日本財団 図書館


第4章 実排ガスによるシステムの機能評価
4.1 目的
 ここでは、前章までに実施してきた、模擬排ガス試験結果をもとに、実際の舶用エンジン排ガスを用いて本システムの機能評価を行うことを目的とした。実排ガス試験に関しては、東京商船大学内燃機関工学実験室において100PS4サイクルディーゼル(3L13AHS:新潟鐵工所製)の実排ガスを用いて、排ガス浄化試験を行った。「吸着剤−脱硝触媒」2層触媒反応器の設計、製作を行った。本章における実施項目は以下の通りでる。
 
(1)排ガス浄化試験用脱硝システムの設計・製作
(2)吸着剤および脱硝触媒ハニカムの作製
(3)吸着剤・脱硝触媒の機能評価
(4)システムの機能評価
4.2 排ガス浄化試験用脱硝システムの設計・製作
4.2.1 システム構成概要
 吸着―脱離―脱硝除去が可能なシステムとして別紙に示すシステムを設計し、製作を行った。なお、詳細図面設計および製作は、新潟鐵工所およびエヌ・エス・エンジニアリングに依頼して作製した。各部の機能は以下のとおりである。
 
(1)排ガス分岐導入部
・主排気ライン(80A)から反応装置へ排ガスを50L/min程度の流量で分岐するライン(32A)を設置
・主排気ラインには流量調整用ボールバルブを設置 →反応ラインの流量制御
 
(2)吸着試験用反応ライン
[1]吸着反応器
・Mn2O3-2ZrO2ハニカムを設置(4〜6枚まで可変)
・ジャケットヒータ((株)ヤガミ特注品)加熱
[2]吸着反応器のバイパスライン
・脱硝触媒加熱後にガスを導入するライン
[3]脱硝反応器
・W-V-TiO2脱硝触媒ハニカムを設置(4枚分の一体型)
・ジャケットヒータ加熱
[4]切替バルブ1,2
・吸着反応時:バルブ1を閉、バルブ2を開
・脱着―脱硝反応時:同上
・定常脱硝時:バルブ1を開、バルブ2を閉
[5]還元剤導入部
・脱硝反応器の前方にノズル先端をフレア加工したものを設置
・マスフローコントローラーにより流量制御
[6]ガス冷却水槽
・冷却用水を下部から導入し、上部出口からオーバーフロー
・ドレーン抜き設置(排ガス中の水分の結露分をポット捕集)
[7]ガス流量計測部
・ガスメータにより流量計測可能(〜80L/min程度まで)
・計測可能ガス温度 < 50℃
[8]マノメータ
・吸着反応器入り口(A)、中間(B)、脱硝反応器出口(C)の各部位間における圧力損失をコック切替により計測可能
[9]排ガスサンプリング部
・主排気ライン、吸着反応器出口、脱硝反応器出口の3ヶ所
・1/4インチスエジロック配管、耐熱ストップコック付き  (サンプリング箇所のコックを開いてアナライザーに導入)
・アナライザー入り口にミストキャッチャー(テフロン粉封入品)を設置して分析部劣化を防止
[10]温度計測部
・CA熱電対5箇所設置、デジタルメータ計測
   (主排気ライン、吸着反応器入口・中央、脱硝反応器入口・中央)
(3)その他
[11]ラギング
・30mmグラスウールアルミ被覆を巻きつけ保温
[12]伸縮継手
・2ヶ所設置
[13]フレーム
・これらのライン重量をささえるために、フレーム中にラインを組み込み、床面のレール溝にボルト固定
(拡大画面: 207 KB)
z0001_061.jpg
4.2-1 システム構成概要








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION