もありました。前期の解剖の授業では講義の他に骨の名前、神経や動脈、静脈の名前、またそれらがどのように走行しているのか、筋の名前やそれらの起始、停止などを実際に骨を観察することによって学び、後期の実習では、それらの知識を生かして人体解剖を行いました。実際に人の体となるとよくわからなくなることも多かったです。しかし、そんな時に先生方に聞いたり、友達と多くの参考書を見ながら調べていくうちにわかるようになりました。解剖してみて教科書や実習書と全く同じ形や構造をしているのを見て感動しました。また、図や言葉だけで学ぶよりも実際に人の体にふれた方が構造もよくわかり記憶にも残ります。そういった意味でもこの実習は貴重な体験だったと思います。
 実習の前には毎週必ず試験が行われました。この試験は辛いなと思うこともありましたが「解剖するご遺体を自分の家族や友達など大事な人と思いなさい」という先生の言葉を思い出し、また十月に築地本願寺にて行われた解剖体追悼法要では、ご献体して下さった方々のご遺族にも出会い、ご遺族のいろいろな気持ちもこめられているのだと思うと、いい加減な気持ちでは解剖できないし少しでも多くの知識を頭に入れておいて実習に臨まなければならないと思いました。
 この実習を終えてみて、将来歯科医師となった時、ここで学んだことがどのように生かされてくるのかはまだわかりませんが、口腔内を見て神経や動脈、静脈がどのように走っているかなどが頭の中に描けることによって治療の確実性・安全性も高まってくるのではないかと思います。
 ご献体して下さった方々とご遺族の方々、また実習の際に立ち会って下さった先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。








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