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5.2 計算結果の妥当性
(1)二酸化硫黄
 二酸化硫黄SO2は船舶排ガスからの影響が強いため、計算結果の妥当性検証に用いる。
 
 風向別の計算結果(図5.2-1〜図5.2-12)を見ると、計算点の内陸側には煙源が全くないため、各計算点で陸からの風が吹いている時のSO2濃度計算結果は0となっている。
 
 これらの地点では海からの風に対してSO2観測値の極大を持っているが、計算値もまた同じように海からの風に対して極大が現れている。極大値の出現風向がずれている場合が見られるが、排出源の分配を約1km四方の3次メッシュで行っており、港湾内の分布特性を完全には反映しきれていないことが考えられる。
 
 また、海側でない風向に対してもSO2は観測されており、比較的内陸の観測点においても同様であることから、SO2は全方向に関してバックグラウンド値を持っていると考えられる。観測値からバックグラウンドを差し引いた極大値の高さは、計算値の極大値の高さと類似しており、年平均値の結果が、過大評価になっていない点からも、定性的に拡散計算の結果は妥当であると考えられる。
 
 風向・風速階級別の計算結果(図5.2-13〜図5.2-24)を見ると、計算結果は常に風速に逆比例している。一方、観測値は全般的に逆比例しているが、地点によっては必ずしも風速に逆比例せず、特定の風速階級で観測値の極大値が現れている場合もあり、計算結果とは傾向が異なっている。実際の観測地点では、地形や建屋の影響、あるいは、時々刻々の船舶の運航状況に直接影響されるため、このような詳細な比較に対しては統計的に合致しにくいと考えられる。
 
(2)窒素酸化物
 NOx(NO+NO2)は、一般的に地上排出源からの影響が大きく、測定値は陸から海に向かって吹く風に対して極大値が現れる傾向があり、測定結果と計算結果の傾向はあまり一致していない。しかし、海風に対しても極大値を持っている観測地点もあり、これらの地点では海風に対する極大値の出現傾向は、計算結果と類似している。
 
 海側の極大値の出現傾向の類似ならびに年平均値が過大評価になっていない点から、NOxの計算結果についても妥当であると考えられる。
図5.2-1 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、木更津潮見)
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図5.2-2 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、袖ケ浦代宿)
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図5.2-3 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、市原岩崎西)
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図5.2-4 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、習志野鷺沼)
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図5.2-5 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、浦安猫実)
(拡大画面: 23 KB)
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図5.2-6 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、中央区晴海)
(拡大画面: 24 KB)
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図5.2-7 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、神奈川県庁)
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図5.2-8 SO2観測値と船舶排ガスの年平均値
(ppb、1999年、中区加曽台)
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