4.6.2 定常排ガス導入時の性能評価
試験方法は、前項と同様に舶用エンジンを発電機特性の60%負荷で定常運転することで、1,100〜1,200ppm程度の一定濃度のNOxを吸着剤層前のバルブの開閉を調節することで、一定量のガスを導入して模擬的な試験を行った。本試験では、外部からの加熱により、あらかじめ後段の触媒層を300℃まで加熱昇温しておいた後に、吸着剤層に実ガスを供給し、試験を行った。
試験結果を図4.6-1に示す。吸着剤層の温度が300℃に達した時点でアンモニアを導入し、脱硝を開始した。その結果、吸着−脱離試験時と同様に、低温時に排出されるNOxのおよそ60%が除去され、吸着剤の温度が400℃に達する50分後までの合計では、全排出NOxのうちおよそ86%が除去可能であることが明らかとなった。
なお、今回の実験時にいて、ガス導入時にSO2濃度が一次的に上昇しているが、詳細な理由は不明である。ガスの導入と同時に触媒層の温度も20℃程度急激に上昇したため、表面に弱く付着していた硫黄分が脱離したためかもしれない。
図4.6-1
実排ガスによる吸着−脱離−アンモニア脱硝酸試験
反応装置:実排ガス浄化試験装置
NOx初期値:1180ppm
ハニカム有効体積=1.5L、ガス流量55L/min(水分8%)
SV=2,200h-1
脱硝触媒:中温用(あらかじめ300℃に加熱保温)