はじめに
シップ・アンド・オーシャン財団では、平成13年度に「アジア太平洋地域における海上交通網を巡る諸問題」に関する調査研究を実施しました。この研究は、競艇公益資金により実施されている日本財団の助成事業たる「海洋シンクタンク事業」を構成する、「21世紀における我が国の海洋ビジョンに関する調査研究」の一環として行われたものです。本書は、この調査研究の成果の一つとして、研究者から提出された報告書・論文のオリジナルを一般の参考に供するために発表するものです。
当財団では、海上交通の諸問題についてのファクトファインディングを目的に、平成12年度に「政策提言に関する事前調査」事業の一環として「アジア太平洋地域における海上交通網を巡る諸問題」の調査に取り組みました。我が国においては、貿易量のほとんど(99.8%)を海上輸送に依存しており、「海上交通の諸問題」は海洋問題の中でも「資源・環境問題」等と共に最も重要な課題の一つであると考えられます。そのため問題点が存在するか大まかなテーマによる全体構想をまとめた上で、外部の著名な研究者から論文や資料・データの提供などの協力を仰ぎ、同構想のフィージビリティースタディーを実施しました。
その結果、同調査では有益な資料が得られ、今後も貴重な情報・データなどの入手が可能なことが判明したため、本年度において本格的に調査を継続して実施し、昨年度に実施した調査内容を含め、海上交通の諸問題をまとめた報告書(総括編)を別途作成しました。
本シリーズ編は、この一連の調査において得られた貴重な各種論文を、海洋に係わる研究や海洋シンクタンク事業を促進するための基礎資料として有効活用できるように、テーマ毎にまとめたものです。
本事業の実施にあたって、ご支援いただいた日本財団をはじめ、調査にご協力いただいた学識経験者の方々に厚くお礼申し上げるとともに、このシリーズ編が広く活用されることを期待します。
財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団
会長 秋山昌廣