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(6)輸出入
 CIS外の輸出入の推移を図2.22に示す。
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図2.22 CIS外の輸出入推移

 輸出入は、燃料・エネルギー関連を除けば、国際市場の中で優位にあるロシア産品目は少なく、その動態はドル・ルーブル為替レートにかなり影響されている。
 輸出入品目(1999年)を図2.23および2.24に示す。
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図2.23 ロシアの輸出品目
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図2.24 ロシアの輸入品目

 ロシアの天然資源大国を反映して、主要輸出品目は石油、天然ガスなどの加工度の低い鉱物資源、鉄鋼、非鉄、ダイヤモンド等の金属および貴金属類であり、しばらくはこれらが主要輸出品目の王座を維持するものと思われる。因みに原油生産量の44%、鋼板の60%、木材の40%が外需向けであり、これらが貿易収支と連邦予算を支えている(1999年)。木材・パルプについては、シベリアのタイガ樹林崩壊の危機が叫ばれ、永久凍土と言う厳しい環境下での植生保護に政策方針が転換して以降、生産量は制限され輸出量も漸減傾向にある。
 輸出全般としては、プーチン大統領の意図とは裏腹に、旧体制時代からある資源輸出国体質がさらに強化されているのが実情である。
 輸入品目では、機械生産分野の立ち遅れから西欧からの輸入に頼らなければならない機械設備、元々軍用以外の輸送手段開発に関心の薄かった輸送運搬機材、機械設備共に、陳腐化した設備に悩むロシア化学工業への補填的品目、農村の衰退と食生活の西欧化による食料品等の品目が上位を占めている。食料の輸入依存度は40%に達し、この数字から見る限りかつての農業大国ロシアの面影はない。
 輸入を必要とする背景が改善されない限り、これらの品目は必需品であり続け、輸入様態にはしばらくは大きな変化は起こらないと考えられる。
 図2.25はロシアの主要輸出先(1999年)、図2.26は主要輸入元国(1999年)の各国比率を輸出入全体量の百分率で示したものである。
 政治的・戦略的貿易色彩の濃い旧体制下での交易国パターンであったコメコン域、中東等の友好国、東欧諸国の影が薄くなり、欧州等の先進国との交易が増大しているが、総じて、地域的に多元化しているのが特徴である。ドイツは、ロシア・フィンランドのバーター貿易が衰退した後を受けて急速に貿易量を伸ばし、ロシアからエネルギー資源を輸入し、機械、医療品等を輸出している。なお、中国の貿易高は、この数年間で10倍増となっている。CIS内部では、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンなどが主要取引先である。
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図2.25 主要輸出先国
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図2.26 主要輸入元国








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