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4.2.4 第六篇 国際漁船の安全
 
第1章 通則
1. 本篇では、「1977年トレモリノス国際漁船安全条約」の「1993年トレモリノス議定書」の付則(以下「本議定書」と称す)を引用する。一部の個所に変更がある。
2. 国際漁船は、寄港国の特殊な要求に注意しなければならない。
3. 寄港国がある設備の配置に対して規定していない場合、管理機関の同意を得て緩和することができる。
4. 本篇で言及しない安全要求(例えば、信号設備、クレーン設備など)と各章で言及していない船舶に対する要求については第七篇の関連規定に従って執行しなければならない。
 
第2章 「1977年トレモリノス国際漁船安全条約」の「1993年トレモリノス議定書」
第1節 一般規定
第1条 適用範囲
 別途規定がある場合を除き、本章の規定は長さが24m或いはそれ以上の新造の国際漁船に適用する。(略)
 
第10節  航行設備と装置
第1条 適用範囲
別途規定がある場合を除き、本章の規定は、新船と現存船舶に適用する。
第2条 免除
 航行の性質或いは船舶が陸地に近いとの理由でこの種の要求が必要ないと認められた場合、本節でのこの種の船舶に対する如何なる要求も免除できる。
(略)
4.2.5 第七篇 非国際漁業船舶の安全
 
第1章 通則
第1節 一般規定
1.1.1 別途規定がある場合を除き、本篇は長さ(船の長さに対する定義については第三篇の規定に参照)が12m或いはそれ以上の固定連続甲板を有する非国際航行作業の漁業船舶に適用する。
1.1.2 上述の漁業船舶は、本篇の規定に適合することに加え、本規則の第一、第二、第三、第四と第五篇の適用規定に適合しなければならない。
1.1.3 内陸河川の漁業船舶は「内陸河川の漁業船舶の設計、製造と検査規定」の関連規定に適合しなければならない。
1.1.4 タンカー、クレーン船、浚渫船等本篇各章で規定していない船舶に対しては管理機関が別途規定する。
(略)
 
第8章 航行設備
第1節 一般規定
8.1.1 適用範囲
8.1.1.1 航行設備は、本章の規定に適合することに加え、本規則の第一篇、第二篇と本篇第1章の適用規定に符合しなければならない。
8.1.1.2 航行設備は、管理機関による認可と検査を受けなければならない。
8.1.1.3 本規則公表前に製造中或いは運行中の船舶については、実際に執行可能な範囲で、できるだけその航行設備を本章の要求に適合させなければならない。
8.1.2 免除
8.1.2.1 長さが24m以下の漁業船舶については、24m以下の漁業船舶を対象に船舶検査部門が同意してその航行設備を本章で明確に規定した場合を除き、実際の状況に合わせて配置することができる。
8.1.2.2 本規則の第二篇第5章の規定による検査を除き、あらゆる合理的な措置をとっても本章に規定された航行設備の有効な稼動状況を保証できない場合、この種の設備の機能が異常という理由で船舶が航行に適しないと判断して拘束することはできない。所在地の港湾が修理サービスを提供できない場合も船舶を港湾に拘束することはできない。
8.1.3 一般要求
8.1.3.1 航行設備に補助装置がある場合、当該装置は本章の要求と相応の性能基準を満たすことに加え、その操作はできるだけ合理的かつ容易で、故障しても主要設備の性能に影響してはならない。
8.1.3.2 航行設備の制御装置の数量、サイズ、構造、配置、操作方法は、適切、簡単、感度が高く、使用者の有効な操作を保証し、誤作動を最低限に抑えるものとする。
8.1.3.3 全ての制御装置は、正常な調整が容易で、設備の正常操作位置を識別しやすいものとする。あまり使わない制御装置は近づきやすい場所に置いてはならない。
8.1.3.4 常に制御装置を識別し、ディスプレイの表示を見やすくするため、充分な照明(設備に搭載する照明或いは船上照明)と輝度調整装置がなければならない。
8.1.3.5 数字を入力するキーボードがある場合、「0」〜「9」の数字の配置は、管理機関に認可された基準に符合しなければならない。パソコンとデータ処理に使うアルファベット式のキーボードを使用する場合、「0」〜「9」の数字の配置は、ISOの関連基準に符合しなければならない。
8.1.3.6 航行設備には過電流、過電圧、電源の瞬時変化と偶然な極性反対に対する保護装置がなければならない。
8.1.3.7 主電源のみで航行設備に電力供給してもよい。二つ以上の電源を使う場合、一つの電源から迅速にもう一つの電源に切り替える装置がなければならない。
8.1.3.8 設備には、確実な接地装置がなければならない。但し、それによって電源が接地になってはならない。
8.1.3.9 通常に起こりうる各種の海洋状況、船舶運動、振動、温度、湿度と電源波動の変化などの環境条件において、航行設備は、連続して稼動できなければならない。設備は、規定された関連試験に合格しなければならない。
8.1.3.10 航行設備は、充分な信頼性がなければならない。
8.1.3.11 各種の合理的かつ実際に実施できる措置により設備と船上の他の設備同士間の電磁妨害を除去或いは抑制しなければならない。
8.1.3.12 あらゆる措置をとり設備からの電磁エネルギーに対し人体を守らなければならない。
8.1.3.13 レントゲン放射線が発生する設備は次の規定に適合しなければならない。
 1)正常な作業条件で設備のレントゲン線量は、関連規定の限度を超えてはならない。
 2)設備のレントゲン線量が関連規定の基準を超えた場合、設備が明確な警告を標識しなければならない。設備のマニュアルに設備を使用する際にとるべき防護措置を明記しなければならない。
 3)設備の一部が故障したことが原因でレントゲン線量が増加する可能性がある場合、設備の資料で適切に説明し、線量の増加の可能性を警告し、とるべき防護措置を明記しなければならない。
8.1.3.14 船舶の安全に関連する聴覚を妨げないために、航行設備の各部品からの機械騒音を制限しなければならない。操船室、海図室とその他の騒音に敏感する区域に取り付ける航行設備とその部品の騒音レベルは、65dB(A)を超えてはならない。
8.1.3.15 標準コンパス或いは操舵コンパス付近の設備とその部品は、規定に従って取り付けなければならない。そして、これらの設備とコンパスとの最低安全距離を明示しなければならない。
8.1.3.16 航行設備の防護形式は、取り付け場所と使用場所に適応しなければならない。
1)操船室、海図室とその他の乾燥密封船室に取り付ける設備: IP22。
2)露天甲板と貨物倉に取り付ける設備: IP56。
3)二重底倉に取り付ける設備: IP68。
8.1.3.17 航行設備に繋がるケーブルの敷設は本篇電気章節の関連要求に適合しなければならない。
8.1.3.18 設備の設計は主要装置の変更作業がしやすく、複雑な再校正或いは調整がいらないようにする。
8.1.3.19 航行設備の製造と取り付けは、検査と保守に便利ではなければならない。
8.1.3.20 航行設備には、メーカー、モデル、番号、製造日などを記載する札と船用製品検査合格の標識がなければならない。
 
第2節 配置要求
8.2.1 航行区域と船の長さ(L)に従い航行設備を配置しなければならない。表8.2.1の規定に従って航行設備を配置しなければならない。
8.2.2 本章で要求する航行設備の配置は、船舶検査部門の同意を得て、同様の設備で代替することができる。
8.2.3 航行時間が2h以下の短距離航路の船舶に対し、本篇表8.2.1のIII類航行区域の要求に従い設備を配置できる。特定の航路で航行する船舶に対し、船舶検査部門の特別な批准を得て、配置要求を引き下げることができる。
8.2.4 全ての船舶は、その予定航路に必要な充分な最新の海図、航路ガイド、灯台表、航行通告、潮汐表等全ての航海出版物を備えなければならない。
漁業船舶航行設備の配置表(表8.2.1)
航行区域分類 I類 II類 III類 説明(L:船の長さ、m)
最低限配置
航行設備
1.航海コンパス        
1)磁気コンパス:標準コンパス 1 1   L≧45mの場合に必要
操舵コンパス 1 1 1 全ての船舶に必要。反射磁気コンパスを配備した場合免除可。
L≦24mの場合、B級コンパスを配備できる
予備の標準コンパス 1 1   L≧45mの場合に必要。但し、操舵コンパス或いはジャイロコンパスが配備された船舶は免除可。
2)ジャイロコンパス 1 1   1)1984年9月1日或いはそれ以後に製造したL≧45mの船舶に必要(主操舵位置でジャイロコンパス或いはジャイロコンパスの表示をはっきりと読めること)
2)1984年9月1日以前に製造したL≧75mの船舶に必要
ジャイロコンパスに付属するレピータ 2 2   レピータが操船室外両サイドの屋根付甲板にある場合、操船室頂上の露天甲板にもう一台レピータを増設する必要がある。
ジャイロコンパスに付属する航行向レピータ 必要に応じる   少なくとも主操舵位置(当該位置で主コンパスをよく読める場合を除き)と応急操舵位置に配置
3)舵角表示器 1 1 1 1984年9月1日前に製造したL≧75mの船舶と1984年9月1日或いはそれ以後に製造したL≧45mの船舶に必要
4)船速距離計 1 1 1 1984年9月1日前に製造したL≧75mの船舶と1984年9月1日或いはそれ以後に製造したL≧45mの船舶に必要1)
2.無線誘導設備       共同作業する漁業船舶に対し、主船だけに配備
1)レーダー 1 1   L≧35mの船舶に必要。9GHzで作業可。
2)電子位置測定設備(GPS等) 1 1   L≧24mの船舶に必要
3.水深を測定する設備        
1)音響測深器 1 1 1 1) 1980年5月25日前に製造したL≧75mの船舶と1990年5月25日或いはそれ以後に製造したL≧45mの船舶に必要
2)音響測深機能がある魚群探測器で代替できる。
2)マニュアル測深器 1 1 1  
4.衝突防止設備        
レーダー反射器 1 1 1 非鋼質の漁船に必要
1)可変ピッチプロペラ或いはサイドスラスターを有する場合、当該プロペラのピッチと作業モードを表示する表示器が必要。指揮する位置でこれらの表示器の表示を読めなければならない。
 
第3節 基本技術要求、性能指標と取り付け要求
8.3.1 航海コンパス
8.3.1.1 コンパス目盛り盤
1)コンパス目盛り盤に360の分度があり、北(000°)から時計の方向に沿って360°まで10°毎にデジタルを表示する。主要方位は、大文字のN、E、SとWで表示。北方位は、適切な図案で表示できる。
2)コンパス目盛り盤の指向誤差(照準誤差、片寄り誤差と分度誤差を含む)は、任意の方向で0.5°を超えてはならない。
3)操舵コンパスの目盛り盤は、日光或いは照明で1.4mからはっきりと読めなければならない。虫眼鏡の使用は可。
8.3.1.2 材料
1)コンパスを製造する材料は、充分な強度がなければならない。
2)指向システムに使う磁石と永久船磁を校正する校正磁石は、保磁力が少なくとも18000A/mでなければならない。
3)感応磁場を校正する材料は、残留磁気が低く(透磁率が高く)、保磁力が160A/m以下でなければならない。
4)磁気コンパスとコンパス棚に使う全ての他の材料は、非磁気性で、合理的かつ実用的でなければならない。これらの材料にもたされた目盛り盤の偏差は、9/Hを超えてはならない。(Hはコンパス所在位置の磁気密度の水平分量で、単位はμTである。)
8.3.1.3 構造誤差
1)コンパスは20±3℃の温度で1.5/sの速度で等速回転する時に目盛り盤の偏移が次の条件に適合しなければならない。
[1]目盛り盤の直径が200mm以下のコンパスの場合、36/Hを超えてはならない。
[2]目盛り盤の直径が200mm或いはそれ以上のコンパスの場合、54/Hを超えてはならない。
2)コンパスは20±3℃の温度でその摩擦誤差は3/Hを超えてはならない。
3)磁場の水平分量が18μTである時、コンパスの目盛り盤が最初40°回転するとき、その半周期は、12s或いはそれ以上ではなければならない。最初90°回転しその後磁気子午圏±1°以内に回復するのに必要な時間は、60s以内でなければならない。非周期コンパスは後者のみ符合すればいい。
8.3.1.4 コンパス棚
 目盛り盤の直径が130mm以上のコンパス棚は、完全な校正半円自差と象限自差装置がなければならない。それを使えば次の校正ができる。
1)永久磁場の水平分量
2)傾斜誤差
3)感応水平磁力の水平分量
4)感応垂直磁力の水平分量
8.3.1.5 校正
1)船用環境の使用条件で、校正器は、自差の大きな変化(特に磁緯度の大きな変動)があってはならない。六分儀或いはもっと高い自差は無視できる。
2)既に取り付け済みの磁気コンパスを校正した後の残留自差は、 標準磁気コンパスが±3°以内であること。 操舵磁気コンパスが±5°以内であること。
3)全ての船舶を対象に、少なくとも年に一度磁気コンパスの自差を校正しなければならない。自差表、自差表或いは残留自差カーブを作成し、いつでも利用できるようにすること。
4)次の場合には自差を校正し、自差表を作成しなければならない。
[1]船体構造の変更、或いは磁気コンパスの近くを磁性物が通過したとき。
[2]如何なる方法かで船舶を消磁したとき。
[3]船舶が長期間に停泊し、一つの方向に固定していたことによって、磁気コンパスの自差が著しく変化した。
[4]船舶に雷、火災、衝突、座礁があり、或いは船体に溶接と衝撃があったことで、磁気コンパスの自差が著しく変化した。
[5]残留自差が本条2)の規定を超えた。
[6]コンパスを移動、或いは変更したとき。
8.3.1.6 構造
1)照明を除き、磁気コンパスに電源を使用してはならない。
2)標準コンパスの電気コンパスレピータを操舵コンパスにする場合、伝送システムには主電源或いは応急電源(予備電源)から電気を供給しなくてはならない。
3)磁気コンパスの構造と取り付けは、校正と保守に便利でなければならない。
4)常に水平となるように置かれる標準コンパスはコンパス棚が任意の方向に40°傾斜した場合でも指向環は水平に保っていなければならない。どんな海象状況、作業状況、気候状況でも、コンパスは移動してはならないし、常に水平となるように置かれる操舵コンパスも同じ要求に適合しなければならない。常に水平となるように置かない場合、コンパスの目盛り盤は全ての方向で少なくとも30°の自由度がなければならない。
5)船に取り付ける磁気コンパスには、その正常作業を保証する次の付属品がなければならない。
[1]標準コンパスには、精度が±0.25°の方位表示器
[2]操舵コンパスには、コンパス表示拡大鏡
[3]コンパス予備補償マグネットバー
8.3.1.7 取り付け
1)磁気コンパスの取り付け位置は、できるだけ船舶磁気の影響位置から遠くしなければならない。
2)磁気コンパスをできるだけ船舶の縦中断面に取り付けること。その開始方位基線は、船首を指示し、精度が±0. 5°でなければならない。
3)標準コンパスを船舶コンパス甲板に取り付けること。視野はできるだけ広くすると水平と天体の方位を観察に便利。
4)操舵コンパスは、操船位置にいる操作員が、はっきりと表示を読めるよう操船室に取り付けること。
5)露天甲板に取り付けるコンパスには、防水カバーがなければならない。
6)磁気コンパスの取り付け位置は、できるだけ磁性材料から離さなくてはならない。標準コンパスの取り付け位置は、船舶構造にある如何なる磁性材料からの最低距離も図8.3.1.7の要求に適合しなければならない。
7)操舵コンパスに必要な最低距離は、図で表示した値の65%に減らすことができる。但し、1m以上であること。操舵コンパスが一台のみの場合、できるだけ標準コンパスの最低距離の要求に適合しなければならない。
8)磁気コンパスの電気或いは磁力のある設備からの距離は少なくとも当該設備に明示される安全距離以上でなければならない。そうでない場合、これらの電気或いは磁力のある設備にスクリーンをつけ、外部からの妨害磁場を最低限にする。
9)コンパス棚の垂直軸線については、船舶が横傾斜しない時、垂直を保たなければならない。(鉛槌線で或いはコンパス棚の傾斜測定器を使って測定する。)
10)コンパス棚を取り付ける時、船舶の積載状況のためにその頂上部分の平面、縦方向に大きな傾斜がないこと。
11)強い磁場を避け、コンパスの自差変化に影響しないよう磁気コンパス近くを通過する直流電源コードは、二重芯のケーブルを使わなければならない。
12)船舶に取り付けた全てのコンパスは、台式と直立式を問わずに、そのコンパス棚に非磁性のねじを使い、コンパスをしっかりと甲板に固定する台に固定しなくてはならない。その高さと位置は、操舵と観測に便利であること。
13)校正済みの磁気コンパスの位置は、専用のコンパス記録ブックに記入しなければならない。
(以下略)
 
(以上)








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