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1-5 投資
 
 98年の外国直接投資は天然ガス輸出の是非を巡って、政府と外国企業間の考えに相違があり、それが影響して投資は差し控えられ、投資庁(BOI:輸出加工区を除く地域への投資を管轄)登録ベースの投資額は、表4-5のごとく前年度比36.4%の大幅減となった。
表4-5 直接投資受入額(登録ベース) (単位:100万タカ)
96年度 97年度 98年度 93〜98年度累計
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
日本 8 220.8 14 1,841.6 6 209.0 68 6,118.5
米国 4 99.6 13 42,936.1 6 13,494.3 40 58,163.0
英国 12 482.6 6 188.5 15 13,392.3 65 16,361.7
ドイツ 6 209.6 3 82.6 6 2,146.6 44 4,947.8
韓国 27 3,348.7 32 3,601.2 11 250.9 137 10,068.5
香港 4 404.1 6 5,460.0 4 514.3 27 6,900.4
シンガポール 9 265.6 8 1,454.6 5 12,898.0 30 16,565.9
マレーシア 4 912.7 1 6,501.0 4 676.4 28 21,889.8
インド 14 539.9 11 160.1 7 2,483.1 61 4,771.7
合計 138 26,066.6 139 131,335.2 160 83,489.1 849 330,210.8
出所:バングラデシュ投資庁(BOI)
 一方、輸出加工区では98年8月現在、累積投資実行額は前年同期比7,000万ドルの増加であった。政府は既存の2ヶ所(ダッカとチッタゴン)の輸出加工区に加え、新たに4ヶ所を創設しようとしている。また、96年に「民間輸出加工区法」が成立したことを受けて、政府は韓国企業による民間輸出加工区の設立を認めている。
1-6 日本とバングラデシュの関係
 
 日本との関係においては、97年には日・バ外交樹立25周年にあたり、7月にハシナ首相が訪日、投資保護協定の実質合意を果たした。99年8月時点でチッタゴン輸出加工区に登録されている日系企業は21社、うち13社が操業している。97/98年度に新たに操業を開始した企業はなく、99年9月に1社(自動車・建設機械関係鋳物メーカー)が撤退した。他方、99年8月末時点でダッカ輸出加工区に登録している企業は4社だったが、99年9月に1社(液晶振動子メーカー)が撤退している。また、操業中の企業も多くは日本の国内需要伸び悩みに直面しており、供給先の分散や市場開拓に迫られており、苦しい状況が続いている。なお、99年8月末までの日本のチッタゴン、ダッカ輸出加工区への累積投資実行額はそれぞれ5,628万ドル、155万ドルである。日本の大蔵省届け出実績によると1951年度から99年度までの届け出実績は52件、228億円となっている。以下、表4-6及び表4-7に日本の対バングラデシュ直接投資実績とその内訳を示す。
表4-6 日本の対バングラデシュ直接投資実績 (単位:件、100万円)
年度 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 累積(51〜99)
件数 3 1 3 3 2 - - 52
金額 1,743 171 75 1,197 756 437 - 22,831
出所:大蔵省財政金融月報
表4-7 日本の対バングラデシュ直接投資業種別内訳(1951〜99年度累計) (単位:100万円)
  件数 金額   件数 金額
製造業 44 20,792 非製造業 8 2,038
 繊維 9 1,389  魚・水産業 6 1,448
 化学 6 12,610  サービス業 1 3
 鉄・非鉄 4 557  運輸業 1 586
 機械 3 540 支店開設 - -
 電機 3 179 不動産 - -
 輸送機 6 419      
 その他 13 5,095 合計 52 22,831
出所:大蔵省財政金融月報
 一方、日本との貿易関係を見ると、表4-8のごとく96年以来の順調な伸びを続けてきた対バングラデシュ輸出は、99年に前年比12.9%減に転じた。輸出額は366億9,600万円であった。品目別には、機械機器、取り分け一般機械、輸送機械が大幅に減少した。99年の輸入でも前年比12.7%減の130億800万円と減少している。品目別には繊維製品の減少が主な要因である。但し、これら品目の減少の背景には、99年の円の対ドル相場が前年比10%程度増価したことがあげられる。
表4-8 日本の対バングラデシュ貿易額の推移 (単位:100万円)
  1994 1995 1996 1997 1998 1999
輸出FOB 34,230 32,633 37,658 38,541 44,116 36,696
伸び率(%) △5.1 △4.7 15.4 2.3 9.3 △12.9
輸入CIF 9,265 13,676 15,623 15,690 14,906 13,008
伸び率(%) 12.9 47.6 14.2 0.4 △5.0 △12.7
バランス 24,965 18,957 22,035 22,851 27,210 23,690
出所:通商白書各年版
 また、日本の対バングラデシュ向け経済協力は日本が同国と友好関係にあること、同国が人口の多い後発途上国であること、同国がハリケーンとそれに伴う洪水といった自然災害に頻繁に見舞われることもあって、大きな地位を占めていた。その上、91年以降は同国が経済の自由化を進めていることを評価し、更に積極的に経済協力を行っている。日本側の援助方針は、[1]投資促進、輸出振興のための基盤整備、[2]農業開発と農業生産の向上、[3]洪水対策、[4]人的資源の開発が重点となっている。
 日本の外務省「ODA白書1999」によると、98年までの支出額累計は援助対象国の中で第10位になっている。特に無償資金協力は前年に続き、第1位になっている。無償資金協力の内容は農業、保険・医療などの生活基礎分野、洪水対策を含む環境分野、基本的インフラ整備が中心となっている。それに対し、有償資金協力は経済開発を目的とした基礎インフラの整備をはじめ、プロジェクト借款が中心になっている。経済協力の実績は99年3月現在、無償協力が閣議決定ベースで3,459億1,500万円、有償協力が交換公文ベースで5,825億1,200万円となっている。
 その他、技術協力分野では、農業、工業、運輸・交通、保健・医療、通信・放送、漁業、科学・文化など広い分野で行われている。この分野は国際協力事業団が中心的役割を担っており、99年3月現在、同事業団の研修生受入総数は3,317人、専門家派遣数は795人となっている。








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