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4.3 吸着剤および脱硝触媒の作製方法
4.3.1 吸着剤ハニカム
 実排ガス試験で用いた吸着剤および脱硝触媒ハニカムはニチアス株式会社製のセラミックファイバー担体にそれぞれ吸着剤および触媒成分を含浸担持した後に乾燥処理したものを用いた。詳細な製造工程は別添資料として本報告書の巻末に掲載した。
 
(1)セラミックファイバー担体
 本実験で用いたセラミックファイバー製のハニカムは非常に軽量で取り扱いやすいが、強度が低くなるという欠点がある。そこで実際に使用する場合には強度を上げ、外端面のけずれを防止するために外周巻きのある担体を使用して端面補強を行っている(下図)。
 
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図4.3-1 セラミックファイバーハニカムフィルター担体(ニチアス製))
セル数=205(セル/in2)
 この担体では、ファイバーの厚みを調整することで練りこみと同じように大量に担持が可能となるため、吸着剤のように量が必要なものに対しては有効である。今回の実排ガス試験では、ファイバーシートの厚みが0.3mmのものを使用した。また、強度上の問題から1ユニットの厚みは2.5cm(大きさ12.8cm角)であるため、4〜6枚重ねて使用した。このような形状のメリットとして以下のことが挙げられる。
・装置の軽量化が可能
・一枚のシートごとの交換が容易
・反応器形状・サイズの設計に柔軟性が持たせられる
・試験に際して、被毒物質の付着状況などの分析が容易
 
(2)吸着剤の担持状態
 実際に、吸着剤を担持作製したハニカム(図4.3-2)への吸着剤の担持状態をSEM−EDX分析により観察したところ、繊維内に絡み合って担持されているため、練りこみと同じような大量担持が期待できることがわかる(図4.3-3)。また図4.3-4に示すように、通常のコージェライト担体に担持した場合には表面のみにしか担持することが出来ず、ハニカム化したときに吸着剤の絶対量が確保できないが、本セラミックファイバーの場合には、繊維内部にまで吸着剤が担持されているため、高い吸着性能を示すことが期待できる。
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図4.3-2 試作した吸着剤ハニカム
 
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(a)表面
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(b)断面
図4.3-3  Mn2O3・2ZrO2を担持したセラミックハニカムのSEM写真
 
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図4.3-4
 通常品とセラミックファイバーフィルターの成分
  担持状態のイメージ図
左:セラミックファイバー:繊維内部まで担持可能
右:コージェライト:表面のみに担持される
 
(拡大画面: 38 KB)
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図4.3-5 吸着剤ハニカムのX線回折結果








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