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防火構造
 本プロジェクトでは、アルミニウム製旅客専用高速フェリーを対象とし、アルミニウム製及びハイブリッド船舶構造物の防火構造の改良を提案するものである。車両デッキ、隔壁、上部構造物のようなアルミニウム製及びハイブリッド船舶の構造物に、コスト効率がよく軽い防火システムを構造的に組み込むことに重点を置いた研究、試験が行われる。効果的に防火要件に適合する船舶の設計を支援するFSA手法(包括的安全評価手法)を開発する。
 新たな材料が、USCG、IMO、船級協会等の防火要件に適合するかどうか、防火試験を実施する。まず、材料の可燃性、火の回り方を確認するための試験を行う。これらの小規模試験の間の相関関係を確認するため、本格試験を行う。この結果を利用し、燃焼モデル、火の回り方の結果と実験を関係づける。試験のすべてについて、その結果の完全な分析を実施する。
 初年度には、防火材料、予備的防火設計手法、設計のコスト推算の評価を行う。2年目には、強化防火材料の試験を実施する。3年目には、FSA手法による設計方法論を開発し、本格試験を実施し、結果を分析する。
統合造船環境(ISE)
 本プロジェクトは、米国造船業界全体に渡り統合造船環境を支援する、情報処理システム技術の開発と導入を図る、業界全体の事業である。本プロジェクトでは、造船所社内システムの統合、造船所間システムの統合、造船所と部品メーカーの間のシステムの統合、異なる技術分野間のシステム統合を取り扱う。本プロジェクトの目的は、コスト効率がよく、一本化され、機能的な情報処理システムを開発することにより、船価を下げ、品質を上げ、部品調達に要する期間を短縮することにある。
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 MARITECHプログラムにおいて、いくつかプロジェクトにおいて、電子商取引、データ交換基準、船舶設計及び船舶建造に関する情報化や関連するソフトウェアの開発が行われた。今回の新プロジェクトは、これらの先行プロジェクトの成果を基にして、実施される。
 現在までに、本プロジェクトは、約700の造船関係の情報処理システムの要件を把握し、情報管理のためのリポジトリー(貯蔵所)を設立したほか、他のNSRPプロジェクト用に標準的な要件記録手法を提供し、背景や条件が異なる分野間で交換が必要とされる情報の要件の取りまとめに資した。
造船所の表流水の処理技術
 本プロジェクトは、集水池に直接放水するため、造船所の表流水7処理に、地下水改善用に開発中の新技術である「モップ−アップ技術」を利用することの評価を行うものである。本プロジェクトは、先のエネルギー省及び陸/空軍研究開発予算による地下水改善研究を利用する。米国造船所にとって、環境規制は厳しさを増す一方であり、この種の解決策の短期的、広範な需要がある。本プロジェクトでは、米国の別々の地域に所在する少なくとも3つの造船所から雨水のサンプルを採取する。
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Actiflow System
 初年度には、想定した表流水及び造船所施設からの表流水サンプルを使い、モップ−アップ装置の造船所表流水に一般的に含まれている重金属を除去する能力について評価する。2年目は、装置の改良、処理システム附属装置の選定、装置の調整、研究所内での実証試験、運用コスト分析を行い、適当な造船所におけるパイロット・スケールの実証試験を提案する。
 本プロジェクトの報告には、全米の造船所表流水の成分、処理可能性研究の実施結果、運用コストの見積りが含まれる。さらに、(1)表流水の流れと特性、(2)金属、懸濁固体、油脂についての処理技術、(3)代替処理方法や表流水管理手法の可能性、(4)コスト見積り、についての評価が含まれる。
船舶建造・修理業のための人間工学コンセンサスガイドラインの開発
 本プロジェクトは、造船所の人間工学の問題に焦点を当て、国内船舶建造・修理業に人間工学を組み入れることにより、品質と生産性を向上させ、国際市場における米国造船の地位向上に資するよう傷病、労災補償コストを低減することができるかどうかを検討するものである。
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ケーブル引きシステム
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 初年度には、造船所の傷病傾向について全国的に調査、分析し、造船所における事故、傷病の主要な原因となっているリスク要素の分析を行い、少なくとも7つの造船所向けに人間工学的作業改善の実施計画を立てる。2年目は、作業改善の効果の評価とリスク要素の再分析を実施、OSHA(労働安全衛生局)に人間工学コンセンサスガイドラインを提出、業界全体の報告を作成、結果についてのワークショップを開催する。
 プロジェクト成果の詳細はまだ発表されていないが、人間工学と限定空間における溶接の換気制御についての実地訓練プログラム、必要とされる労働力を76%カットする機械を使ったケーブル引きシステム、調整可能な溶接作業台、女性溶接工の手に合わせたサイズの人間工学的溶接器具の開発が含まれている。
横断的仮想・リソース・センター
 本プロジェクトは、造船産業全体におけるコミュニケーションと資源の共有の向上を助けるものである。全ての主要研究課題に横断的な人と組織の需要に対処する。本プロジェクトは、全ての造船産業プロジェクトにおけるこれらの需要に対して効果的なアプローチの統一を支援し、横断的分野の専門家が、効果的に、かつコスト効率よく、仕事を行うことができるようにする。
 造船業界がどのようなリソース・センターを必要とするかを評価し、また望ましいサービスや製品の種類の特定が行われる。共同コミュニケーション・プランを導入する。造船産業における他の共同作業チームはこれをひな形として利用することができる。リソース・センターのシステム基本設計と、リソース・センターの一般的な設計ガイドラインが開発される。
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 本プロジェクトは、MARITECH SHIIP(Shipbuilding Information Infrastructure Project)プロジェクトで達成された組織改革事業を基にして実施される。本プロジェクトでは、最終的にリソース・センターの設計を完成し、その後、造船産業がこれを導入する。








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