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4.7 まとめ
 本章では舶用ディーゼルエンジンの実排ガスによる吸着剤の性能評価および、脱硝触媒と組み合わせた浄化システムの有効性の検証を行った。結果をまとめると以下の通りである。
 
(1)実排ガスでの吸着−脱離性能
 実ガスにおいても300℃までの低温域で排出されるNOxの60%程度と高い吸着性能を示すことが明らかとなった。一方実ガスにおいては、脱離量が吸着量に比較して少なくなる。これは吸着したNOxが実ガス中に含まれる未燃の炭化水素と反応してN2またはN2Oとして除去されるためであると推測される。したがって、低SV条件で運用する限りは、当初想定していたNOxの脱離に伴う流路切替などの複雑なシステムを必要としない。
 
(2)定常排ガス導入時の性能評価
 舶用エンジンを発電機特性の60%負荷で定常運転し、一定量のガスを導入して模擬的な試験を行った結果、低温時に排出されるNOxのおよそ60%が除去され、吸着剤の温度が400℃に達する50分後までの合計では、全排出NOxのうちおよそ86%が除去可能であることが明らかとなった。
 
(3)負荷変動試験
 負荷変動を伴う舶用特性の出港時の運転を模擬した試験を行った結果、アンモニア脱硝開始までに排出されるNOxのおよそ80%が除去可能であった。ただし、触媒層の温度が若干低いため、アンモニアを導入してから、定常に達するまでに10分以上を要したため、実システムでは低温用の脱硝触媒を使用するのが望ましい。
 
(4)耐久性
 低硫黄重油を使用した場合には、実排ガスを用いても今回の実験の範囲内では吸着性能にほとんど影響を与えなかった。6回程度の繰り返しでは、吸着性能に全く影響がないことがわかる。








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