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(2)企業形態
 エリチン時代には、極端な市場原理主義の下、取引、価格等の自由化、国有企業の民営化、土地私有の容認が言わば強行実施されたが、プーチン政権下では行過ぎた市場原理主義の修正が図られ、現在は過渡期の段階にあると言える。
 この約5年間での企業、組織の所有形態の変化をみたものが図2.12である。国家所有企業の整理が進み、ロシア的私的所有が増加した。エリチン時代に蔓延したロシア資源の食い荒らしとも言える合弁・外資系企業は漸減し、税制を含めロシア国益の保護策が功を奏し始めていることが判る。
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図2.12 ロシア企業・組織の所有形態の変化
 ロシアへの投資方式として、プロダクト・シェアリング制度や税制上の利点が海外投資家の興味を引いた合弁事業は、図2.13に示すように、投資にとって不利な税制への変更等があり、合弁企業数では1996年をピークとして漸減し、現在模様含みの状態にある。
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図2.13 ロシアの合弁企業数の推移
 1999年における合弁企業の部門比率は図2.13に示すように、商業飲食関連が高い。このようなサービス関連分野は従来のロシアでは最も苦手とする部門であり、米国等の外国資本参加を容易する環境がある。
 合弁事業の盛衰は、市場の趨勢と共に外国投資や合弁事業への税制、生産分与法の条項内容の変更に大きく影響されている。
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図2.14 合弁企業の部門比率
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図2.15 ロシア大企業の支配・権益領域








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